Epic Gamesがアンチチートツール販売会社を買収。『フォートナイト』でも使用されているEasy Anti-Cheat販売元のKamu

 

Epic Gamesは10月8日、フィンランドに拠点を置くアンチチートソフトウェア販売会社Kamuを買収したことを発表した。Kamuの公式サイトでもプレスリリースが掲載されている。同社はアンチチートソフトウェアEasy Anti-Cheatを販売していることで知られており、Epic Gamesの『フォートナイト』以外にも『Dead by Daylight』『Tom Clancy’s Ghost Recon: Wildlands』『Squad』『Paladins』など80タイトル以上のオンライン・マルチプレイタイトルにて採用済み。全世界で1億台以上のPC上にインストールされている。

Epic GamesのCEO Tim Sweeney氏はプレスリリースにて、『フォートナイト』のマルチプレイ体験向上を図るうえでEasy Anti-Cheatが大きく貢献してきたことを伝えている。また現在Kamuはアンチチートだけでなく、データ分析・ゲーム運営サポート分野にも力を入れており、Sweeney氏は「現代においてゲームを開発しローンチすること自体困難なことではありますが、それは長い闘いの半分でしかありません。Kamuが提供するゲーム運営用ツールは、ローンチ後の成長・維持を実現するうえで助けとなります。そして開発者の成功は、そのまま私たちEpic Gamesの成功につながるのです」と語っている。

シーズン6を迎えた『フォートナイト』のバトルロイヤルモードは、9月末より運営2年目に突入

Tim Sweeney氏は弊誌インタビューにおいても「『フォートナイト』では毎週アップデートを配信しています。プレイヤーたちはゲームの何が好きで何が嫌いだったのか毎週フィードバックを寄せてくれますし、私達は彼らのニーズに応えられるよう、すぐさまゲームに変更を加えられます。結果として、かつてない速度でゲームの改善を進められるようになりました。私は、このモデルこそがゲーム業界にとって最良の選択だと思っています」と説明しているように、長期運営を想定したゲームづくりに強く注目していることがうかがえる。

巨大なプレイヤーベースをかかえ、かつ週次アップデートを続けている『フォートナイト』との相乗効果により、『フォートナイト』だけでなくKamuのサービスを利用する他デベロッパーにも恩恵が行きわたることだろう。この点、kamuのCEO Simon Allaeys氏も、Epic Gamesグループの一員になることは「開発者たちが優れたゲーム体験を構築できるよう手助けをするという、私たちのミッションを推し進める」上でも有益であるとコメントしている。

最近の事例としては今年8月に早期アクセス入りした『SCUM』でも採用されている

『フォートナイト』はチート被害とは別途、マルウェア配布・フィッシング詐欺の拡散材料として使われることも多い。最近では、『フォートナイト』の無料チートツールと称したマルウェアをダウンロードさせる手口が出回っていると、マルウェア発見・除去ツール販売元のMalwarebytesが報告している。こうしたゲーム外での被害については、ユーザー自身である程度身を守れるよう、個人での対応が必要となってくる。なお『フォートナイト』ではアカウントの2段階認証有効化をゲーム内で積極的に推奨している(ロード画面での注意書き、2段階認証有効化にともなう報酬)。

バトルロイヤルゲーム『PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS』でもチート対策は最重要課題のひとつとして挙げられており、10月頭には累計1300万人以上のユーザーがBAN済みであると報告されている(関連記事)。現在でもチートプログラムの検出およびブロック、法的措置、ハードウェアBANなどの取り組みが進行中である。チート対策は、バトルロイヤルゲームに限らずオンライン・マルチプレイゲームでは避けては通れない道。長期運営を想定したタイトルであれば尚更であり、その代表格となった『フォートナイト』を有するEpic Gamesが、『Counter-Strike 1.6』時代からノウハウを積み重ねてきたKamuを配下に置くことで、ゲーム体験の向上につながることを期待したい。