現在Steamにて、サマーセールが開催中だ。2万9000本以上のゲームがセール対象となっている。セール期間は、日本時間で2022年7月8日午前2時まで。今現在Steamでは、ある価格帯がホット。それは300円である。『Vampire Survivors』の定価と言い換えてもいいだろう。同作が300円でリリースされたことで、後続の同ジャンルゲームは『20 Minutes Till Dawn』など含め、300円に近い価格帯でリリースされている。いまもっとも、競争の激しい価格なのである。ということで、今回は300円以下で購入できるゲームの中でおすすめできるものを、AUTOMATON編集部でピックした。手頃価格なので、買ってそのまま積むもよし、友人にギフトするもよしである。
Lofi Ping Pong
104円(520円、80%オフ、日本語なし)(Steamストアリンク)
『Lofi Ping Pong』は、卓球をモチーフにしたリズムゲームだ。ローファイでチルなヒップホップをBGMとし、楽曲のBPMにシンクロするように卓球のラリーが展開。相手が打った球は、左・真ん中・右のいずれかの方向に飛んでくるため、リズムに合わせて方向を入力し打ち返すのだ。
シンプルなゲームプレイであるが、入力受付時間がかなりシビア。1回でもミスすれば楽曲の最初からやり直しとなる。また、ステージによっては球が2つに増えたり、相手が打った球がカーブしたり。流れているBGMとは裏腹に、リラックスしていられない難易度かもしれない。ただタイミングを掴めてくると、一定のリズムに身を委ねながら、不思議な没入感を感じることができる作品なのである。
by. Taijiro Yamanaka
Gato Roboto
246円(820円、70%オフ、日本語あり)(Steamストアリンク)
『Gato Roboto』は、ネコが主人公のメトロイドヴァニア・アクションゲームだ。宇宙船がとある惑星に不時着し、ご主人が負傷してしまったため、ネコのキキが代わって放棄された軍事施設を調査する。施設内ではバトルスーツを発見でき、キキはこれに身を包むことで攻撃手段を獲得。ショットで敵を倒し、ミサイルでブロックを破壊しながら探索を進めていくのだ。アップグレードにより新たなアクションを習得することで、探索できる範囲は徐々に広がっていく。
バトルスーツは強力である一方で、たとえば狭い通路を通れないなどの弱点が存在。そうした場所では、スーツを脱いで進むことになる。キキなら壁を駆け上ることも可能だ。ただ、生身の状態ではダメージ1回で死んでしまうため、上手く敵をやり過ごさなければならない。本作は、メトロイドヴァニアとしてオーソドックスな作品。そのなかで、こうしたスーツの着脱の判断は特徴的な要素だといえる。巧みなレベルデザインも相まり、ヒラメキひとつで突破口が開ける達成感が魅力だ。
by. Taijiro Yamanaka
LoveChoice 択愛
164円(205円、20%オフ、日本語あり)(Steamストアリンク)
『LoveChoice 択愛』は、恋愛アドベンチャーゲームだ。かわいらしいキャラクターのデザインが印象的で、淡い物語が展開されるのではないか。そう期待してゲームを遊ぶことだろう。それは正解であり間違いでもある。というのも本作は、ハードコア恋愛アドベンチャーゲームなのだ。何がハードコアか。意中の異性と結ばれるにあたっての難易度がかなり高い。普通に選択肢を選んでいれば、なかなか恋が成就しない。そして成就しないばかりか、その選択肢の「何がダメだったか」をやたらと細かく指摘される。たとえば、本作のストーリーのひとつはゲームジャムでの出会いがきっかけになる。そこで自己紹介しながら話かけると「あの話かけ方は嫌だった」と後になって明かされる。手をつなぐにあたって会話選びがいまいちな場合だと、「あれは余計だった」と言われる。あんまりである。
恋愛という行為の難しさを語っているのか、もしくは中国人女性の個性を示唆しているのか。全編を通じて、難易度とフィードバック共にシビアな恋愛レッスンを受けることになる。恋愛とはかくも難しいものであると学べる。どことなく『Florence』の影響を感じられるのだが、『Florence』を中国で作るとこうなるのかと驚いた。もちろん感動するような演出もあることは言及しておきたい。いずれにせよ、この価格で購入すれば納得できるだろう。
