Epic Games、『Fortnite』チートツール販売者兼利用者2人を著作権侵害で提訴。既に数千単位でのアカウントバンも


Epic Gamesが『Fortnite Battle Royale』のチートツール販売者権利用者2人を著作権侵害、デジタル・ミレニアム著作権法(以下、DMCA)に基づく迂回禁止条項への抵触、Epic Games利用規約・使用許諾契約(EULA)違反の理由で提訴していることが分かった(TorrentFreak)。Epic Gamesの主張によると、被告人Brandon Broom氏とCharles Vraspir氏は、チートツールを販売する月額制サイト「AddictedCheats.net」の関係者。チートツールの販売を促進するだけでなく、被告人自身もチート行為に手を染めており、エイムbotを使いながらストリーム・スナイプ(ライブ配信を見て、配信者の位置を割り出す行為)を行っていることが確認されている。

ノースカロライナ連邦地方裁判所に提出された告訴状(Torrentfreak PDFリンク:VraspirBroom)によると、Epic Gamesが訴えているのは、被告人の 1)チートツールの利用による著作権侵害、2)チートツールの生産・販売による著作権の間接侵害、3) チートツールの利用による契約違反、4)Epic/ユーザ間の契約関係への不当干渉、そして 5)DMCAに基づく迂回禁止条項への抵触である(5番はBroom氏のみが対象)。Epic Gamesによると、「被告人は、著作権により保護されたEpic社の有名ビデオゲーム『Fortnite』のゲームコードに、不正なコードを埋め込むことで同社の著作権を侵害している」。被告人はEpic Gamesの許諾なく二次的著作物を使用・販売することで、ゲームそのものと、プレイする者の体験を著しく改変しているという。

チートツールの使用は「チートしていない他プレイヤーのゲーム体験を損なう」ものであり、Vraspir氏は自らのアカウントが停止されたあとも、別の偽名アカウントを使って同様の行為を(少なくとも9回)働いていたことが指摘されている。告訴状によると、同被告はチートツールを提供する「AddictedCheats.net」のディスカッション・チャンネルにて、ストリーム・スナイプを行う理由について問われた際、「暴れまわったり、自信ありげに喋る配信者を踏みにじるのが楽しいから」と語っていたとのこと。またBroom氏は『Fortnite』を、チートツール提供者にとっての「最優先案件」であると述べていたと記されている。

Vraspir氏は「AddictedCheats.net」の「サポート/ヘルプ役」、Broom氏は「モデレーター兼サポートスタッフ」であり、自らチートツールを使用するだけでなく、他ユーザにチート行為を勧め、チートツールの導入方法を教えることで販売促進を行っていたとされている。彼らの行為は著作権侵害・間接侵害に該当するだけでなく、Epic Gamesの利用規約・使用許諾契約にて禁じられている「製品複製・改変・二次的著作物の作成」や、「リバースエンジニアリング・ソースコードの改変」、「チート検出ソフトウェアの削除・無効化・迂回」の項目に反するというのがEpic Gamesの主張だ。本件について原告は被告2人に対し、法定損害賠償請求のほか、チートツールの販売を通じて得た利益の支払いと、訴訟費用の全額負担、チートツール販売の差し止めを求めている。なお最近の参考事例としては、Blizzard Entertainmentがチートツール提供者Bosslandに対し、著作権侵害および不正競争の理由で民事訴訟を起こし、原告の訴えが全面的に認められたケースがある(関連記事)。

『Fortnite』は2017年7月25日に早期アクセス版が、同年9月26日にF2Pのスタンドアロン版『Fortnite Battle Royale』がリリースされている。同ジャンルの『PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS』にインスパイアされたという『Fortnite Battle Royale』の累計プレイヤー数は配信開始から2週間で1000万人を突破(関連記事)。Epic Gamesを代表する作品のひとつへと成長しつつある。

Epic Gamesが10月5日に出した声明では、チーター対策が同社における最優先事項であることが強調されている。チートツールの販売者と利用者、両者への対策を講じており、既に数千単位でのアカウント・バンを実施。またチート行為に対するリスクを高めるため、今後数週間のうちに、アカウントに紐付いたプログレッション・システムを導入することが明かされている。この先も手を緩める予定はないとのこと。こうした言葉やアカウントバンだけで済まさず、法的措置にまで踏み切った今回の事例は、Epic Gamesの本気度を示すものだと言えるだろう。