AIイラスト生成サービス「mimic」今後の展開について発表。“イラスト描いてるか”確認など、不正対策強化し再出発


株式会社ラディウス・ファイブは9月14日、AI技術を活用したイラスト生成サービス「mimic(ミミック)」について、今後の展開を発表した。本サービスは利用者が描いたイラストをアップロードすることで、AIが画風を学習して利用者とテイストの似たイラストを新たに生成するというもの。先月にはベータ版がリリース。しかしその直後、おもに不正利用に関する指摘が相次いだことで、改善をおこなうために全機能を停止していた(関連記事)。今回の発表内容は、不正利用対策を強化した「mimicベータ版 2.0」の詳細についてが中心となっている。また、同ベータ版は10月中に公開を目指していることも公表された。

ベータ版 2.0の説明文では、まず不正利用について「著作権を保持していないイラストを著作権者の許諾なくアップロードする行為」および「mimic上で公開されているイラストを利用範囲を逸脱して利用する行為」と定義。そうした行為への、具体的な対策についての詳細を公開している。まず新しく盛り込まれたのは、利用者のTwitterアカウントの事前審査だ。ベータ版 2.0では、Twitterアカウントの情報をもとに、mimicアカウント審査ガイドラインに基づいた調査がおこなわれるようになる。審査の結果、運営側が「自身でイラストを描いている」と判断したアカウントのみ、サービスを利用できるようになる。

不正利用を防ぐため、mimicアカウント審査ガイドラインの詳細については伏せられている。しかし目安として「Twitter上での投稿や活動が確認できること」「Twitter上、またはTwitterアカウントと相互リンクとなっているイラスト投稿サイト等のページ上にて、ご自身でイラストを描いていることが確認できること」「暴力的・反社会的な表現、自殺、自傷行為の助長等の行為をおこなっていないこと」と補足。厳しい基準を設定しているため、審査完了までに大きく時間を要する場合があるとしている。なお、上記の条件を満たしている場合であっても、必ず審査を通るというわけではないとのこと。また、そうした審査結果については、創作活動を否定するものではないとしつつ、サービス運営上の課題であると説明した。


こうした一連の対策は、利用開始前に運営側がユーザーをチェックすることで、なりすましや権利をもたないユーザーがサービスを不正に利用することを防ぐ狙いだろう。普段からイラストを描いている者のみが、本サービスを利用できるようにするための仕組みといえる。

続いての対策は、「学習に利用されたイラストや、mimicが作成したイラストを公開必須にする」というものだ。こちらの仕様については、透明性を確保するためと説明。イラストメーカー作成完了後、学習に利用されたイラストとmimicが作成したイラストには、大きく透かしが入った状態で公開されるようになる。非公開に変更することはできず、作成完了後48時間は削除もできないとのこと。さらにイラスト公開ページには、作成者のTwitterアカウントへのリンクを設置。利用規約違反が疑われる場合の報告用フォームも新たに設けられる。仕様の都合上、外部に公開したくないイラストはアップロードしないようにと説明されている。

本サービスを利用するためにアップロードされたイラストや、生成されたイラストは常に公開されることになるため、第三者が確認できるようになる。自身のイラストが無断で利用されていないかを確認できるだけでなく、作成後イラストが何に利用されているのかも確認しやすくなる仕組みとなっている。第三者に見られている状態になることで、不正利用しようとした人が他者の目を気にして躊躇する、といった効果も期待できそうだ。


さらにmimicが作成したイラストの悪用防止対策として、作成されたイラストには必ず透かしが入る。こちらは以前にもあった機能だが、ベータ版 2.0では透かしをなくすことができない点について強調。くわえて、詳細は伏せられているものの、イラストには追跡するための情報が付与されるとのこと。こちらは作成されたイラストがその後、不正利用されることを防ぐための仕組みと見られる。

今回運営元より発表された対策は以上だが、状況に応じて追加の不正対策を随時検討・導入するとのことだ。また、先月リリースされていたベータ版については、厳しい意見を多数寄せられたとしている一方で、楽しみにしているユーザーの声も受け取っていると報告。できるだけ早くサービスを届けたいという思いから、正式版ではなくベータ版 2.0としてリリースすることを決めたと説明している。

https://twitter.com/SESKOU/status/1570053687338479617

発表されたベータ版 2.0の詳細について、インターネット上ではおおむね好意的な意見が見受けられる。以前と比較して、利用できるユーザーが限られてしまうものの、本サービスはもともとクリエイターの創作活動を補助するために開発された経緯をもつ。懸念事項がある状態では、クリエイターが安心して利用するのは難しい。以前のベータ版で危惧されていた不正利用という点について、今後精力的に対策が打たれていくようだ。

mimicがクリエイターに寄り添ったサービスとして、創作活動を手助けしてくれる心強い存在となることを期待したい。mimicベータ版 2.0は10月中の公開を予定している。最新情報は公式Twitterにて確認することができる。



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