by. Ayuo Kawase
『Retrowave』
155円(310円、40%オフ、日本語なし)(Steamストアリンク)
『Retrowave』は、何も考えたくない時に遊ぶのにうってつけ。車を選んで、コースを選んで、ただエンジンを唸らせる。それだけ。ゲームとしては極めてシンプルだが、とにかく音楽が気持ちいい。美しくも幻想的なハイウェイを、何も考えずに、イカしたシンセウェーブサウンドと共にぶっ飛ばすのが気持ちいい。学校や仕事で疲れ果てた日、なにも考えなくない日。そんな日に部屋を真っ暗して遊ぶ『Retrowave』は格別である。
ゲームプレイとしては、ただ道路をまっすぐ進むのみ。車のニアミスを狙ったりタイムを狙ったりといった遊びも可能だが、根本的な遊び方はそう変わらない。新しい体験や複雑なゲームプレイはまったく存在しない。それでも、本作は脳みそと耳に極めて優しい。遊べば遊ぶほどお金がたまるので、お金を買って車やパーツを買うもよし。なにげに車の操作視点もいくつかの種類で選べるのも嬉しい。ドライブ体験を突き詰めてミニマル化させた魅力が、ここにはある。
by. Ayuo Kawase
Clawfish
155円(310円、50%オフ)(Steamストアリンク)
『Clawfish』は、クレーンゲームをプレイして魚たちを中から救い出す、短編お魚クレーンゲームである。本作の舞台は、日本のようで日本でない、周囲が水没した夏の世界。プレイヤーは、電車に乗ってCLAWIFSH駅にやってきた何者かだ。駅の周辺には、魚の入ったクレーンゲーム機がいくつか設置されている。プレイヤーは、両替機風の機械からコインを受け取り、クレーンゲームをプレイ。23種類の魚を救い出すことが、ゲームプレイの目的となる。
クレーンゲーム機には水も入っており、生きた魚たちは中を泳いでいる。通常、クレーンゲームでは動かない景品を狙ってアームを動かすのだから、動く魚を捉えるのは難しく思えるかもしれない。しかし、本作ではその分アームが強力。多少魚の位置がアームからずれていても、引き上げる瞬間には不思議と中央へと吸い寄せてくれる。クレーンゲーム自体の難易度は、魔法のアームによって抑えられているわけだ。
本作では、奇妙なクレーンゲームの周囲に、ゆったりとした時間が流れている。見渡す限りの青い水と空。どこまでも続く水平線。照りつける夏の日差し。随所に設置された奇妙な張り紙と自販機。どこか日本を思わせる情景は、謎の郷愁を感じさせる。まだまだ今年の夏は長いが、クーラーの効いた部屋で、ありもしない夏の思い出に浸るのもいいかもしれない。
by. Keiichi Yokoyama
さよなら、ゴールデンエイジ
102円(205円、50%オフ、日本語あり)(Steamストアリンク)
『さよなら、ゴールデンエイジ』は、未完成のゲームを遊んで青春に別れを告げる、短編パズルアドベンチャーゲームだ。本作の主人公は、かつてサークルでゲームを制作していた。メンバーは、グラフィック担当のZhiZhiとレベルデザイン担当のLiLi、シナリオ担当のCCに主人公を加えた4人。当時彼らは仲が良く、部室は誰かの持ち込んだモノで溢れていたようだ。しかしゲームは完成せず、サークルは道半ばで解散してしまう。理想のゲーム像の違い、メンバーの進路。モラトリアムの終わり。また、主人公はサークル活動に心残りを抱え続けていた。
本作でプレイヤーは、主人公の思い出と現実の混ざった空間で、かつて未完成のまま制作が終わってしまった処女作「KANATAの奇妙な冒険」をプレイする。各ステージの開始時には、当時のログが音声付きで再生される。メンバー3人の会話などによって、サークルが解散してしまった理由や、当時の状況を知っていくわけだ。ゲームプレイの半分以上は、「KANATAの奇妙な冒険」のプレイ時間が占める。しかし同作は、思い出の中においても未完成。パズルゲームとしては、少々単調な印象を受ける。では、どのあたりがオススメなのか疑問に思うかもしれないが、つまるところ本作には青春の輝きが込められている。主人公が、黄金に煌めく苦い記憶に向き合う物語を見届けてほしい。
by. Keiichi Yokoyama
helionaut
155円(310円、50%オフ)(Steamストアリンク)
