あなたがゲーム機を買うべきでない理由

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2012年末に発売された Wii U を筆頭に家庭用据置ゲーム機の世代交代がはじまり、ついで今年2月22日に PlayStation 4 の国内発売をむかえ、年内には Xbox One もまた発売されることになっている。この「乗り換え」に際し、どのゲーム機を買うべきか、いつ買うべきかと悩む諸兄も多いことだろう。

 

答えはひとつだ。買うべきではない――より詳しく言えば「悩んでいるうちは買うべきではない」ということだ。据置ゲーム機は高価な買い物で、しかも本体だけ買えばそこでハイ終わりというわけではない。本体とは別にゲームソフトを買わなければならないからだ。しかもゲームソフトは使い回しができず、あくまでそのゲーム機でしか使用することができない。PS4 のゲームソフトを Wii U で遊ぶことはできないのだ。

だから、どうせなら遊びたいゲームがたくさん出るゲーム機を選びたいというのが人情というものだ。すべてを買うのは金銭的負担が大きいし、そもそも据置ゲーム機を複数所持するのは環境的にも無視できない負担が生じる。どうしたって場所はとるし、コード類だって非常に煩雑だ。誰も彼もがテレビ裏に8個口タップを2つ用意できる環境にあるわけではない。

 

ほどけないし掃除もしなきゃだし
ほどけないし掃除もしなきゃだし

 

そもそも、なぜ新しいゲーム機を買うのだろうか。……もちろんゲームを遊びたいからで、そのゲーム機でしか遊べないゲームソフトがあるからだ。それ以外にゲーム機を購入する理由など存在しない。Wii U は少しだけ事情が異なるが、PS4 と Xbox One については前世代機との互換性が無いため、本体故障のついでにアップグレードというような買い換えの対象とはならないだろう。また、これが北米などの海外 地域ではさらにもう少し事情が違って、STB(Set Top Box)――映像コンテンツの受け皿としての存在意義があるのだが、ここは日本だ。Xbox 360 に ESPN の映像配信サービスは存在しないし、『Torne』も本稿の執筆時点で PS4 には対応していない。そういうわけで、我が国においては今世代におけるゲーム機買い替えのメリットとはゲームソフトにしか見出せない状況にある。

そして、遊びたいゲームソフトと、そのゲームソフトが発売されるゲーム機が既に定まっている場合、これはあまり「悩み」が介在する余地が無い。残されている選択肢は「買って遊ぶ」「買わずに我慢する」しかないからだ。「あるゲームソフトのために、そのゲームソフトと同時にゲーム機を買う」というのが、メーカーにとってもプレイヤーにとっても一番理想的な形だと私は考える。

そして、その理想に至っている人については、本稿をこれ以上読み進めていただく必要はない。本稿は、そんな理想に至らない悩めるゲーマーを可能な限り崖から引き戻すことを目的としたものだからだ。

 


Q1:  目的のゲームソフトが複数のゲーム機で発売されるんだけど、どれにしよう?

 

A: もう一度よく考えろ

本稿で取り上げる悩みとしては比較的健全な部類のものだ。複数のゲーム機、およびPCで出る同じタイトル、いわゆるマルチタイトルと呼ばれるゲームを目当てにするのは何ら問題ではない。私であれば「PC版を買います」と言うところなのだが、はっきり言ってゲーム用に PC を一台用意するのも、PCでゲームが動くように設定するのも難しいのだ。PC はパーツ構成、ドライバ、ゲーム内設定など、ゲームを遊ぶためにプレイヤーが奉仕を強いられる点が多すぎる。ゲームソフトさえ調達できれば、あとはせいぜい本体ファームウェアのバージョンアップ程度の前準備で平等に遊ぶことが出来る家庭用ゲーム機の利点はここにある。家庭用ゲーム機は「買ってきたゲームソフトはまず間違いなく動かせる」という安心を与えることができる。

この悩みの持ち主は、そのゲームが本当に「どうしても今遊びたいゲームか、本体含めて5万近い金額をそのゲームのために支払えるか」ということをもう一度だけよく考えて欲しい。それはゲーム機の本体込みでの価値を、そのゲームソフトに認めるということにほかならないからだ。万一そのゲームが口に合わなかったとしても泣かないだけの覚悟が必要だ。

そして、その覚悟が定まっているのであれば、私から少しだけ背中を押させて欲しい。本体を買う前に、かならず何らかの形でコントローラに触っておき、より手に馴染むゲーム機を買うべきだ。本体機能の不便さにはよほど度を超えていないかぎりは慣れることができる。長い付き合いになるかもしれないゲーム機なのだから、せめて操作でストレスを溜めることのない選択をして欲しい。健闘を祈る。

 


Q2: 目的のゲームソフトはまだ出てないんだけど、発売予定なんだ。いつ買おう?

