Epic Gamesは10月25日、テスターのRonald Syakes氏をNDA(秘密保持契約)違反、営業秘密保護法違反で提訴している。海外メディアのPolygonやGamesRader+が報じている。Epic Gamesは、Sykes氏が『フォートナイト』チャプター2の情報を一般公開前にSNSアカウントでリークしていたと主張し、損害賠償などを求めている。
『フォートナイト』おいては、8月頭から続いていたシーズン10が10月14日に終了した。終了に際して実施されたワンタイムイベントの演出でブラックホールが出現し、しばらくゲームが遊べない状態に。それから1日以上が経過し、最終的にチャプター2として銘打たれ新生『フォートナイト』が開始された。チャプター2の大きな変更点として、マップが完全に一新されたことや、マップを流れる川で泳げること、「アップグレードベンチ」で武器のレアリティを上昇させられることなどが挙げられる。
Epic Gamesは、Sykes氏がNDAに基づく契約に違反し企業秘密を漏洩したことで、同社が継続的に損害を受け続けている旨を文書で主張しており、さらなる情報漏洩の差し止めと損害賠償、訴訟費用を求めている。裁判所の文書によると、Sykes氏は9月21日にEpic GamesとNDA(秘密保持契約)を締結。同氏は「ユーザーエクスペリエンステスター(UXテスター)」として働き、開発中の『フォートナイト』チャプター2のフィードバックを収集していた。
Sykes氏はテスターとして入手した情報を、以下の複数のTwitterアカウントを使用してリークを行っていた。NDAに違反するリークの具体的な例としては、NDA締結から3日後の9月24日に「@snipa_king2K」というアカウントが「I played S11(チャプター2) and can tell you the new stuff」と投稿しリークを始めた模様。またTwitterアカウント「@xDriFtZz」では、ほかのユーザーへのリプライで「bro you can swim season 11 just chill lol,season 11 will be great 」と、チャプター2でプレイヤーが泳げるという情報もリークしている。さらに10月5日「@FNGzus」は、その時点では未公開だった『フォートナイト』チャプター2のマップの画像を投稿していた。
Epic GamesはSykes氏の行動の影響で、「Epicおよび新シーズンを楽しみにしていた『フォートナイト』コミュニティを犠牲にして、計画していたサプライズは彼のリークによって台無しにされた形で受け取られることとなった」、「Epicが数か月かけて生み出していたサスペンスを台無しにした」と訴え、コミュニティを盛り上げるためのプロモーションに悪影響があったと主張。また「企業秘密の無許可の漏洩が、創造と革新への動機付けを弱めている」と、金銭面とは別の方向からも彼の行動を非難している。
『フォートナイト』シーズン10の後半、新シーズンへ向けてワンタイムイベントが起きることが、ゲーム内のカウントダウンの表示で予告されていた。イベントの直前、公式Twitterアカウントは「これでジ・エンドだ」と宣言。10月14日のワンタイムイベントではダスティ・デポからロケットが発射、空の裂け目から隕石が落下し、発生したブラックホールのようなものに島やプレイヤーが飲み込まれてしまった。チャプター2へむけた演出の一環ではあるが、画面にブラックホールが表示されるのみで、2日間近く『フォートナイト』が遊べない状態にもなった。ゲームの内外で多数のイースターエッグを用意した結果、多くの人がイベントに戸惑いつつも次なる展開に期待を寄せていた(関連記事)。
そうしたサプライズが続く一方で、インターネットではSykes氏が出元と思われるチャプター2のリーク情報が出回っていたのも事実。多くのプレイヤーにとっては知らない情報かと思われるが、リークがなければチャプター2はさらなるサプライズとなっていたはず。自身が注目されたいがために契約を違反した上で情報を開示し、プレイヤーのサプライズを奪い、Epic Gamesの損害を与えたリーカーには、相応の罰が下されるべきだろう。
なお、2018年にもEpic Gamesは同様の訴訟を起こしている。『フォートナイト』ではシーズン4にてダスティ・デポに隕石が落下。その落下場所をリークしていたQAテスターがNDAに違反しているとして、違反損害賠償を求められていた(関連記事)。内部のテスターから情報が漏洩している点などが似ているケースであり、こちらもユーザーへのサプライズが減じられたことをEpic Gamesは強調していた。同社のこうしたリークに厳しく対応していく方針は変わらないようだ。