『Subnautica』開発元が鍵屋G2Aに3200万円の支払いを要求。過去作の不正購入被害について、G2Aが示した補償案の適用を求める

水中サバイバルアドベンチャーゲーム『Subnautica』の開発元として知られるUnknown Worlds Entertainmentの共同設立者Charlie Cleveland氏は8月13日、ゲームやソフトウェアのプロダクトキーのマーケットプレイスを運営するG2Aに対して、30万ドル(約3200万円)を支払ってくれとツイート。G2Aが以前デベロッパーに提示した“補償案”に応じる考えを示した。

G2Aのマーケットプレイスでは、業者がメーカーから仕入れたキーや、個人の不要になったキーなどが販売されているが、不正購入されたキーが転売される場にもなっているとも言われ、グレーなマーケットであると指摘されることが多い。そのG2Aは今年7月、盗難クレジットカードにてメーカーのストアから不正に購入されたキーが、のちにG2Aで販売されたと判明した場合、G2Aはチャージバックによる被害額の10倍をメーカーに支払うと発表した(関連記事)。これが先述した補償案である。

チャージバックとは、盗難や情報漏洩などによりクレジットカードが見知らぬ他者に使用され、本当の所有者が支払いを拒否した場合に、クレジットカード会社がその売り上げを取り消すこと。販売店側(今回の場合はゲームメーカー)としては、クレジットカード会社に代金を返金することになるが、販売した商品は多くの場合戻ってくることはなく損害が発生する。G2Aは、こうした不正な取引からも収益を上げているとして批判されてきた。本来補償する立場にないG2Aが被害額を負担するとし、さらに10倍という気前の良い金額を提示したのは、そうした批判をかわす狙いがあったのだろう。

Unknown Worlds Entertainmentは2012年、FPSとRTSを組み合わせた『Natural Selection 2』をSteamにて発売。そしてその翌年、1341本のSteamキーを無効にするようValveに申請したと発表している。同スタジオはSteamのほかに、Humble Storeを通じて自らSteamキーを販売しており、チャージバックの発生により盗難クレジットカードによって購入・転売されたそれらのキーについて認識。被害額としては1件あたり約22ドル、合わせて約3万ドルだったとしている。

当時の発表ではG2Aについて言及していなかったが、今回のCharlie Cleveland氏のツイートでは、G2Aのおかげで3万ドルのチャージバックに対応することになったと主張しており、G2Aが補償案で示した被害額の10倍である30万ドルを請求した形だ。同氏はツイートの中でG2Aに対する批判もおこなっており、かつてパブリッシャーNo More Robotsの代表Mike Rose氏が述べた、「G2Aで買うぐらいなら違法ダウンロードして遊んでくれ」という意見にも賛同している(関連記事)。

上述の2013年の発表では、不正購入されたキーは多数の非正規リセラーを通じて販売されていたという考えを示していたが、今回そのすべての被害をG2Aに押し付けたのは、同社の出方を見てみたいということなのかもしれない。そしてCleveland氏は、「口だけでなく行動で示したいと本当に思っているのなら、我々に30万ドルを支払うでしょう」と述べ、G2Aの反応を伺っている。

G2Aが提示した補償案に応じた例は、公にされているものでは今回が初めてのケースだと思われるが、G2AはCleveland氏のツイートに対して、現時点では特に反応を示していない。補償にあたっては、まず独立した調査会社による調査をおこなうとしていたため、G2Aが実際に“行動”するのであれば、これからそうした段階を踏んでいくのだろう。またG2Aは、調査やその結果についてはすべて公表することを約束しているため、Unknown Worlds Entertainmentに30万ドルを支払うのかどうか、いずれ明らかになるはずだ。

【UPDATE 2019/08/14 21:50】
G2Aは8月14日、Charlie Cleveland氏が30万ドルの補償を求めた件について声明を発表した。その中でG2Aは、3万ドルに及ぶ『Natural Selection 2』の不正購入による被害が2013年に発生したとCleveland氏が言及した点について指摘し、そもそもG2Aのマーケットプレイスは2014年にローンチしており、当時はgo2arenaという通常のストアだったと反論。つまり、誰もが自由にキーを売買できる環境は2013年には存在していなかったとし、まだドメインが売り出されていた当時のウェブアーカイブのスクリーンショットを掲載している。

そして、Cleveland氏の補償要求はただの中傷であり、同氏は投稿を書き直すか、素直に謝罪することになるだろうとコメントしている。一方で、もしCleveland氏が当時存在しなかったマーケットプレイスに同作のキーが販売されていたのかどうか調査してほしいのなら、G2A Directの担当者に連絡してほしいとした。G2A Directは、G2A上でメーカーが直接販売できる場で、マーケットプレイスにて販売される自社作品のキーのチェック機能がメーカーに提供されている。

先に述べたように、Cleveland氏のG2Aへの要求はもともと強引な点があったため、G2Aマーケットプレイスが2013年当時には存在していなかったことを知りながら、あえて補償を求めてみる冗談だったのか、知らずに幾らかの補償を期待していたのか何とも言い難い。いずれにせよ、G2Aが30万ドルを支払う気がないことは確実となった。

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