『グランツーリスモ7』にまさかの“救急車”実装。レースサーキットを舞台にサイレンは鳴り響き、タイヤは風を切り、車体は宙を舞う

 

グランツーリスモ7』は8月7日、最新アップデートとなる1.36を配信した。数々の新要素の一つとして「救急車」が追加。8月14日よりキャンペーンにて配布開始されたことで、その走りっぷりが話題になっている。


『グランツーリスモ7』は2022年にPS4/PS5向けに発売されたレーシングゲーム/ドライビングシミュレーターだ。クラシックカーからレーシングカーまで、400を超える車種でレースができるほか、VRを用いた車内の探索や写真撮影などが可能だ。

8月7日に配信されたアップデートでは、新車種や新コースなどの追加要素とQoL面での調整が入った。しかし、発表文のなかで多くのユーザーの目を引いたのは「トヨタ救急車 ハイメディック ’21」の一文だろう。2023年現在も現役運用されている実在の救急車がレーシングゲームに登場したのである。なお救急車は現在8月20日まで実施されているキャンペーンにて入手可能。9月下旬にゲーム内ストアに実装予定となっている。


これを受け、X(旧:Twitter)やYouTubeなどで、思い思いに救急車を爆走させるユーザーたちが出現している。リアルなグラフィックにて大量の救急車がサイレンを鳴らし、砂ぼこりを巻き上げながら悪路を走行する様子は圧倒的。ドリフトもこなして爆走するなど、目を疑うような走りの数々を見ることができる。右へ曲がりますといった丁寧なアナウンスと共に荒々しい走りっぷりを見せるシュールさからか、SNS上で大きな注目を集めている。本作の撮影機能も活用されており、お洒落なロケーションに救急車を置いて撮影するユーザーらも見られる。


なお今回の「トヨタ救急車 ハイメディック ’21」実装にあたって、『グランツーリスモ』シリーズの開発を手がけるポリフォニー・スタジオの福岡拠点は、福岡市消防局の協力を得ているという。外装のナンバープレートも、リアゲートに書かれている電話番号も、実際の車両に書かれているものだそうだ。先述のとおりサイレンを鳴らすこともできる。通常走行時と赤信号進入時の切り替えができるほか、「交差点に進入します、ご注意ください」「ご協力ありがとうございます」といった音声も流せるなど徹底した再現度だ。


内装も再現されており医療体制が万全だが、救急患者を運んでいるわけではないため、安心してドライブやレースに集中することができるだろう。そして、サーキットレースに出場した場合はピットインももちろんある。救急車が連なってレースやドリフトをする光景もさながら、ピットインはおそらく現実では絶対に見られないだろう。


福岡市消防局は公式発表にて「ゲームを通じて、様々な方に消防業務に対して興味をもっていただけるきっかけになればと考えております」と述べている。ゲーム内への救急車の登場はシュールな楽しまれ方もしているものの、真剣な狙いがあるようだ。なお福岡市は2006年に福岡ゲーム産業振興機構を設立して「世界的ゲーム都市」を成長戦略の一つに掲げるなど、ゲーム文化を積極的に取り入れる姿勢を見せている。今回の福岡市消防局の試みにも、そうした背景が影響したのかもしれない。

また、『グランツーリスモ』シリーズにこうした珍しい車が出るのは今回が初めてではない。過去には月面車や世界初の自動車であるモーターキャリッジなど、到底現実のレースではお目にかかれないような車もプレイアブル化されたことがある。こうしたさまざまな車の運転を体験できるのもシリーズの魅力の一つだろう。ちなみに余談だが、『グランツーリスモ7』には警察車両こそないものの、同型のトヨタクラウンも収録されている。

トヨタ救急車ハイメディック ’21は9月下旬にゲーム内ストアに実装予定。本作の世界大会であるワールドシリーズ2023 Showdownを視聴することで、救急車を先行配信でもらえるキャンペーンが8月20日まで実施されている。詳しくは公式サイトを確認されたい。




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