『helionaut』は、宇宙を旅するアクションゲームだ。平穏な日常は、テレビの故障によって崩れ去ってしまった。かけがえのない存在を修理すべく、銀河を股にかけた冒険が始まる。プレイヤーは宇宙船で、自動生成される星を転々としていく。さまざまな素材を拾う、または採掘して入手。それらを用いれば、武器やツールのクラフト、宇宙服や船のアップグレードが可能だ。体力の回復や宇宙船の修理もクラフトにておこなう。
ピクセルアート風3Dで描かれるグラフィックの可愛らしさに反して、ゲームプレイはなかなかシビア。というのも、星々にはレーザー銃を装備した危険なロボットたちが跋扈しているのだ。会話の通じる相手ではないため、星の探索には戦闘がつきもの。あいさつ代わりに石を投げつけ、レーザー銃を奪ってやろう。ゲームを進めると、宇宙船はどんどん強化されていく。ブラスターを搭載すれば、ロボットの宇宙船に挑むことが可能。ラジオを搭載して、チルミュージックを聴きながら銀河を馳せることもできる。後者は、心地よい環境音からくる眠気と戦っていた筆者としては嬉しい要素であった。
以上のように、本作はポップで可愛らしい世界観と、歯ごたえのあるゲームプレイが持ち味となる。また、ゲームサイクルのテンポの良さも魅力のひとつだ。値段の割になかなかのボリュームも備えている。難易度はやや高いものの、おすすめの一作だ。
by. Hideaki Fujiwara
SpaceChem
252円(1010円、75%オフ、日本語あり)(Steamストアリンク)
『SpaceChem』は、宇宙の辺境に化学物質の精製ラインを組み上げるパズルゲームだ。ただ、化学の知識はまったくと言っていいほど必要ない。その手の知識が義務教育で止まっている筆者でも、何の問題もなく遊べている。荷物の運搬ラインを作るゲーム、と考え直してもいいかもしれない。本作を遊ぶ際には、荷物となる原子や分子の種類によってまとめ方のルールに違いがある、という程度の理解でたぶん問題ない。
その一方で、パズルの難易度は高い。序盤を越えるとパズルの“規模”が拡大するため、広い視野をもって思考する必要がある。しかし、頭をひねって組み上げた精製ラインが稼働して、原子やら分子やらをスルスルと捌いていく様は見ていて非常に「気持ちいい」。パズルゲームとしての達成感にくわえて、視覚的な満足感も得られるのが本作の醍醐味だ。また、丁寧に日本語訳された、なかなか読み応えのあるストーリーもゲームプレイの彩りとなっている。
なお、このゲームには、人によって魔性の魅力となりそうな要素もある。各レベルのクリア後に表示される、他プレイヤーの記録分布だ。手塩にかけた精製ラインでクリアした達成感も束の間、「もっともっとスマートなラインを作れるんだぞ」と突きつけられるのである。これにより、さらなる効率化への探究心がかきたてられ、周回プレイへの意欲も高まっていく(かもしれない)。独特な魅力によって、地道なライン組み上げに躍起になってしまう本作。低価格でもじっくりと遊びこめるゲームをお求めの人は、ぜひ手にとってみてほしい。
by. Hideaki Fujiwara
Velocibox
260円(520円、50%オフ、日本語あり)(Steamストアリンク)
『Velocibox』は左右と上下反転の操作で障害物を避けながらキューブを集めるゲームだ。非常にシンプルなルールと操作で、おそらくチュートリアルは1分程度で終わる。難易度は非常に高く、そのシンプルさと難易度の高さ、値段の安さからよく『Super Hexagon』と比較されることが多いタイトルだ。しかしながら個人的には『Super Hexagon』よりもさらに数段階難易度が高いゲームであるように思える。
レベル9突破でクリアとなる短いゲームではあるのだが、画面の見方と操作に慣れるまではほとんどゲームにならない。ただしスピード感がありリプレイ性も高いので、プレイを続けるのはそれほど苦ではない。気がついたら少しずつ上手くなっていき、上手くなってくると爽快感も出てくる。ゲームの原初的な楽しさを思い出させてくれるタイプのゲームだ。筆者は実績のコンプリートに『Super Hexagon』の2倍近い時間がかかったため決してお手軽なゲームとは言えないが、上達と手応えを求めるプレイヤーには是非一度手にとって見てほしいタイトルだ。
by. Mizuki Kashiwagi
Botanicula
300円(1000円、70%オフ)(Steamストアリンク)
