『エルデンリング』のマレニアの蹴りは“仙峯寺拳法由来”か。脈々と受け継がれるモーションの系譜

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エルデンリング』のマレニアの蹴りは、『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE(以下、SEKIRO)』で登場していたかもしれない。そんな可能性を示唆する「蹴り比較動画」が投稿され、注目を集めている。しかし、『エルデンリング』に受け継がれている過去作モーションは、マレニアキックに限らないようだ。


『エルデンリング』は、フロム・ソフトウェアが手がけたアクションRPGだ。本作は『ダークソウル』シリーズなど、近年の同スタジオ製アクションRPGのゲームプレイを継承。一方で、舞台は広大なオープンフィールドとなり、本作ならではの要素も盛り込まれている。つまり、新たなゲームでありながら、フロム・ソフトウェア過去作経験者であれば、過去作の面影をさまざまな部分で感じられる内容なのだ。過去作のノウハウが活かされた結果として類似している部分もあれば、「お約束」的なキャラクターや演出などもある。また、自キャラや敵のモーションにも過去作を彷彿とさせるものもあり、なんとなく既視感をおぼえたユーザーもいるだろう。

そして、そんな既視感の正体にまつわる動画が、海外掲示板Redditにて注目を集めている。「この動きは見たことがあるぞ」と題されたスレッドは、『エルデンリング』のボスであるマレニアと、『SEKIRO』の敵である孤影衆のひとりを比較。動画にて、両者の「蹴り」の動きの類似性を示している。

実際に動画にして両者を比較されると、たしかに類似性が見られる。刀の捌き方は違うものの、反時計回りに一回転して高い所から襲い来る蹴りは特徴的。蹴りの軌道もぴたりと一致しているように見える。マレニアキックは単発攻撃、孤影衆キックは連続攻撃の始点という違いはありつつ、同じ流派の蹴り技のような印象だ。

そして派手に回転する打点の高い蹴りといえば、『SEKIRO』の主人公である狼も「仙峯寺拳法」として各種の蹴り技を利用可能。これもマレニアキックや孤影衆キックに類似した動きだ。つまりマレニアの蹴りは、仙峯寺の修験者たちに端を発し、スタジオ内で「かっこいい体術としての蹴りの動き」として彼女に受け継がれた可能性もあるだろう。なお、『ダークソウル』シリーズの敵としてはミミックが華麗な回し蹴りを披露してくれていたが、拳法とはやや趣が異なるコミカルな動きだった。


フロム・ソフトウェア過去作と『エルデンリング』でモーションが一致する例はほかにもある。たとえば、同作における直剣系武器のモーションが『DARK SOULS III』の直剣系武器とほぼ一致するような例がある。ほかの武器に関しても、連続攻撃の一部の動きが一致するなどの様子が見られるのだ。また、刀系の武器については『SEKIRO』のモーションからの影響が色濃く見られる。ユーザーによる『SEKIRO』と『エルデンリング』の比較動画なども公開されており、そちらを見ると類似性がよくわかる。褪せ人たちは、狼のように刀を振るっていたのだ。


このように『エルデンリング』には、フロム・ソフトウェア過去作のモーションが活用されていると見られる部分が随所にあるのだ。この理由には、ノウハウの流用という面もあるかもしれない。しかし一方で、細かい調整や変更は随所に凝らされている。また、かっこよく完成されたモーションを調整しつつ引き継ぐことは、作品の質を高めたり、過去作プレイヤーに馴染みやすさを与えることにもなるだろう。

また、モーションキャプチャー俳優が、過去作でよかった動きをもう一度おこなった可能性もあるかもしれない。というのも、『DARK SOULS III』や『SEKIRO』『エルデンリング』には、モーションアクトを手がける集団である活劇座が協力。特に、同団体アクターの杉原明氏は上述3作品すべてに関わっている。必要に応じて、過去の演技を再現した可能性もあるだろう。

マレニアの蹴りは“仙峯寺譲り”なのか、褪せ人たちの刀捌きは狼に由来するのか、その真実を知るのは開発陣のみ。しかし、『エルデンリング』と過去作を重ね合わせてみると、単なる偶然でも流用でもなく、作り込まれたモーションが調整を重ねて脈々と受け継がれている様子がわかる。過去作のモーションを思い出しつつ『エルデンリング』を遊んだり、あるいは改めて過去作を遊んでみても、「これだったのか!」という発見があるかもしれない。







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