ファーストインプレッション『Anodyne』-これはゼルダではない

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[PLAYISM よりゲームソフトの提供を受けています]

PLAYISM で配信中のインディーゲームのインプレッションをお届けします。毎週火曜更新予定。

5本目は『Anodyne』です。"Anodyne"とは「鎮痛剤」「気持ちを落ち着けるもの」などの意。本作は Steam Greenlight も通過しています。開発は Sean Hogan 氏と Jonathan Kittaka 氏の2人組。2013年に本作を完成させたのち、現在は次回作『Even The Ocean』を開発中です。

プレイ時間: 約4時間
プレイ状況: 1周クリア

 

 

『ゼルダの伝説』や『ゆめにっき』に影響をうけたという本作は、たしかにグラフィックスのタッチは似ています。とくに『ゼルダの伝説 夢をみる島』に近しい印象があり、一部にはすぐそれとわかるオマージュが織り込まれています。

 

模倣ではない。 そのものである。
模倣ではない。

そのものである。

 

ただ、世界全体を覆うトーンはきわめてダークで、BGM も非常にダウナーな曲調で統一されています。こちらは『ゆめにっき』寄りでしょうか。本作のストーリーは主人公"ヤング"が自らの無意識の世界を探索するというものなので、おおむねこちらも一致しています。

最初に結論してしまうと、『Anodyne』の魅力は陰鬱な空気にあります。抽象的でありながらも心の奥底にえぐり込まれるようなテキスト、常時ただよう薄暗いグラフィックとサウンド、そもそも目的がよくわからないゲームルール。本作はそうした「薄気味悪さ」をプレイヤーへ体験させることには成功しています。

 

非常に気味の悪いダンジョンエントランス。 様々なシチュエーションが用意されています。
非常に気味の悪いダンジョンエントランス。

様々なシチュエーションが用意されています。

 

ゲーム部分は評価が難しいところ。『ゆめにっき』と『夢をみる島』のハイブリッドなのは表現面だけではなく、ゲームについても同様なのです。アクションや謎解きは一見すると『ゼルダ』のようですが、本質的にはまったく異なります。キャラの動きや攻撃モーションこそ似ているものの、裏返せばそれだけです。カネの要素もありません、そんなものは精神世界には不要です。

まず、『Anodyne』には『ゼルダ』で普遍的に採用されている「アイテムを入手して次のフィールドへ」といった、いわば"世界の広がり"は一切ありません。ゲーム序盤にジャンプアイテムを取ってしまうと、その時点で機能的にたどり着けない場所はなくなります。

およそ謎解きと呼べるようなものはなく、淡々とフラグを立て続けることになります。レベルデザインも凝っているところの方が少なく、基本的には「スイッチを踏む」「スイッチを踏ませる」「敵を全滅させる」のみ。ゲーム世界全体のボリュームはなかなかのもので"面積"はあるのですが、どうにも作業感は否めません。

 

筆者の主観で一番難しかったパズルでこれ。 もちろん一画面内で完結します。
筆者の主観で一番難しかったパズルでこれ。

もちろん一画面内で完結します。

 

『Anodyne』において、各種ダンジョンやフィールドを歩き回る目的は"カード"なる重要アイテムを手に入れること。名前からするとコレクション要素のように聞こえますし、実際そうした側面もあるのですが、ラストダンジョンに突入するために一定枚数必要となるため、事実上すべての状況下でカードのみが探し求められます。

こう書いてしまうと良いところがなさそうですが、そんなことはありません。本作はプリミティブなアクションゲームとして成立しています。しかも、ジャンプアクションです。ホウキとチリを使った一連のギミックはあくまでもスパイスであり、少ないながらも練られた敵と配置パターンは「ジャンプを楽しませる」「ジャンプで殺す」という、古典的な価値へ到達しています。操作難度は「集中すればなんとか初見で切り抜けられるかどうか」という悪くないバランス感覚です。

 

組み合わせはあるものの、基本的にはジャンプです。
組み合わせはあるものの、基本的にはジャンプです。

 

死にゲーというほど大げさな難度ではないものの、たやすくゲームオーバーになってしまうのも事実。そしてそれをふまえ大量のチェックポイントが用意されています。これにより、死亡のストレスはほぼありません。

また、ゲームの目的がカードを集めるだけであるがゆえに、逆に特定のダンジョン等で迷うことはほぼありません。ひたすらに未踏の区域を踏破し、ジャンプし、スイッチを押す。そうしたゲームなのです。なお、ダンジョンごとに用意されているボスには個性があり、最低限の手応えがあります。ちなみにラスボスのラッシュ攻撃には安地アリ。

『Anodyne』を楽しむ上で最重要、絶対に間違えてはならないのは「『ゼルダ』ではない」という点にあります。恐ろしげでありながら惹き込まれるムードと適度に難しいアクション、そしてわかりやすくも達成感のあるカードコレクション。そうした、意外にも独特な肌触りを前提にプレイすればきっと楽しむことができるでしょう。

 

プレゼントのおしらせ(終了)

最後に、読者の皆さまへプレゼントです。

本記事に言及する Tweet をしてくださった方のなかから1名様へ本作の PLAYISM 用コードをさしあげます。@GamersGeoJP (注: 本アカウントは@AUTOMATONJapanへ変更されています)をフォローしていただいた上で、ご応募の旨と弊誌 URL を明記しつぶやいてください。「もう持っているけど布教用にもう1つ欲しい」「『ゆめにっき』っぽいのが好きだ」「とにかく見た目がオールド・ゼルダならそれで満足だ」等、一番いいツイートをしてくださった方にお渡しします。締め切りは12月22日です。当選者の発表はコードの配信をもって代えさせていただきます。

 

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