音楽アクションADV『NO STRAIGHT ROADS(ノー・ストレート・ロード)』発売。EDMで支配された街にて、ロックの力で音楽の自由を取り戻せ


マレーシアのインディースタジオMetronomikは8月25日、音楽アクション・アドベンチャーゲーム『NO STRAIGHT ROADS(ノー・ストレート・ロード)』をPC(Epic Gamesストア)/Xbox One向けに発売した。価格はPC版が3762円で、Xbox One版が4185円(共にローンチ割引価格)。なお、8月27日にはPlayStation 4/Nintendo Switch版も国内発売される。


ロックの力でEDMの帝国に立ち向かえ

『NO STRAIGHT ROADS』の主人公は、インディーズロックバンド「バンク・ベッド・ジャンクション」を組む、猪突猛進の元気娘メイディと、冷静沈着だが熱い心を秘めるズーク。ふたりが暮らすビニールシティにはEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)ばかりが溢れており、かつて人気だったロックは影を潜めている。

そんなロックの復権を目指すメイディとズークは、街を支配する巨大組織「NSR」が主催する音楽オーディションに参加するも落選。NSRは、EDM以外の音楽は認めない強硬な態度をとっており、これに反発したふたりは音楽の自由を取り戻し、ロックのスゴさを広めるためNSR帝国に立ち向かう。


本作のゲームプレイは、ビニールシティの探索とバトルを交互に繰り返す形となっている。なお、本作はソロだけでなく2人協力プレイも可能。ソロプレイの場合は、メイディとズークを自由に切り替え可能だ。ビニールシティ内は自由に探索でき、ゲームの進行に合わせて新たな地区がアンロックされていく。街にはNPCが多数おり、会話を交わせる者も。メイディとズークの活動に賛同する人物に出会うこともある。

ビニールシティ探索での目的のひとつは、ミニクワサと呼ばれるエネルギー源アイテムを収集すること。この街はNSRのせいで電力供給が不安定な状況にあり、さまざまな設備が動かなくなっている。そこでミニクワサを使って設備に電力を送って稼働させるのだ。すると、バンク・ベッド・ジャンクションのファンが少しずつ増えていき、地区内のすべての設備を稼働させると報酬も得られる。詳しくは後述するが、本作においてファンの獲得は重要な要素のひとつ。探索ではそのほか、カスタマイズ要素に使えるステッカーを発見できることもある。


街の各地区では、NSRに所属するアーティストがコンサートを開催している。会場を訪れコンサートをジャックして、その地区をNSRの支配から解放することが本作での大きな目標となる。コンサートをジャックするということは、すなわちNSRのアーティストにバトルを挑むということだ。

リズミカルな3Dアクション

本作のバトルは、3Dアクションにリズムゲーム要素を加えた内容になっている。メイディはギターを使った強力な一撃を持ち、ズークはドラムスティックによる素早いコンボが特徴。これら近接攻撃のほか、音符マークの弾を入手するとロックオン射撃も可能だ。また、ステージ内にはプロップと呼ばれるオブジェクトが存在する場合があり、近くで一定時間ロックを演奏することで変形。たとえば砲台になって敵に手痛い攻撃をお見舞いできるものがある。

ボスであるNSRアーティストがいる場所までには、何重ものセキュリティが敷かれている。そのため、衝撃波を繰り出すロボットや、弾を撃ってくるドローンなどを破壊してセキュリティを突破し、ひとつずつステージを進んでいかねばならない。敵はBGMのリズムに合わせて攻撃し、またステージに設置されたトラップや動く足場などもリズムと連動。常にビートを感じながらのゲームプレイが求められる。


すべてのセキュリティを突破したら、いよいよNSRアーティストとのバトルだ。相手によってバトルの流れはさまざまだが、ここでは最初に対戦する「DJサブアトミック・スーパーノヴァ」を例に紹介しよう。彼は円形ステージ中央のDJブースに陣取っており、ステージ上では惑星の形をした球体が周回。この球体を攻撃し、ドロップした弾を撃ってDJを攻撃することが基本戦略となる。また、人工衛星プロップの側で演奏アクションをすると、ロケットをDJに撃ち込むことが可能だ。

DJ側の攻撃は、まず周回する球体を使ったものがある。周回レーンが赤く光ると球体が高速で回り、触れるとダメージを受けてしまう。弾集めや演奏に集中しすぎて回避が遅れないよう注意したい。また、内周に出現する小惑星帯を吹き飛ばしてきたり、ステージをぐるぐる回るレーザーを撃ってくることも。これらもリズムと同期しているため、上手くタイミングをとってジャンプやドッジロールにて避けよう。


