「生産性のあるサービス」へのアクセスをブロックしてくれるChrome拡張がリリースされる。ちゃんとゲームとかしてなさい


PC版Google Chromeブラウザ用に、「Productivity Blocker」なるブラウザ拡張機能が存在。この機能は、生産性が高まりそうなサイトやサービスへのアクセスをブロック。そのかわりに、ゲームや動画を楽しむよう誘導してくるのだ。この奇妙な拡張機能に、海外フォーラムで注目が寄せられている。


「Productivity Blocker」は、ユーザーの生産性を高めるサイトへのアクセスを阻止してくれるChrome拡張機能だ。同拡張機能を有効化すると、仕事に役立ちそうなあらゆるサイトを片っ端からブロックしてくれるのだ。たとえば、Googleが提供する「ドライブ」「スプレッドシート」「ドキュメント」や、マイクロソフトのOffice 365サイトなどが軒並みアクセス不能に。ほかにも、各種メールサービスやSlackといったコミュニケーションツールのほか、コーディングや言語の学習系サイト、Nasdaqといったファイナンス系のサイト、そのほかとにかく生産性の高まりそうなサイトが広範囲にブロックされている。書類の作成や仕事の連絡などもってのほか、株価のチェックや勉強もするなというわけである。

「Productivity Blocker」のキャッチコピーは「Do less, more.」もっとサボれということだろう。同拡張機能の公式サイトには、レビューであるとして4件のコメントが記載されている。そちらでは「この拡張機能のおかげで、複数のアニメフォーラムでの熱い議論に集中できた」「締め切りを3回破り、いま失業中です」といった評価の声が寄せられている。よくわからないレビューであるが、上々の評価だ。なお、同拡張機能はユーザーの任意でいつでもON/OFFできるため、生産性を高めたくなっても安心である。

ユーザーの生産性を高める方向性が多いブラウザ拡張機能において、生産性を下げようとしてくるコンセプトはやや異色。拡張機能自体のリリースは今年3月頃と見られるものの、海外技術者向けフォーラムなどで現在にわかに注目が寄せられているのだ。


この拡張機能を使用中に生産的なサイト閲覧が阻止されると、「お楽しみの時間なのに、生産的になろうとしたようですね」との旨が表示。おすすめの息抜きリンクが表示される。そこでは水でふやかすインスタントパンツが買える通販サイトリンクや、「人を踏んですべるバナナ」「セーターを着た牛」などの動画が紹介。ほかにも、時間をしっかり消費できそうなコンテンツが紹介されている。そのうちのひとつが、Bossa Studiosが手がけるパンシミュレーター『I Am Bread』のSteamストアページだ。なお、同スタジオは、本拡張機能の開発とは無関係と思われる。

『I Am Bread』


『I Am Bread』は、プレイヤーがパンとなるゲーム。1枚の食パンとして困難を乗り越え、体をこんがり焼いてトーストとなるアクションゲーム。また、別モードではクラッカーやベーグルやバゲットなどになって、食パンでは味わえないプレイも楽しめる。かなり突飛な内容の本作は「生産性が上がらないゲーム」として、拡張機能からお墨付きをもらったかたちだろう。なお、筆者が確認したところ、Steam/GOG.com/Epic Gamesストア/itch.ioといったPCゲーム配信プラットフォームや、PlayStation/Xbox関連サイトは拡張機能ONで閲覧できた。弊誌AUTOMATONも閲覧可能。これらはちゃんと生産性のないサイトやサービスとして判定されているようだ。

「Productivity Blocker」は、はコピーライターのSteven Nass氏と、ゲーム関係の広告会社Mutinyに務めるKory Brocious氏が手がけたとのこと。また、拡張機能自体の作者としては、エンジニアのMohsin Ali氏がクレジットされている。なお、Nass氏については過去に別のクリエイターらと共に、ゲーム開発などのプロジェクトも手がけている。たとえば、シミュレーションゲーム『Oregon Trail』を、赤痢になっても死なないかわり下痢が止まらなくなるようにしたゲーム作品『You Have Not Died of Dysentery』などをitch.io向けにリリース。ほかには、暗いニュースばかりを探して読んでしまう行動「Doomscroll」への対策として、『DOOM』のスクリーンショットをひたすらスクロールできるTwitter BOT「Doomscroll DOOM Bot」にも携わっている。

Productivity Blocker」は、Chrome ウェブストアにて公開中。PC版Google Chromeに導入すれば、作業効率や生産性を効率よく下げられるだろう。ゲームにも集中しやすくなるかもしれない。