『サイバーパンク2077』はアプデと拡張パック制作費に推定180億円以上費やされていた。ビッグ予算かけて盛り返しを図った3年間

 

CD PROJEKT RED(以下、CDPR)を擁するCD PROJEKT GROUPは10月5日、投資家向けのプレゼンテーションにて、『サイバーパンク2077』の拡張パックである「仮初めの自由」の開発費の推算について公表した。直接の開発費が2億7500万ズウォティ(約89億1860万円)、マーケティング費用が9500万ズウォティ(約32億3300万円)にのぼるという。

『サイバーパンク2077』は2020年に発売されたオープンワールドアクションゲームだ。舞台となるのはサイバーウェアと呼ばれる技術による肉体改造が一般的になった近未来。欲望渦巻く都市ナイトシティにて、主人公Vが陰謀に巻き込まれていく様が描かれる。

本作は9月26日に、最初で最後の大型拡張パックである「仮初めの自由」が配信された。拡張パックでは壁で外部と隔絶された危険地帯ドッグタウンが登場。主人公Vに新たな任務が託され、“新合衆国大統領”を巡り、忠誠心と陰謀が絡み合うスパイ・スリラーをテーマにした物語が展開される。

「仮初めの自由」は発売10日時点で累計売上が300万本を突破し、レビューについても本稿執筆時点で6850件のうち88%が好評とする「非常に好評」ステータスを獲得している(関連記事)。またSteamDBによると、「仮初めの自由」配信後からは、同時接続プレイヤー数がほぼすべての期間で10万人を超えており、本作ならびに拡張パックの高い人気がうかがえる。


そんな拡張パック「仮初めの自由」について、CD PROJEKT GROUPが10月5日におこなった投資家向けプレゼンテーションで速報値(preliminary data)として開発関連費用が公表された。内訳は、「仮初めの自由」にかかった直接の開発費が2億7500万ズウォティ、マーケティング等の広告にかかった費用が9500万ズウォティということだ。日本円に換算すると、それぞれ約89億1860万円、約32億3300万円となり、拡張パックリリースにあたって合計で120億円以上の金額が注ぎこまれたこととなる。なおCD PROJEKT GROUPの投資家向け公式XアカウントCD PROJEKT IRは2021年に、『サイバーパンク2077』の本編の制作費が合計12億ズウォティ(約336億円・当時のレート)であると公表していた。本拡張パック「仮初めの自由」は、本編の3割ほどの制作費用がかかっているようだ。

また今回の投資家向け発表では、PS5/Xbox Series X|Sへの正式対応、および9月22日に配信されたパッチ2.0の制作費用に合計で1億7800万ズウォティ(約60億円)かかったことも明かされた。つまり拡張パックの開発費と合わせると、『サイバーパンク2077』は発売から現在までに180億円以上の追加費用がかかったということになる。


本作は発売当初ゲームのコア部分は評価されながらも、不具合やPS4/Xbox One版の最適化不足などに関する批判も寄せられる結果に。PS4/Xbox One版の品質については経営陣が謝罪する一幕もあった。一方その後はコンソール向けには先述のPS5/Xbox Series X|Sへのアップグレード版が用意され正式対応したほか、複数の無料アップデートも実施。サポートが続けられたこともあってか、今年7月には「やや好評」ステータスであったSteamユーザーレビューの全てのレビューが「非常に好評」ステータスに転じている(関連記事1関連記事2)。

初動の躓きからサポートが継続され評価が好転した本作。最初で最後の大型拡張パックとなる「仮初めの自由」の開発費も含め、発売後にも莫大な額の費用が注がれたことが今回明かされたかたちだ。

ちなみに本作は続編の開発が始動。また関連作品としてアニメ「サイバーパンク エッジランナーズ」が配信中のほか、実写化プロジェクトが発足したことも明かされている。発売後にも莫大な予算が使われた背景には、リリース当初の汚名返上のみならず「サイバーパンク」というブランドを確立する狙いもありそうだ。


なお『サイバーパンク2077』本編は累計2500万本、拡張パック「仮初めの自由」は発売後10日で累計300万本を売り上げたことが報告されており、売上は好調な様子だ。本作における大型アップデートや新たな拡張は予定されていないことが明言されているものの、続編や関連作品など今後の展開は注目されるところだろう。

『サイバーパンク2077』の大型拡張パック「仮初めの自由」はPC/PS5/Xbox Series X|S向けに発売中だ。