連続する過去作のリマスタリングや、最新作が発売されたことなど、盛り上がりが尽きない『サ・ガシリーズ』。そしてこの度、『ロマンシング サ・ガ2』のリメイク作品である『ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン』の発売が2024年10月24日に決定した。これに伴い、本作のプロデューサーである田付 信一氏(以下、田付氏と表記)にインタビューを行った。
なお、本作のプレイフィールに関してはこちらの記事が詳しいほか、現在配信中の体験版をプレイしてほしい。
『ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン』は1993年にスクウェア(当時)が発売した『ロマンシング サ・ガ2』のフルリメイク作品。対応プラットフォームはPC(Steam)/Nintendo Switch/PS5・PS4となっている。開発は、株式会社ジーンが主に担当している。
プレイヤーは次々と代替わりする「バレンヌ帝国」の皇帝を操作しながら、伝説の七英雄の野望を打ち砕き、帝国の歴史を紡いでいく。「閃き」という戦闘中ランダムでコマンドを習得するシステムや、「フリーシナリオ」と呼ばれる、イベントを好きな順番でいくつかこなすことにより、ゲームが進行する物語形式などが特徴である。
――本作は現代的なリメイクによって、オリジナル版からさまざまな点に変更がありました。特に容量の問題による仕様が解決されていると思います。原作の時点では実現せず、リメイクによってできるようになったことがあれば教えて下さい。
田付氏:
原作から容量が増えたことで実現したことと言えば、キャラクターの装備に関する仕様の変更が挙げられます。原作時点では装備欄に関して、防具やアイテムといったカテゴリの括りがなく、キャラクターごとに「外せない」専用装備もありました。これらはセーブデータの容量を削減するためであったと聞いています。本作では防具に関して細かくカテゴリが設定され、アイテム欄も存在しています。外せない装備もありません。キャラクターを自由にカスタマイズすることが可能となっております。
――フィールドデザインやキャラクターのモデリング、操作感など、原作から3Dになったことで新たに表現できるようになったことはありますか?また、ドット絵から3Dに描き起こすうえで大変だったことはありましたか?
田付氏:
3Dになったことで、キャラクターをはじめ、小林智美氏のイラストや、それまで簡易的だったエフェクト表現を現代的な形で仕上げております。
大変だったことと言えば、本作には「飛蛇」というモンスターが登場します。しかし原作時点のドット絵では、「飛蛇」が何をしているイラストなのか、細かな部分の判断がつかなかったんです(笑)また、もとが静止画である都合上、奥行きと躍動感のある表現をイメージする必要があった。そこで我々は現実にいる飛ぶヘビを調査し、それを資料の1つとして3Dに描き起こしています。
フィールドに関しても似た経験をしています。特に家や城といった建築物は現実においても違和感のないように描き起こしました。たとえば、本作にも仲間キャラクターとして「キャット」が登場しますが、彼女との出会いは屋根裏部屋から飛び降りる彼女を追いかけ、屋根の上に向かいます。ドット絵の頃であれば、簡易的な表現でも違和感はありませんが、3Dになると表現に「リアルさ」を持たせる必要があり苦労しました。ほかにも、「ウオッチマンの巣」というダンジョンに関して、ウオッチマンの生態をイメージしなければならない……などですね。
――本作は「遊びやすさ」を重点的に意識したリメイクであると伺っています。原作からどのように遊びやすくなっているのでしょう。個人的には原作はチュートリアルが弱いという印象をもっています。
田付氏:
おっしゃった通り、原作『ロマンシング サ・ガ2』は、ゲームを楽しむコツがわかりにくい作品です。そこで本作はゲームルールを単純化することで、理解をしやすくしています。具体的には武器や閃き、属性に関するマスクデータを開示したり、防御力に関するステータスを「物理防御」「術防御」というシンプルな形に変更しています。
そして、本作はチュートリアルの数がめちゃくちゃ多く用意されています(笑)たとえば、原作時点では宮廷魔術士のエメラルドに話しかけることで、火術「ファイアーボール」を教えてもらえるイベントがありました。本作ではこれを強制イベントに設定しています。また、その後の戦闘で「ファイアーボール」が使えるようになったことをチュートリアルが教えてくれます。術法研究所が建てられないという状態を避けるためですね。そして研究所が建つと、チュートリアルがさらに出ます。ほかには、ストーリー重視のものから、原作級の難しさまで、三段階の難易度設定も用意しました。
――なお本作では、原作とはうって変わって戦闘システムにはタイムライン制を採用していますね。戦闘システムの変更によって原作の時点ではフィーチャーされることがあまりなかった要素が重要になったりもしますか?
