傑作和風アクション『大神』クリエイターらが、キュートに続編開発希望を表明。全世界で反響呼ぶ

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今年のE3にてTango Gameworksの新作『GhostWire: Tokyo』をステージで披露し、そして9月に同社を退社したゲームクリエイターの中村育美氏が、プラチナゲームズのディレクター神谷英樹氏と共に、『大神』をまた作りたいとTwitterに投稿し大きな反響を呼んでいる。

中村氏は10月18日、プラチナゲームズ社内にて神谷氏と一緒に収録した映像を投稿した。神谷氏が「Okami is going to be back(『大神』は帰ってきます)」と述べサムズアップすると、中村氏は驚いた様子で「Really!?(マジで!?)」問いかける。すると神谷氏は「Really(マジで)」と返し、中村氏は「oh…」とだけ述べそそくさとフレームアウト。そして中村氏は、「私たちは『大神』の続編を作りたいですし、ファンもそれを楽しみに待っています。皆も神谷さんの作る『大神』をまた見たいですよね?私も開発に参加したいです」と、フォロワーおよび『大神』シリーズと米国カプコンの公式アカウントに向けてツイートした。

『大神』は、カプコンの子会社クローバースタジオが手がけ、2006年にPS2向けに発売されたネイチャーアドベンチャーゲーム。古代日本を思わせる世界観を表現する日本画のような独特の美しいグラフィックや、心温まる物語などが国内外で高く評価され、のちに移植やリメイクがおこなわれている。また、2010年には続編『大神伝 〜小さき太陽〜』も発売。2019年6月時点で、シリーズは累計270万本を売り上げている。

神谷氏は、初代『大神』にて監督と物語の執筆を担当し、中村氏は舞台美術班にて舞台制作を担当。現在はカプコンを離れているふたりだが、オリジナルクリエイターとして続編開発への意欲を示した形だ。中村氏のツイートには、本稿執筆時点で約2万3000リツイートに6万6000いいね、1900件ほどのリプライが寄せられ大きな反響を呼んでいる。また神谷氏もこのツイートを引用し「Let’s do it, Capcom(やろうじゃないか、カプコン)」と呼びかけた

*神谷氏と中村氏は『ベヨネッタ』の開発でも共に仕事をした。

映像での神谷氏の言葉は、『大神』の続編に現実味を感じさせる表現となっているが、これは一連の“流れ”を受けたコメントだったのかもしれない。Tango Gameworksを退社した中村氏は、現在はフリーの立場で世界中を旅し、さまざまなゲームスタジオを訪問している。10月17日には古巣カプコンにてディレクターの伊津野英昭氏と会い、『デビル メイ クライ 5』について同氏が「DMC is back!」とファンに宣言したE3 2018での様子を一緒に再現。そして上のツイートのように、神谷氏までも“is back”している。神谷氏は、これになぞらえて『大神』の続編についてコメントした可能性はあるだろう。

中村氏はその後、「私は予算や経営については分からないけど、単純に素晴らしいゲームを見たいし、ファンがプレイしたいというゲームは開発されてほしい」とし、素晴らしいものは素晴らしいと言えるクリエイターであり続けたいとコメント。そして、『大神』はさまざまな問題を乗り越えるだけのパワーを持ったタイトルのひとつであると述べている。また神谷氏も、「『大神』は帰ってきます。いつか。そう信じています」とコメントしている。つまり『大神』の復活が決定したわけではなく、ふたりが制作への強い希望を持っていることを表明したうえで、今後の成り行きを見守る考えを示している。

今回の件についてカプコンは、続編制作については何も発表していないと、海外メディアPolygonに短く回答している。社外の開発者が、IPを保有するメーカーに公にラブコールを送る様子は時折見かけるが、実際に実を結ぶ例はあまり見ない。ただ、たとえば今年発売された『メタルウルフカオスXD』では、パブリッシャーのDevolver Digitalが(冗談半分で)フロム・ソフトウェアに移植を持ちかけるツイートをし、その反響の大きさが実現への後押しのひとつになったという(ファミ通)。

もちろん、移植ではなく続編を開発するとなればハードルの高さは大きく異なるだろうが、今回の中村氏へのツイートへの反響は凄まじいものがある。成長戦略のひとつとして休眠IP・リメイクの活用を推進しているカプコンとしては、注目に値する現象なのではないだろうか。2017年には、HDリマスター版である『大神 絶景版』がPC/現行コンソール向けにリリースされており、古くからのファンだけでなく、新たなプレイヤーも続編を見てみたいと思っていることだろう。『大神』の続編が、いつか両氏の手で本当に実現することを期待したい。

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国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。