 

A: 発売された時に本体と一緒に買え

ゲームの発売予定は常に未定である。少なくともゲーム機のお披露目とともに大々的に発表される発売予定リストの7割は与太話だと思っておいた方がいい。それどころか「全てのゲームソフトは実際に店頭に並ぶまで発売が確定しない」とさえ言い切ってもいい。予定は延びるものであり、予定は姿を消すものであり、予定は裏切るものなのだ。

なにより、実際に目的のゲームソフトが発売されるまでの期間は確実に精神を蝕んでゆく。たとえその間を別のゲームを遊んで埋め合わせるにしても、それは「ほんとうに欲しかったあのゲーム」ではないので心が満たされることはない。目的のゲームが出ていないのでゲーム機を手放す訳にはいかないが、それとは別の面白いゲームに出会えるかどうかもわからない。そんな博打を打つ必要はどこにもない。

私の周りにも『PS3版モンスターハンター3』『バテン・カイトスDS(仮)』『Xbox360版クリムゾンドラゴン』『ロックマンDASH3』という単語に反応して奇声を上げはじめる人間がいるし、私自身も『トゥルーファンタジーライブオンライン』というタイトルを見聞きするとやるせない思いにかられてしまう。さいわいにも、欲しい・遊びたいソフトがあるのなら「発売してから本体と同時に買う」のが原則だ。「本体だけ先に買い、ゲームの発売を待つ」というのは最悪のパターンだ。それだけは避けるべきだ。

 


Q3: あんまり遊びたいゲームはないけど、今後色々出そうだからどれかゲーム機を買おうかな?

 

A3: 買うな

ゲーム機を投機対象か何かと勘違いしている人たちなのだが、少なからずこういう人は存在する。Q2の亜種とも言えるが、彼らの「発売すると言っているタイトルを待ち続ける」点に対して「出ると決まってすらいない新作やマルチタイトルの発売に勝手に期待する」という点が異なる。もちろんそれは勝手な、一方通行の期待なので往々にして裏切られる。しかし期待が裏切られたのは事実だから、その際の精神的ダメージは Q2 の例の比ではない。次に取る行動はゲーム機のメーカーを罵倒するか、ゲームから離れてしまうかのいずれかだろう。

だから、遊びたいゲームがないうちはゲーム機など買ってはいけない。「ソフト日照りの状況からラインナップが徐々に潤っていき最終的に緑溢れる肥沃の大地となる様を当事者として味わいたい」という被虐趣味でもあるなら話は別だが、それはもはやゲーム機とそれを取り巻く環境を目的としており、ゲームで遊ぶことを目的としていない。ゲームが目的でないのなら、やはりゲーム機は買うべきではないのだ。

 


ゲーム機を買って後悔しないために

 

つまるところ、ゲーム機を買うに際して必要なものは覚悟だけだ。覚悟とは「本体と一緒に買うゲームと心中する覚悟」である。その覚悟が持てないうちはゲーム機など買うべきではない。ゲーム機はゲームソフトのために仕方なく買うものだし、発売予定は我々を裏切るのだ。極端な話、自分がゲーム機を購入した後にそのゲーム機向けのソフトが1本も出なくてもいい、というくらいまで思いつめてから買うべきだ。ゲーム機とはそれくらい高価で不確かなオモチャなのだ。

だから、もう一度だけよく考えて欲しい。自分にその覚悟があるか。そのゲームの出来に関わらず、そのゲームを遊ぶためにゲーム機を買ったことを納得できるかを。私はもう、自分のゲーム機の選択ミスを棚に上げて、ハードメーカーと「今そのゲーム機を楽しんでいるプレイヤー」を貶すような人間は見たくはないのだ。だから「今は買わない」という選択肢だってあることを覚えておいてほしい。このご時世、ゲームが自分から逃げていくことはそう多くはない。待つことだって選択だ。

そして、そんな覚悟をたずさえてゲーム機を買ってしまおうという人に対しては、そのゲームがあなたにとって素晴らしいゲームとなることを、勝手ながら祈らせてほしい。「ようこそ、こちら側へ」

海外e-shopのゲーム遊びたさに取り寄せた北米版(上)・欧州版(左)本体。 右は一番最初に買った国内版。
海外e-shopのゲーム遊びたさに取り寄せた北米版(上)・欧州版(左)本体。

右は一番最初に買った国内版。

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Rokurou Eyama
ビデオゲームとアメコミとバイク(盗難被害遭遇済)をこよなく愛する30台前半。レトロゲームも最新ゲームも等しく同じ大切なプレイ対象である。 幼少期に出会った『マーブルマッドネス』の衝撃でビデオゲームに目覚め、なぜか実家に転がっていたMSX2+に親しみ、バーチャルボーイに立体視の未来感を植えつけられゲーム人格が形成されていった。STGからRTSまでどんなジャンルも遊んでみるが女の子がいっぱい出てくるゲームは苦手。

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