Valve、大量の新作がリリースされている「Steam」にて“いいゲーム”の可視性を向上へ。アルゴリズムやキュレーター機能を強化


Jim SterlingやJohn Bainといった海外の著名なYouTuberたちが投稿した映像より、Valveが現在、Steamにおける“フェイクゲーム”に対処しようとしていることが明らかとなった。大量の作品が登場するがゆえに新作タイトルが埋没し、クオリティの低い作品の粗雑乱造が問題視されてきた近年のSteam。映像を投稿した両者はValveのオフィスへと足を運び、そこでValveが今後どのようにこの問題に取り組んでいくかについて幾度も議論を重ねたという。

現在Steamでは年間4000タイトルが販売されている(関連記事)。この物量問題に対処するためValveが取り組んでいる施策の1つが、ゲームをSteamページに表示するアルゴリズムの強化だ。たとえば現在のSteam Greenlightなどを見ると、すばらしい作品も多くある一方で、ゲームエンジンを使ってアセットを並べただけのような作品や、わざわざ100ドルの申請料を支払っておふざけのようなジョークゲームを投稿するユーザーも少なくない。こういった品質のよろしくないゲーム(Valveのスタッフいわく「フェイクゲーム」)を表示させないように、新たなアルゴリズムの手法が現在考案されているという。

これに加えて“いいゲーム”の可視性を高めるための施策の1つが、「Steamキュレーター」機能の強化。トップ10リストの作成やソート機能、埋め込みのビデオなどに対応するほか、「開発者がSteamのキュレーターに直接キーを送る」という機能も搭載する。近年Steamでは、開発者が金銭やSteamキーを配布して第三者に高評価のレビューを投稿させる問題が国内外で浮上してきた。すでにValveはSteamストア以外から購入したタイトルなどのレビューは全体評価に反映させないといった措置も実施しており、この機能はその流れを汲む施策になるともいえるだろう(関連記事)。

さらに新たに追加されるサービスとして「Steam Exploer」の存在も明らかにされている。これはSteamユーザーが誰でも参加できるプログラムで、ユーザーはプレイしたゲームの体験がよかった場合にそのゲームにフラグを立てることになり、フラグが多いゲームはよりSteam内のページに表示されるようになる。このプログラムの参加者には特製のバッジやプライベートフォーラムが提供され、週に一度だけ使える特別な返金制度も利用可能になるという。大量の作品が配信され続けるSteamでいいゲームを見つけ出す、まさに探検家(Exploer)のようなプログラムといったところだろうか。

このほか一般のSteamユーザーは、なぜこのページにこのゲームが表示されているのかという理由、インプレッション数や流入元といったデータにもアクセスすることが可能となる。このほか、“フェイクゲーム”で問題視されているトレーディングカードの問題についてもメスが入れられ、システムが何らかの形に変更されるという。

先日発表された「Steam Direct」と合わせて今回の情報を見ると、自身が直接手を下したり検閲したりするのではなく、制度を作り上げてユーザーによるPCゲーム配信プラットフォームを作り上げようとするValveの意図は、より加速しつつあるように見て取れる。これらのシステムや制度がYouTuber2人が語ったようにそのまま組み込まれるのか、またそれはいつになるかは不明で、各サービスの詳細もふくめて今後のValveからの正式発表を待ちたい。