イングランドのとある企業、地方の都市計画書に街づくりゲーム『シティーズ:スカイライン』の画像を使い、地元民に怒られる


イングランドのノーフォーク中部の自治体は、1万世帯を増やす都市開発を計画中。この計画を考案する都市計画プランナー(業者)が、思わぬ批判を受けている。この開発に携わる企業Lanproは、ノーフォークにおける8ページにわたる街の構想を描く計画書を提出したが、この計画書の画像に『シティーズ:スカイライン』が使われていたからだ。その詳細を地元紙Eastern Daily PressKotakuが伝えている。

Image Credit : IVIaarten

この計画書には、いくつかの『シティーズ:スカイライン』の画像が使われており、そしてその画像は3年前のredditに投稿されたものだったようだ。計画書の“スクリーンショット”にいちはやく気付いたのは、地元民であるMatt Carding-Woods氏。生粋のゲーマーを自認する氏はLanproに対し「都市計画書に、ゲームのスクリーンショットを使用するとは怠慢だ」と批判し、そして何よりインターネットに落ちている画像を説明もなしに使用していたことに憤慨していたようだ。さらに「(『シティーズ:スカイライン』のような)街づくりゲームは、本当の都市開発を見据えて作られたものではない」ともコメントしている。
【UPDATE 2018/8/6 19:30】
Carding-Woods氏のコメントを加筆しました。

Lanproのマネージング・ディレクターであるChris Leeming氏は、この資料はあくまで関係者向けに配ることを想定した画像であるとコメントし、さらにスウェーデン・ストックホルムが同作を用いて都市開発を計画しているという前例を取り上げ反論している。実際にストックホルムのNorra Djurgårdsstadenでは、都市開発の計画を立てる上で、どのような発展をしていくかを『シティーズ:スカイライン』を使いシミュレーションをしていることが報告されている(関連記事)。

都市開発プランナーが街づくりゲームを遊ぶという試みは、以前から取り上げられており、古くはFrancis Chen氏が『Sim City 4』をプレイし、アメリカの都市づくりとは大きく異なると断言していた(Slate)。最近では人気都市開発プランナーDave Amos氏が『Sim City 2000』をプレイし巧みな街づくりを見せている。『Sim City 2000』自体は、20年以上昔の作品であるが、氏は都市開発に共通する部分は存在するとコメント。完全なツールとして使えるわけではないようだが、少なくとも活用できる部分はあるのだろう。

Carding-Woods氏は『シティーズ:スカイライン』を遊びこんだゲーマーであるがゆえに、至極まじめな都市開発計画にゲーム画面が用いられ、さらにその画像がインターネット掲示板からの転載だったという点に怒っているわけだ。Eastern Daily Pressは、ゲーム画面を使用したことをやや批判的に伝えており、ほかの地元の人々がどう感じたのかが気になるところ。いずれにせよ、地方の都市開発計画が意外な形で世界に知れ渡ることとなった。

『シティーズ:スカイライン』はPC向けに販売されているほか、スパイク・チュンソフトからPlayStation 4/Xbox One向けに国内販売中。新たなDLCが現在でも続々とリリースされているので、興味のある方は、都市開発プランナーも活用している街づくりシミュレーションをプレイしてみてはいかがだろう。