『スマブラ』セクハラ問題の渦中にあったNairo氏が復帰に動く。法的な合意はついたとし、ふたたびコミュニティのもとへ

Image Credit : Nairo

『大乱闘スマッシュブラザーズ』(以下、スマブラ)元プロプレイヤーNairo氏は2月20日、自身の近況報告を伝える映像を公開した。同氏は『スマブラ』シーンにおけるセクハラ騒動の発覚以来、配信等の活動を停止していた。 

Nairo氏は『スマブラX』より前線で活躍してきた、『スマブラ』プロシーンにおける代表的プレイヤーだった。当時、“絶対王者”ZeRo氏の56大会連勝記録を打ち止めるなど、数々の功績を築いてきた同氏。ところが2020年夏、『スマブラ』競技シーンにおける大きな問題の渦中の人となる。あるユーザーの告発により、界隈における未成年の性的被害告発ラッシュが勃発したのだ(関連記事)。その流れで、「Nairo氏が当時15歳だったCaptainZack氏と性的関係をもった」との告発が発生。Nairo氏は加害者として謝罪文を発表し、スポンサーとの契約は打ち切りられ主要大会への出場禁止に。TwitchではアカウントがBANされるに至った。 

ところが10月になり、状況が一転。Nairo氏は自身が加害者ではなく、むしろCaptainZack氏から性的関係を強要された被害者であるとの声明を発表した(関連記事)。CaptainZack氏に金銭を要求されたことなども告発しており、Nairo氏が現在セラピーにて精神的な治療を受けていることが明かされている。同時に、夏から弁護士を雇っており、法的な処置をおこなう準備を進めていることが発表されていた。 
 

 
今回公開されたNairo氏の動画は、昨年10月の声明以来の情報発信となる。動画にてNairo氏は、ここ半年間進めてきた法的処理が完了し、「法的合意に達した」と告げている。Nairo氏は一連の出来事の中で、自身の“ホーム”であった『スマブラ』コミュニティから離れ休憩をとることに思い至ったと説明。無念さを抱きつつも、スポンサーとの関係打ち切りや配信停止に甘んじていたと語っている。 

転機となったのは11月、同氏が誕生日を迎えようとしていた日の出来事だ。友人からの誘いでDiscordサーバーに入ると、古くからのファンが大勢待ち構えており、盛大な祝福を受けたという。深夜0時から始まったボイス通話は大いに盛り上がり、明け方の6時まで話し込むほどだった。その中で、多くの人々がNairo氏の配信により元気づけられてきたことを語ったそうだ。同氏は、自身の活動が誰かの人生に良い影響を与えていた事実に強く感銘を受けたという。さらにNairo氏のもとには郵送で本が届けられ、その中には大会でファンと撮影した写真やメッセージが数多く収められていたとのこと。 
 

 
幸福な誕生日を迎えたことを境に、Nairo氏の心境に変化が生まれた。自身の活動で他の人に良い影響を与えることに、もういちど挑戦しようという思いが生じたのだ。ふたたびゲームを楽しみ、配信し、コミュニティへ戻ろうという意思を今は抱いているのだという。活動再開にあたり、同氏は古巣であるTwitchへの復帰を望んでいるものの、まだBANは解除されていない。異議申し立てをしているところであり、今のところ先行きはどうなるかわからないようだ。 

Nairo氏は自身に心配を寄せてくれたファンに対し、改めて深い感謝の意を伝えた。同氏が『ファイナルファンタジー VII』好きを公言していたことから、セフィロス参戦の発表時にNairo氏の様子を尋ねる声が兄のもとにまで届いたという。また同氏は、自身が治療を受けているセラピストならびに友人らへも謝意を述べている。現在は、コミュニティにふたたび参加し活動したいという思いを切実に抱いているとのことだ。 
 

 
多くの支援を受け、活動再開への意欲を見せたNairo氏。ただし足がかりとなる配信チャンネル復旧のめどは立っておらず、今後どのような方向へ転がるかは不透明な状態だ。また「法的合意」が騒動のもととなったCaptainZack氏と結ばれたものかどうかは言及されず。CaptainZack氏のTwitterは昨年7月を最後に更新されていない。