さらに、複数の球体のレーンが交差するサイドビューに移行するシーンも存在。ここもリズムに合わせて球体を回避すれば良いのだが、レーンが赤く光って攻撃準備を示すなか、ひとつだけ紫色に光るレーンが確認できるはず。本作では「紫色の攻撃はパリイが可能」というルールがあり、タイミングを合わせて攻撃することでDJにダメージを与えられる。これはほかの敵の場合も同様であり、積極的に狙っていきたい。そして、これらの攻防を繰り返しながら十分なダメージを与えると、最終シークエンスに突入。ふたたびパリイを駆使してトドメを刺すのだ。

NSRアーティストを倒すとビニールシティの新たな地区がアンロック。上述したDJのほか、バーチャルアイドルやクラシックピアニスト親子、ロボット男性グループなどが待ち受ける。攻撃とリズムのパターンを学んで対応していくという基本は変わらないが、それぞれ個性的な攻撃を繰り出してくるため、歯ごたえあるバトルを楽しめるだろう。また、クリア時にはファンを獲得できる。一度クリアしたステージはいつでも再プレイ可能で、より多くのファンを得るためクリア評価を高めたり、高難易度でのバトルに挑戦したい。

ファンの力でキャラを強化


バトルを終えると、ビニールシティの下水道内に存在するメイディとズークのアジトに帰還。ここには複数の部屋が存在し、仲間となるファンが住み着くと拡張されていく。たとえば、ファン第1号のクリフがいる地下戦略室に行くと、次に対戦するNSRアーティストの情報を教えてくれる。

ズークのワークショップでは武器のカスタマイズが可能だ。街の探索にて入手できるステッカーを貼って、近接攻撃力アップや体力アップなどのバフ効果を一時的に付加できる。さらに、倒したNSRアーティストから入手できるスペシャルムーブを割り当てるモッドもここでおこなう。ゲージを消費する特殊な攻撃アクションや、体力回復スキルなどを追加でき、ふたりの協力技も存在する。

もうひとつ重要な部屋が地下ライブハウスである。ここではメイディとズーク、そしてバンク・ベッド・ジャンクションのスキルツリーにアクセス可能。ふたりに対しては、近接攻撃・射撃・プロップの変形に関するアップグレードが可能で、コンボ段数や弾丸所持可能数を増やしたり、変形にかかる時間を短縮したりできる。そしてバンドに対しては、2段ジャンプや空中ダッシュを覚えたりなど。こうしたスキルのアンロックにはファンパワーが必要。つまり、先述したように街の設備を復旧させたり、NSRアーティストを倒してファンを獲得することで、キャラクターを強化できる仕組みだ。


ポップな世界観に色を添える音楽と日本語キャスト

本作を手がけたMetronomikは、『ファイナルファンタジーXV』のリードゲームデザイナーを務めたWan Hazmer氏と、『ストリートファイターV』にてコンセプトアーテイストを担当したDaim Dziauddin氏が率いるスタジオだ。そして本作の楽曲には、『ファイナルファンタジーXV』『メタルギアソリッドV』『ソニックマニア』などのゲーム音楽を手掛けてきたプロたちが率いるチームを構成。ディレクターのFalk Au Yeong氏をはじめ、James Landino氏やAndy Tunstall氏、Funk Fictionがメインコンポーザーとして参加している。

さらにゲストアーティストとして、AngraのドラマーBruno Valverde氏やインフルエンサーピアニストのTony Ann氏、Video Game Orchestraのプロデューサー仲間将太氏、ガールズ・メタルバンドLOVEBITESのギタリストmidori氏、黒沢ダイスケ氏、青木征洋氏、EDMミュージシャンのRoborob氏、日本の4人組インディーズロックバンドのOne Eye Closed、ボーカリストのNikki Simmons氏、フランスのHIPHOPミュージシャンのClyde Rabatel氏、そしてマレーシアのジャズギタリストのAz Samad氏といった面々も携わった。

また、メイディ役には佐倉綾音さん、ズーク役には福山潤さんが声を担当するなど、本作は日本語フルボイスに対応。ゲーム内ではカットシーンはもちろん、プレイ中もふたりはよく喋る。特に快活なメイディのキャラクターは、上述のアーティストたちの音楽やユニークでポップなビジュアルとも相まり、本作の楽しげなカラーを決定づけていると言えるだろう。そして、ビニールシティを支配するNSR帝国側も個性豊かなキャラクターが勢ぞろいしており、両者の対立がドラマチックに描かれる。


『NO STRAIGHT ROADS(ノー・ストレート・ロード)』は、PC(Epic Gamesストア)/Xbox One向けに販売中。8月27日にはPS4/Nintendo Switch版も発売予定で、こちらはパッケージ版も発売される。Epic Gamesストアでは体験版が配信されているため、興味のある方はまずはこちらを試してみると良いだろう。