『トラブルシューター: 捨てられた子供たち』(以下、トラブルシューター)のSteamユーザーレビューに寄せられた「デートシステムを実装してほしい」という要望について、開発元のDandylionが回答。デートシステムを実装できなかった“悲しい理由”が吐露され、注目を集めている。
『トラブルシューター』はターン制戦略RPGだ。韓国に拠点を置くDandylionが開発を手がけ、2017年12月に早期アクセス配信開始され、2020年4月に正式リリースされた。本作の舞台となるのは架空の自由貿易都市国家ヴァルハラ。世界大戦後の列強3国の利権調整のために誕生した国家であり、軍隊をもつ許可が与えられていないため治安が常に不安定な状況にあった。これを抑止すべく、政府はヴァルハラ歴10年、民間のセキュリティガードたちに捜査・逮捕権を付与。本作では、人々からは「トラブルシューター」と呼ばれる彼らの戦いが描かれる。
ゲームプレイにおいて仲間たちはそれぞれ独自のクラスを備えており、成長によって特性を習得したり、上位クラスにランクアップしたりすることが可能。戦闘はターン制ストラテジーとして繰り広げられ、索敵したり遮蔽物を活かしたりしながら有利な位置取りを狙うシステムが特徴。敵味方の攻撃には命中率があり、着実に敵に攻撃を当てつつ、敵からの攻撃を避けることが求められるだろう。
Steamユーザーレビューにおいては本稿執筆時点で約8100件中94%が好評とする「非常に好評」ステータスを獲得。SF戦略RPG『XCOM』シリーズになぞらえる声が散見される戦略性の高い戦闘システムのほか、登場人物のキャラクター性やデザインなども評価を受けている。なお本作は日本語表示にも対応しており、日本語ユーザーからも好評が寄せられている。
そんな本作に向けたとあるSteamユーザーレビューにDandylionが回答し、注目を集めている。そのユーザーはレビューにおいて本作を「『XCOM』よりも複雑で、非常に良いゲームだ」と称賛。一方で唯一の不満点として「好きなキャラとのデートシステムがないこと」を挙げた。
本作ではたったひとりでトラブルシューターの会社を立ち上げた主人公のアルバスとして、事件を解決する中で数多くの仲間と出会いながらヴァルハラでの日々を送る。また物語のなかでは、仲間たちがトラブルシューターとなることを選んださまざまな動機も明かされていく。仲間たちとの交流模様も本作の持ち味のひとつだろう。そのため上述のようにデートシステムでもっと仲を深めたいプレイヤーもいるようだ。
これに対してDandylionは返信でレビューへの感謝を述べつつ、デートシステムについて説明。多くのユーザーが要望していることを認識しているとしながらも、実装できなかった理由を吐露した。投稿によれば、開発チームのメンバーはデートシステムの開発経験がなく、さらに実生活でも(デート)経験がないという。実体験がなく開発経験もないためデート要素の実装が難しいという悲しい理由が正直に伝えられたかたちだ。
デートシステムが実装できない理由を赤裸々に綴った投稿は、あるXユーザーに引用され、話題を博している。Dandylionの正直さを称賛する意見や「なんて悲しいんだ」と同情を寄せる声もある。
なお本作では治安最悪の街中で、超能力も用いた市街地戦が展開される現実離れした要素が主軸となっている。そのため上述のポストには、そうしたフィクション要素は実装できた一方で「デート経験がないとデートシステムはゲーム内に実装しづらい」と伝えられた点に関心を寄せるユーザーもみられる。誰も経験のない現実離れしたことであれば“リアリティのなさ”を指摘される懸念は小さいだろう。一方、デートという比較的一般的な体験は、開発チームの誰もが経験のない状態で違和感なく作るのが難しいといった判断もあったのかもしれない。
いずれにせよ、デートシステムが実装できない理由を率直に伝えるDandylionのSteamユーザーレビューへの返信は注目を集めている。Dandylionは『トラブルシューター』の世界観をもつ作品を今後も展開していく予定だそうで、次回作としては『Troubleshooter: Banished Children』が開発中。将来の作品にデートシステムが取り入れられるかどうかも注目されるところだ。
『トラブルシューター: 捨てられた子供たち』はPC(Steam)向けに配信中だ。
余談ながらSteam上には、開発者が「青春時代をやり直してみたい」という想いから開発されたという恋愛ゲームも存在(関連記事)。恋愛描写のリアリティはともかく、“理想の恋愛”を追求したゲームとして制作され、ツッコミどころも含めて好評が集まっている。