『The Culling 2』Steam配信開始。『PUBG』『H1Z1』ライクに作風を変えたバトロワ続編は、新作発売が重なる激動の7月を生き残れるのか


米国のインディーデベロッパーXaviant Gamesは710日、バトルロイヤルゲームThe Culling 2の配信を開始した。対応プラットフォームはPC(Steam)および海外PlayStation 4/Xbox Oneで、販売価格は2050円。本作は2017年10月に正式リリースを迎え、同年12月に開発停止が発表された『The Culling』の続編である短命に終わった前作の失敗から学び、作風を大幅に変えてバトルロイヤル・ジャンルに再挑戦する運びとなった。近接戦闘の多い前作のプリミティブな少人数バトルから、近年主流となっている『PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS』『H1Z1』のゲームシステムを多分に取り入れた現代的アプローチへと切り替えたXaviant Gamesの判断は、果たして吉と出るか凶と出るか。

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『The Culling 2』は最大50人のプレイヤーがパラシュートで戦場に降り立ち、縮小し続けるプレイエリアの中にとどまりながら装備品を揃え最後の生き残りになるまで戦うバトルロイヤルゲーム。前作の特徴でもあった、プレイスタイルにあわせて選択可能なパークシステムや、荒々しい三すくみの近接戦闘は、機能としては健在である。戦場は前作のトロピカルなアリーナから、近代的な施設が立ち並ぶ大規模なマップに変更。広さとしては20平方キロメートルに及ぶという(参考として『PUBG』のErangel島マップは8平方キロメートル)。

マッチ開始時には輸送機3機に分かれて戦場に向かい、パラシュートで降下する

基本操作は三人称視点、武器エイム中は一人称視点に切り替わる。ジャンプ時の滞空時間は長めで、ピョンピョン飛び跳ねながらの移動・戦闘が可能。近接戦闘は前作でも見られた攻撃・ガード・ガード崩しの三すくみ制になっている。なお続編となる『The Culling 2』では、9mmピストルからスナイパーライフルまで銃器系の武器が揃っており、マップを探索することで簡単に調達できる。このあたりは現代主流とされているバトルロイヤル・フォーマットにかなり寄せてきたという印象を受ける。銃器が強力な分、あえて三すくみの近接戦に持ち込む理由はほとんど無いのではないかという懸念も残る。

ただ本作のもうひとつの特徴であるパークシステムをうまく使うことで、近接武器を有効な戦闘手段に変えられる可能性は残されている。パークは24種類の中から3種類をマッチ開始前に選択。近接武器の攻撃力上昇、近接武器装備時の移動速度向上といったパークを組み合わせることで近接戦に特化したキャラクターをつくることができる。ほかには体力上限アップ、ショットガンの腰撃ち命中率向上、移動音の削減、インベントリー増、マガジン容量増といったパークが用意されている。

弾薬の種類によって色分けされる親切仕様

ゲームモードはソロ、デュオ、スクワッドの3つ。ソロでデュオマッチに挑むソロデュオ、ソロでスクワッドマッチに挑むソロスクワッドも選択可能だ。キャラクターのカスタマイズ機能としては、ルートボックスから排出される衣類・武器のスキン、エモート、プロファイルカードがある。ルートボックスはゲームをプレイしレベルを上げることで獲得できる。なおルートボックスの有料販売については未定となっている。

『The Culling 2』は、現在主流とされているバトルロイヤル・フォーマットに従ったことで、『The Culling』らしさをすっかり失ってしまっている。2作品のストアページのゲーム説明文を比較することでも、オリジナル要素がごっそり削られていることがわかるだろう。少なくとも、前作『The Culling』のような体験を求めて購入すべき作品ではない。『The Culling』というシリーズ名を受け継ぎ、機能としてもパークや三すくみ近接戦闘が残されてはいるが、ゲーム体験としてはまったく別物である。

また、プロモーション期間を設けない突然のリリースであったことが影響してか、初日からプレイヤーが集まらず苦戦している(SteamCharts)。本稿執筆時点での同時接続ユーザー数は20~50人。サーバーが米国西海岸・東海岸、欧州の3つに分かれていることもあり、マッチングはかなり苦しい。前作『The Culling』は最後こそ人口減少により開発停止に追い込まれたが、少なくとも2016年の早期アクセス開始当初は同時接続ユーザー数が1万人を超えるだけの反響はあった。『The Culling 2』は前作以上に苦しい状況からのスタートを切ったと言えるだろう。

Image Credit:SteamCharts

The Culling 2』の発売と同日には、『S.T.A.L.K.E.R.』シリーズに携わった開発陣が手掛けるチェルノブイリ舞台のバトルロイヤル『Fear The Wolves』クローズド・ベータテストが開始されている(Steam早期アクセスは7月19日。関連記事)。また3日後の7月13日には一人称視点のハイスピード・バトルロイヤルゲーム『Islands of Nyne: Battle Royale』のSteam早期アクセス販売が始まる関連記事)。さらに『フォートナイト バトルロイヤル』では712日よりシーズン5が開幕。このようにバトルロイヤル市場では話題作の発売やイベントが続く。果たして『The Culling 2』は激動の7月を生き残ることができるだろうか。