『Botanicula』はポイント&クリック形式のアドベンチャーゲームだ。怪しい箇所をクリックし、謎を解くことで物語を進める。ストアの説明によるとストーリーは、5体の植物が故郷の大樹を救うため木の実を探す冒険に出かける、というものらしい。
らしいというのは、このゲーム、言葉による説明は一切ないのだ。登場するのは未知のへんてこな生き物ばかり。起こる出来事も奇妙なことばかり。だからストーリーは謎なのだが、それでもゲームをプレイしていてわかりにくいということはない。ちょっとしたビジュアルや音響の演出により、どうプレイすべきか手探りでわかるようになっている。その遊びやすさは、『Botanicula』の世界がとても丁寧に作られているからこそだ。謎解きにつながるものでなくても、クリックするとなにかしら反応が見られる箇所も多数存在する。その丁寧な作り込みゆえに、あちこちクリックして、その世界を堪能したくなるような作品である。
開発のAmanita Designはポイント&クリック形式の作品を数多く手掛けるスタジオ。『Botanicula』とその他のタイトルを比べると、初期作の『Samorost』『Machinarium』より気軽に遊べ、一方で近年の『Chuchel』や『Happy Game』よりは歯応えがあるものとなっている。タイトルごとにユニーク、かつ同スタジオらしいアートを楽しめるので、『Botanicula』が気に入ったら他の作品を手に取るのもいいかもしれない。ちなみに『Chuchel』も300円セール中だ。
by. Yoshiki Oe
CHR$(143)
205円(410円、50%オフ、日本語あり/機械翻訳)(Steamストアリンク)
『CHR$(143)』は、論理パズルゲームだ。プレイヤーは「Agent(エージェント)」と呼ばれる1体から複数体のキャラクターを操り、ステージごとの目標の達成を目指す。本作は8-bitコンピューターであるAmstrad CPC 464向けゲームへの尊敬を込めた作品であり、グラフィックも当時の雰囲気を再現するような、シンプルでレトロなピクセルアート。なお、ワンボタンでもう少し現代的グラフィックにもできるものの、依然としてレトロである。
シンプルな外見とは裏腹に、本作のゲームプレイは底知れない奥行きをもっている。本作にはさまざまなセンサーや各種論理演算機能を備えたブロックが存在。水や岩などのオブジェクトは物理演算に沿って動き、オブジェクトを発射する磁力カタパルトなど、ギミックに利用できるブロックも多彩だ。そうしたブロックを利用したパズルステージが72ステージにわたって収録されている。
また、ユーザーは自身のステージを作ることも可能。そうなるともはやパズルゲームではなく、論理ブロックを使ったサンドボックスゲームとしての様相を呈するのだ。乗り物から大規模なマシンまで、ユーザーの創造力を炸裂させられる。なお、本作の日本語表示は機械翻訳ながら、ある程度ゲームプレイの理解に支障はない水準となっている。低価格ながら奥の深い本作に、ぜひ触れてみてほしい。
by. Seiji Narita
Cube Escape Collection
260円(520円、50%オフ、日本語あり)(Steamストアリンク)
『Cube Escape Collection』は、謎解きアドベンチャーゲームコレクションだ。本作には『Cube Escape』シリーズから、9つの作品が一挙収録されている。いずれも基本はポイント&クリック型の謎解きやパズルが中心で、いわゆる脱出ゲーム的なゲームプレイが基本となる。ほどよい難易度で、そこまで頭を悩ますことなく、謎が溶けていく快感を味わえる。
また、同シリーズの大きな魅力はその世界観だろう。いずれの作品でも舞台となるのは、恐ろしい悪夢のようでもあり、一方で愉快さもある不条理な世界。また、本作開発元Rusty Lakeのほか作品も『Cube Escape』シリーズと世界観を共有しており、背景には大きなストーリーの流れが存在したりもする。いわばRusty Lakeユニバースが存在するわけだ。『Cube Escape Collection』は、そうした世界観への入門編としても、単に手軽な脱出ゲームとしても楽しめる。また、9本入りゆえのボリュームもなかなかのもの。コスパ高く、本作の世界観と謎解きを味わってみてほしい。
by. Seiji Narita