『テラリア』開発者、「『テラリア』が売れすぎて新プロジェクトに移れない」とこぼす。最後のアップデート宣言を繰り返す裏の苦悩

 

Re-Logicの設立者であるRedigitことAndrew Spinks氏は、先日から表示ツイート数の制限が断続的に続くTwitterの状況をふまえ、主なファン交流の場を公式フォーラムに移した。これにともないTwitterアカウントを削除する間際に同氏は「リリースから12年経った現在でも『テラリア』は飛ぶように売れている」というツイートを残し、「今なお続いている本作の需要が新規プロジェクトの始動を難しくしている」と続けた。

『テラリア』は2D型のサンドボックスゲーム。プレイヤーは砂漠やジャングルといった多彩な環境を舞台に、採掘や採取などを繰り返しながらモンスターの生息する広大な世界を探検していく。ゲーム内の地形はクラフトしたツルハシなど各種ツールでの破壊/収集が可能な”ブロック”で構成されている。集めたブロックを組み上げての建築要素も充実。そのほか強力な魔法や装備品、強力なボス、モンスター襲撃イベントなどが揃えられており、プレイヤー次第で自由な楽しみ方ができる非常に奥深いゲームだ。


『テラリア』は2011年5月のリリース以来、PCやNintendo Switch、スマートフォンを始めとした数多くのプラットフォームで展開され人気を博してきた。数々のパッチ、無料アップデートを経て既に12年に及び、その人気は揺るぎなく同時接続プレイヤー数は、2023年6月時点でもピーク時には約5万人、最近の数字としても常時3万人を超えている

本作のアップデートはまだまだ続いており、次のメジャーアップデートであるパッチ1.4.5では、ローグライト・メトロイドヴァニア「Dead Cells」のクロスオーバーコンテンツのほか、多数のアップデート/パッチが予定されている(関連記事)。そして今回、アップデートを控えている『テラリア』の現状について、Andrew Spinks氏による前述のツイート「今なお続いている『テラリア』の需要が新規プロジェクトの始動を難しくしている。」が公開され注目を集めることとなった。

前述のツイートの意図を知るためにPC GamerはRe-Logicを取材。Re-Logicのビジネス戦略・マーケティング責任者であるTed Murphy氏は、その背景を述べている。同氏によると「2015年のパッチ1.3リリース時点で『テラリア』の開発サポートを終了する計画があった」と語った。このタイミングで同作のアップデートに終止符を打とうとしていたという。しかし、当時のチームは同作でやり残している斬新なアイデアを抱えていたため、手を引くことはできなかったと説明している。

それ以降のアップデートにおいても同様の葛藤を繰り返し現在にいたる『テラリア』について、Murphy氏は「本作のサポートを切り上げるという選択は、Re-Logic、『テラリア』シリーズの展開においても有益なものになるだろう。」と語り、それにより開発チームが現状の『テラリア』においては技術的に実現困難な”新たな可能性”を模索できるようになる、と考えを語っている。つまり、『テラリア』から離れたほうが、チームとしては新たな挑戦がしやすい一面もあるわけだ。

その一方で、同氏は今後のアップデートの可能性も明確には否定せず、『テラリア』の最終アップデートはいつになるのかという、たびたび浮上したこの疑問について、「今でもそれを明言できるとは思えない」と語っていた。新しいプロジェクトに挑戦しようとしても、人気があるがゆえに『テラリア』に回帰してしまうのかもしれない。“これが最後のアップデート”宣言を繰り返しているのは、まさしくこうした開発元の葛藤が反映されているのだろう。

なお『テラリア』関連の今後の展開として、Re-Logicは現在ゲーム版のサポートと並行してボードゲーム版『テラリア』を開発中、6月にはボードゲームパブリッシャーであるPaper Fort Gamesとの提携を発表している。


このボードゲームは「『テラリア』の持つ収集、探索、キャラ育成、拠点構築、戦闘といったさまざまな要素をボードゲームに忠実に落とし込み、『テラリア』の世界を広げる作品」と紹介されている。開発にともなうクラウドファンディングの詳細に関しては、8月頃に新情報が公開される予定とのこと。ゲームのアップデートに加え、ボードゲーム版についても期待しておこう。

『テラリア』はPC(Steam)/PS4/Nintendo Switch/iOS/Androidおよび海外Xbox Oneなどに向け配信中だ。