田付氏:
タイムライン制になったことで、一手一手を考える必要が出ています。これに付随して、敵が強力な行動をする際にはアイコンを表示するようにしました。また、原作で強かった戦法が、本作でも強いというわけではありません。本作では新たに陣形などが追加されますが、タイムライン制を加味した内容になっています。
――なるほど。敵の強さに関しては、調整は入りますか?
田付氏:
調整は入っていますが、印象的な敵の強さに関しては基本的にそのままになるようデザインしています。たとえばロックブーケが使う「テンプテーション」は初見殺し感が強すぎると認識したので、当たる確率を少し下げましたが、彼女の他の攻撃は強力になっています。
――本作には「連携」や「アビリティ」など、まんべんなくクラスを育成してほしいという意図の新システムが多く見受けられます。本作には難易度調整の項目がありますが、敵の強さの上昇幅など、従来から難易度そのものが変わった点はありますか。
田付氏:
本作では敵の生息地が予め決まっているほか、「イベントをこなした回数」および、戦闘「勝利」回数によって、登場する敵が変化するシステムを採用しています。そのため、原作のように「逃げ続けて敵が強化されすぎて詰んだ」という状況を避けることができます。
――俗に言う「閃き道場」の仕様も変わったのでしょうか。
※閃きたい技を閃くまで、ボス戦で戦闘→撤退を繰り返すプレイスタイル
田付氏:
本作ではボスから逃げられないため、「閃いては退却を繰り返す」プレイができなくなっています。しかし、敵ごとの閃きやすさに関してはあまり変わっていません。たとえば、「ディープワン」は依然として閃きやすいと思いますね。
――ちなみにたくさんのクラスを育成するにあたって、1戦闘あたりの時間は変わりましたか。
田付氏:
原作からは特に変わっていないと思います。
――『ロマサガ2』といえば、仕様を活かしたテクニックも有名ですよね。「必中活人剣」や10000クラウンを領土内で無料入手など、こういったプレイヤーに有利な仕様はそのままでしょうか。
田付氏:
本作は1から完全に作成しているゲームであるため、原作の仕様を引き継いでいません。ゆえに、いわゆるバグや仕様の穴を利用したテクニックに関しては、再現することはできなくなっています。
――リマスター版の要素は登場しますか?
田付氏:
「忍者」と「陰陽師」が登場しますね。また、リマスター版とは異なりますが、七英雄を掘り下げる物語にもご期待ください。
――ありがとうございます。続報を待っております。最後に、本作を楽しみしている読者の方へメッセージをお願いします。
田付氏:
原作ファンの方々には、かつての体験を思い出してもらいつつ、本作ならではの新たな体験を提供したいと思っています。一方で、原作や『サ・ガシリーズ』を遊んだことの無い方々には本作をシリーズに触れるきっかけにしてほしいとも思っています。そのために、遊びやすくなる工夫をたくさん盛り込みました。まずは体験版から、お楽しみいただければと思います。
『ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン』は2024年10月24日発売予定。対応プラットフォームはPC(Steam)/Nintendo Switch/PS5/PS4となっている。現在体験版が配信中なため、本作が気になった方はまずそちらから触れてみることをオススメしたい。
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