地球規模の軍事シミュレーター『Titan Vanguard』最新トレイラー公開。ゲーム開発者向けの販売も可能性あり

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Titan Integrated Military (以下、Titan IM)とCalytrix Technologies(以下、Calytrix)が共同開発中の軍事シミュレーション用ソフトウェア『Titan Vanguard』の最新トレイラーが公開された。『Titan Vanguard』は政府機関および民間企業向けに提供されており、個人向けには販売されていない。ただしトレイラーの説明文には「エンターテイメント目的での利用に関しては近日中に発表します」と記載されていることから、将来的には『Titan Vanguard』がゲーム開発者向けに公開される可能性もあるかもしれない。

『Titan Vanguard』はOuterraエンジンをベースに開発されている。Outerraといえば、地球を1:1スケールで再現するテックデモ「Anteworld」を2012年に公開したことで有名な3Dレンダリングエンジンである。実際の標高データにもとづいて地上から宇宙までをシームレスにレンダリングして見せたOuterraのスケールは圧巻である。『Titan Vanguard』はそんなOuterraエンジンの力と、軍事訓練用ソフトウェアの開発会社であるCalytrixとのパートナーシップにより実現した、軍事シミュレーションの未来とも呼ぶべき大規模なプロジェクトである。

Calytrixには軍隊経験者が多く在籍しており、専門知識にもとづいたコンサルティング業もこなしてきた。『Titan Vanguard』は彼らのノウハウを活かし、戦場だけでなく人道援助や大使館の避難訓練、さらには航空機や戦艦の操縦といった幅広い用途に対応できる包括的なシミュレーターとして期待されている。訓練シナリオの規模は大小を問わず、想定された提供先も政府機関、民間企業、国際組織など多岐に渡る。

そんな『Titan Vanguard』の魅力は何といっても地球規模でのシミュレーションを可能としている点だろう。「グローバル・サンドボックス」のキャッチフレーズは伊達ではない。大規模な軍事シミュレーターといえば、Bohemia Interactive SimulationsとBohemia Interactive Australiaによる『Virtual Battlespace』(通称VBS)シリーズが有名である。だが陸、海、空、宇宙すべての領域に対応し、海洋底から外気圏までをシームレスに繋げられるのはOuterraエンジンを活用した『Titan Vanguard』ならではの特性である。Titan IMの創設者であるDavid Lagettie氏はBohemia Interactive Australiaの創設者でもあることを考えると、『Titan Vanguard』こそが『Virtual Battlespace』の正当進化系と言えるだろう。

『Titan Vanguard』のユーザーは、簡単なポイント&クリック操作で地球上のどこにでもシナリオを組み立てられる。天候や地形の操作も容易に行える。コーディングに馴染みのないユーザでも短い学習期間で導入を進められるというわけだ。さらに柔軟なシナリオ作成を可能にするため、Javascriptによるスクリプトに対応し、C言語のプラグインAPIも用意されている。アニメーション、モデリング、音声ファイル、テクスチャなども自由に変更を加えられる。既成の3Dモデルも豊富に用意されており、ライブラリには建物、人間、乗物のモデルが一通り網羅されている。もちろんアニメーションやAIもセットになっている。ここまで完備されているのであれば尚更ゲーム開発者向けに公開して欲しいところだ。現時点では一個人として『Titan Vanguard』の恩恵にあずかる術はないが、一人のゲーマーとして大いに期待したい技術である。

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