異種族間の調和を願う子象の奮闘劇、「象でプレイするゼルダ」をうたう『Yono and the Celestial Elephants』が開発中


発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第336回目は『Yono and the Celestial Elephants』を紹介する。

本作は、一頭の幼い象「Yono」を主人公とするアクション・アドベンチャーゲームだ。舞台となる「ナイチンゲール王国(Knightingale Kingdom)」には帝国主義の「人類」と、不死の「ボーンウェイツ(Bonewights)」、そしてロボットの「メカニ(Mekani)」が暮らしている。これらの種族は同じ街に一緒に住んでいたりするものの、あまり仲がいいというわけではないようだ。Yonoはそういった世界に平和と調和をもたらすべく奮闘することになる。

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ナイチンゲール王国にはいくつかの街が存在し、それぞれは森で隔てられている。この地に降り立ったYonoがまず向かうのは小さな農村「ウインドヒル(Windhill)」。この村には主に人類が住んでいるが、ほかの種族も暮らしている。ウインドヒルの人々は風を利用して生活しており、たとえば足場を動かすためには小さな風車を動かす必要がある。そんな時はYonoの鼻で息を吹きかけると足場が動き出す。また、Yonoはその長い鼻を使って物を持ち上げて、背中に乗せて運ぶこともできる。こういった象ならではのアクションは、さまざまな場面で使用することになる。

本作にはたくさんのNPCキャラクターが登場するが、そのすべてにYonoとの会話が用意されている。何度か会話を繰り返すことで、違った反応を引き出すこともできるようだ。時には頼まれごとをすることもあり、たとえばこの村では、畑に植えてある花に水をあげてほしいと頼まれる。Yonoはその鼻で水を吸うことができるので、水汲み場で水を吸ってきて花に撒くことでそのサブミッションをクリアすることができる。なお、ほとんどのNPCキャラクターは定位置にとどまっているが、中にはYonoと行動をともにしてゲームを先へと導く存在になるキャラクターも登場するという。

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基本的に村や街の中には敵はおらず安全だが、森の中はそうではない。森には「ロブゴブリン(Robgoblins)」と呼ばれるネズミのような種族が住んでおり、武器を持ってYonoを襲ってくる。Yonoは突進してのヘッドバットで攻撃したり、爆発物を運んできて投げつけたりすることで応戦できる。また、鼻で息を吹きかけると、敵が軽く吹き飛ばされて間合いを開けることが可能だ。

敵がいるのは森だけではない。この世界の地下にはダンジョンや墓所が存在し、そちらにはロブゴブリン以外にもさまざまな敵が登場する。ボスのような大型の敵と戦う場面もあるようだ。またダンジョンや墓所は、本作の探索要素の多くを占めるロケーションになっている。所々に仕掛けられているトラップに注意しながら、お宝を求めてパズルを解いて奥へ奥へと進むのだ。本作のパズル要素は『Portal』シリーズなどを参考にして開発が進められているそうで、簡単なものから難解なものまでさまざま登場するという。

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ナイチンゲール王国にはこのほかに、人類の女王が住む城がある「ナイチンゲールシティ(Knightingale City)」や、ボーンウェイツが多く住む「サンダーガーデン(The Sundergarden)」、メカニが多く住む「フリーへイヴン(Freehaven)」といった街が存在する。また開発者によると、北の方に雪で覆われた街を追加する計画があるそうだ。

公開されているトレーラーやスクリーンショットを見る限り、この世界にはYono以外に象のキャラクターは存在していないようだが、ナイチンゲールシティにある寺院などには象が神のように祭られている。どうやらこの世界にとって象はなにか特別な存在のようだ。それぞれの種族との関係性も含め、本作のストーリー面への興味をそそられる。

左からボーンウェイツ、人類、メカニ
左からボーンウェイツ、人類、メカニ

本作を手がけるのはスウェーデンのインディースタジオNeckbolt Games。音楽以外は同スタジオの設立者であるNiklas Hallin氏が一人で開発している。公式サイトのサブタイトルには「Basically Zelda with an elephant(基本的に象でプレイするゼルダ)」としており、本作は『ゼルダの伝説』シリーズ、特に『ゼルダの伝説 ふしぎのぼうし』からの影響を強く受けているそうだ。見下ろし型視点で描かれ、グリッド上にオブジェクトを配置するマップ構成を採用しているのも、同作が好きでそのようなタイプのゲームを3Dグラフィックで作ってみたかったからだという。

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箱を動かして床のスイッチを押すような場面はいかにも『ゼルダの伝説』らしいギミックであるし、ほかにも持ち上げて運べるニワトリなど、その影響は随所に確認できる。(手荒に扱った時のニワトリの反応を見てみたい)。またシンプルに見えるバトルにも、プレイヤーキャラクターに対する敵の反応の仕方などに同作から学んだことを取り入れているそうだ。

象をプレイヤーキャラクターにするというのは奇抜に思えたが、その長い鼻を使ったアクションをはじめ、なかなかどうして『ゼルダの伝説』スタイルのゲームにフィットしている。本作はどちらかというとパズル要素がメインになるそうで、Yonoの鼻の使い道には、まだまだアイデアがあるかもしれず楽しみだ。

『Yono and the Celestial Elephants』は現在PC向けに開発中で、2017年内の発売を予定している。コンソール版の発売についても検討しているとのこと。