PS4を“無線LANルーター風”にする謎文化が流行中。きっかけは「お父さんゲーマーの苦しい言い訳」

 

ゲーム機が欲しいけど、家族がどうしても許してくれない。それでも、あの手この手でなんとか説得しようと試みた経験のある方もいることだろう。2019年6月に韓国のYouTuberが、そうした家庭にて名案を思いついた男が、ある作戦を敢行するアニメ作品を公開。当時は韓国国内で話題になっただけだったようだが、今年2月に入って中国やマレーシア、シンガポールなどほかのアジア各国にも広まり、さらに作品内のとあるワードの検索数が急上昇している。台湾メディア4Gamersなどが報じている。

こちらがそのアニメ作品である。Wi-Fiが繋がらなくなったとして旦那は業者を呼び、無線LANルーターを調べた業者は古いモデルのため機能していないと診断。すると嫁は「じゃあ交換してよ」と言い、業者は早速新しいものと取り替える。そして代金について尋ねる嫁だったが、業者は無料サービスですと述べ、旦那は「昔は高くついたものだが、良い時代になったもんだ」とつぶやく。しかし、嫁は「ルーターってこんなに大きいものなの?」といぶかしむ。そこに置かれていたのはPS4 Proだった。

どうやら旦那は業者を装った友人と結託し、ルーターであると嫁に嘘をついてPS4 Proをリビングに導入する計画を実行したようだ。旦那と業者は「4G/5G対応の最新型だから大きいんだ」などとなんとかはぐらかそうとするが、嫁からは「これ、ゲーム機っぽいけど」と鋭い指摘。そこに子供が帰宅し、“ルーター”を目にした途端「お父さん、PS買ったの?!」と言ってしまう。焦ったふたりは、「そ、そうPSを買ったんだ」「このルーターは“Plash Speed”って言うんですよ。だからPS。お子さんは物知りですね」と取り繕い、事情を察した子供も「実は学校のITの授業で習ったんだ」母親に述べ空気を読む。しかし最終的に、遊びにきた子供の友人がPS4 Proを見て興奮し、スペックをベラベラ喋ったことで嫁にバレてしまうという内容だ。

この動画に誰かが中国語の字幕をつけ、さらにFacebookユーザーのWayne Wong氏が英語の字幕を足して公開した事で、作品はアジア圏に広まっていった。そして、この作品内の「Plash Speed」という言葉が話題になる。

https://www.facebook.com/techcritter/photos/a.671035629596105/3092739437425700/

「PS」は「PlayStation」のことではないと、嫁をごまかすためにとっさに飛び出たワード「Plash Speed」。アニメの内容はもとより、水がはねる音のスピードというよく分からない言葉としてウケたという面もあるだろうが、インターネット上ではPS4本体の無線LANルーター化を意味する言葉としても拡散。実際にPS4本体にアンテナをつけてルーター風に仕立てた画像や、コラージュ画像が投稿されることに。Weiboに投稿された上のコラ画像ではアンテナに加えて、本体天面のPlayStationロゴをASUSなど無線LAN機器を扱うメーカーのロゴで隠したり、手前のPS4ロゴをLANケーブル規格の「RJ45」に見えるように細工するアイデアも示された。

https://www.facebook.com/asusmalaysia/photos/a.295916984115/10158017150139116/

こうした盛り上がりに、数多くシェアされたコラ画像にてロゴが隠れ蓑に利用されたASUSのマレーシア公式アカウントも反応。アニメ作品の1シーンの画像に、PS4 Proの代わりに自社のルーターを配置し「ちょっと、ルーターってこんなに大きいものなの?ええ、6000Mbpsで通信可能なPSことPlash Speedです」とちゃっかり宣伝している。ちなみに、この製品は同社のゲーミングWi-Fi無線ルーター「RT-AX88U」のようだ。外形寸法は300x60x188mmのため奥行きこそ短いものの、幅と高さはPS4 Pro級である。

無線LANルーターと偽ってPS4 Proをリビングのテレビの横に置くのはさすがに無謀すぎる気もするが、ゲームに疎い人が相手ならなんとかごまかし切れる可能性はあるかもしれない。そのために必要となるのは、事情を知らないゲーム通を迂闊に近づけてしまわない努力であることを、このアニメ作品は教えてくれる。そして、PS4本体に取り付け可能な無線ルーター風アンテナの発売が待たれる。