『Balatro』開発者、GOTYなど5部門にノミネートされ「超シュールだ」と戸惑いつつ喜ぶ。『パルワールド』スタッフなど、業界人からも熱い応援

ゲームの祭典「The Game Awards」において、『Balatro』がGame of the Yearを含む5部門にノミネート。開発者であるLocalThunk氏が驚きを伝えている。

本日11月19日、ゲームの祭典「The Game Awards」における各アワードのノミネート作品が発表された。このなかではGame of the Yearを含む5部門に『Balatro』がノミネート。同作の開発者であるLocalThunk氏が海外メディアPolygonの取材に対して、「非常にシュール」とする驚きのコメントを伝えている。

『Balatro』は、トランプのポーカーを題材にしたデッキ構築型ローグライクゲームだ。LocalThunk氏が手がけPlaystackより今年2月20日にリリースされた。本作ではデッキからカードを8枚引き、そこから最大5枚選択してポーカーの役を作る。役やカードの種類によってスコアを得られ、規定ラウンド数以内でステージクリアに必要なスコアを稼ぐこととなる。ジョーカーカードやタロットカードといった、スコアを高めるための要素が存在しており、それらのシナジー効果をどんどん高めて膨大なスコアを稼ぐゲームプレイが特徴だ。

本作はそのゲームプレイの中毒性などから、発売後に瞬く間に高評価を獲得。発売から約1か月経過した3月18日には売上100万本の大台に到達、8月には200万本を記録するなど、個人開発作品ながらも大ヒット作となった。


今回そんな本作が、The Game Awardsにて複数の部門にノミネート(関連記事)。Best Game Direction、Best Independent Game、Best Debut Indie Game、Best Mobile Game、そしてGame of the Yearの5部門だ。インディーゲーム系の部門だけでなくGame of the Yearにもノミネートされており、今年を代表する一作として高く評価されていることがうかがえる。

LocalThunk氏はこのことを受けてPolygonの取材に対し、「まったくもってシュールだ(completely surreal)」とコメント。特にGame of the Yearへのノミネートについては完全に不意打ちだったそうで、パートナーとお祝いのディナーをする予定とのこと。

とはいえ同氏は「時間が経てば経つほど、“ゲーム開発者の宝くじ”にたまたま当たったような気がしてくる」として、表彰を受けている点に実感がないことも伝えている。同氏としては『Balatro』には魅力があると思いたいものの、その魅力はほかのノミネート作品と比べれば「微々たるもの」だと感じているそうだ。


ちなみに『Balatro』は、Golden Joystick Awards 2024のBest Indie Gameを含む3部門にもノミネートされている。同アワードは受賞作品がユーザー投票によって決定される点が特徴だ。一方、10月にノミネート作品が発表された際にLocalThunk氏は『Balatro』ではなく、別の開発者Franek Nowotniak氏らが手がけた『Arco』に投票するように呼びかけていた。この際にはあわせて『Arco』の魅力も熱弁。『Balatro』を差し置いて、ほかの開発者のゲームを宣伝していた格好だ(関連記事)。

今回のLocalThunk氏のコメントも見るに、同氏は「『Balatro』よりもほかのゲームの方が魅力的」といったスタンスを貫いているのだろう。あわせて今回同氏は友人や家族だけでなく、多くのインディー開発者仲間と旅を共にしてきたと感謝を伝えている。開発者間の交友も本作の開発において大きな支えとなっていたようだ。

一方で別のインディー開発者などからは逆に、自分の作品を差し置いて『Balatro』を称賛する声もみられた。たとえば、『Balatro』とあわせて今年一世を風靡した新興タイトルのなかには、1月に早期アクセス配信開始された『パルワールド』なども挙げられる。しかし同作のコミュニティマネージャーを務めるBucky氏は、ノミネート作品発表前となる昨日の時点で『パルワールド』がノミネートされるとは思わないと表明。早期アクセス中で未完成であり、将来完成後に選出されることに期待しているそうだ。

https://twitter.com/Bucky_cm/status/1858349705471971751


そしてBucky氏は「とにかく『Balatro』に勝ってほしい」ともコメントしており、『Balatro』の大ファンだった様子だ。このほか先日には『Stardew Valley』の開発者Eric Barone氏も、『Balatro』に“トランス状態”になるほどのめり込んでいたというエピソードを伝えていた(関連記事)。LocalThunk氏としては『Balatro』の出来について謙遜しているものの、業界人からも高く評価されているゲームといえるだろう。The Game Awardsでは5部門に選出され、さっそく大きな存在感を見せつけている格好だ。

年の瀬も近づき、Golden Joystick Awards 2024やThe Game Awardsの開催も迫っている。今年彗星のごとく現れた個人開発作品『Balatro』はいずれのアワードにも複数部門でノミネートされており、部門によっては名だたる大作と肩を並べている。どれだけの賞をかっさらうのか注目されるところだろう。

「Golden Joystick Awards 2024」は日本時間11月22日1時より、「The Game Awards 2024」は日本時間12月13日9時30分より開催予定だ。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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