『ディアブロ4』開発元責任者が、「『ディアブロ』風ゲームをディアブロライクと呼ぶのはどうか」とユーザーに提案。しかし嫌がられる

『ディアブロ4』のゼネラルマネージャーを務めるRod Fergusson氏が、『ディアブロ』風のゲームを「ディアブロライク」と呼んではどうかと提案。ユーザーからは皮肉な反応も寄せられているようだ。

Blizzard Entertainmentのシニアバイスプレジデントで、『ディアブロ4』のゼネラルマネージャーを務めるRod Fergusson氏のX上での“提案”が注目を集めている。同氏は『ディアブロ』風のゲームプレイの作品を分かりやすく「ディアブロライク」と呼んではどうかと投稿。ユーザーからは皮肉な反応も寄せられているようだ。

Rod Fergusson氏は、元々The Coalition(旧Black Tusk Studios)にて『Gears of War』シリーズのプロデューサーなどを務めた人物だ。同スタジオの代表を経たのち、2020年にBlizzardに移籍した。移籍後には『ディアブロ』シリーズのIPを統括し、『ディアブロ4』と『ディアブロ II リザレクテッド』に携わっている。

『ディアブロ』シリーズといえば、見下ろし型のアクションRPG(ARPG)だ。第1作は1996年に発売され、世界的な人気を誇るシリーズとなっている。最新作『ディアブロ4』は2023年6月に発売。先月10月には初の拡張パックとなる「憎悪の器」がリリースされシーズン6「憎悪蔓延」が開幕した。


本シリーズはダークファンタジーの世界観をもち、キャラのクラスや強化の進め方、装備次第でさまざまなビルドを組める点が持ち味となってきた。また装備品にレアリティの違いがあったり、性能にランダム性があったりといった点も特徴。目当てのアイテムなどを獲得すべく敵をなぎ倒しまくる、ハック&スラッシュ(ハクスラ)系のゲームとなっている。同様のシステムを採用する、フォロワー的なゲームもさまざま見られる。


ディアブロライク

今回Rod氏はXアカウントにて、そうした『ディアブロ』方式のシステムを採用するARPGについて「Diablo-like(ディアブロライク)」というジャンル名を標準的な呼び方にしてはどうか、と提言した。同氏はARPGというジャンルが多様化しているとの見方を説明。そのためソウルライクやローグライクといった呼称と同様に、ディアブロ風のゲームをディアブロライクと呼べば、よりゲームプレイが分かりやすいのではないかと考えているようだ。

とはいえ、こうした考えは一部ユーザー間で物議を醸している。特に『ディアブロ4』の状態も踏まえて、一部ユーザーからは批判が集まっている様子だ。本作のシーズン6においては、特に開幕直後はクエストの進行に関わるものも含めてさまざまなバグが存在した。さらに「憎悪の器」所有者向けに実装された新クラス「スピリットボーン」も、バグにより想定を超える強さとなっていることが伝えられており、ほかのクラスと比べて突出して強力な状態だ。なおすでにバグを前提としたビルドが存在することも踏まえて、スピリットボーンのバグはシーズン7まで修正されないことが明言されている(関連記事)。

度重なるHotfixやアップデートにより修正は続けられてきたものの、シーズン開幕時には大きな混乱もあった。そうしたなかで本作にゼネラルマネージャーとして携わるRod氏が“『ディアブロ』がジャンルの代表作”とも受け取れる発言をしたことが批判視されている格好だ。まずは『ディアブロ4』の品質・運営態勢を改善してほしいといった厳しい意見も集まっている。


『PoE』意識?

このほかRod氏の発言は“『Path of Exile 2』への対抗意識ではないか”といった見方をする声もみられる。『Path of Exile 2』は、基本プレイ無料の人気ハクスラARPG『Path of Exile(PoE)』の続編だ。延期を経て12月7日に配信開始予定であり、注目が集まっている。見下ろし型の視点や多彩なビルドが持ち味となる点なども含め、『ディアブロ』との共通点もあるゲームプレイの作品だ。競合タイトルの続編登場が迫る中でRod氏が「ディアブロライク」をジャンルの呼称とするような提案をしたことも、皮肉な反応を招いたようだ。ユーザーからは代わりに「PoEライク」と呼んではどうか、といった返信も寄せられている。

Rod氏の発言にはさまざまな反応があるものの、『ディアブロ』といえば約28年にわたって親しまれてきたシリーズ。見下ろし型ハクスラARPGの草分け的存在であり、ジャンルを代表している作品という点は確かだろう。実際、ソウルライクやローグライクほど浸透していないものの、ディアブロライクという呼称が用いられる例もある。また「アクションRPG」というジャンルを見ても、たとえば視点の違いだけでも見下ろし型や横スクロール、肩越し・背中越し視点や一人称視点など多種多様なゲームがある。Rod氏のいうように、『ディアブロ』のような見下ろし型ハクスラARPGを定義するジャンル名自体には一定の需要がありそうだ。

一方で、ソウルライクやローグライクといった、代表作にちなんだジャンル名付けは公式ではなくユーザー間の俗語として定着してきた傾向もある。『ディアブロ』シリーズを統括するRod氏自らがディアブロライクを“標準的な呼び方”として提唱したことが、悪目立ちした側面もあるのかもしれない。

PTR 2.1にてテスト実装される「武器庫」


なお『ディアブロ4』Battle.net版においては日本時間12月4日から12月11日にかけて、シーズン7で実装される要素をひと足早く試せるPublic Test Realm(PTR)が実施予定。このなかでは待望されていたビルドを保存して即座に切り替えられる機能「武器庫」が実装され、ほかにもさまざまな新要素やバランス調整がテスト実装される見込みだ(公式ニュース)。テストの結果も踏まえてユーザーからのフィードバックも取り入れつつ、課題とされる部分のブラッシュアップは今後も進められていくだろう。

ただし先述のとおり同時期には『Path of Exile 2』がリリース予定。『ディアブロ4』も積極的に新展開を続けるなかで、競合タイトルとしてしのぎを削る格好となる。見下ろし型ハクスラARPG、あるいは「ディアブロライク」「PoEライク」の作品として両作がどのように盛り上がっていくのかも注目したい。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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