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今年2021年を振り返る、AUTOMATONの年末企画第1弾。ゲーミングライフは、つねに喜びばかりではない。本気でゲームに取り組んでいるからこそ、ときには癒やしがたい心のダメージを負うこともある。犯してしまった失敗、今も苦しんでいる困難、思い出したくない恐怖。本記事では、弊誌ライター陣による今年のトラウマエピソードを紹介していこう。もし同じ傷を抱えた読者がおられれば、ともに記憶を洗い流し、すがすがしく新年を迎えようではないか。 

 
「人生立ち止まることを忘れずに」 

『真・女神転生Ⅴ』 

開発元:アトラス 
販売元:セガ 
対応プラットフォーム:Nintendo Switch 
 

 
それは、油断。慢心。睡眠不足。限界を優に超えた深夜テンション。レビューを執筆するため、『真・女神転生Ⅴ』を全力攻略していたときのこと。原稿の締め切りが迫る中、荒廃した台東区で神々の決戦を迎えた私は、ランナーズ・ハイにも似たレベリングの激坂を登り終えたことによる爽快感により何もかもが見えなくなっていた。 

その時の私はあまりにも強すぎた。さっと悪魔を合成したかと思えば、すぐさま雷神ゼウスを屠り、圧倒的な力をもって知恵の神オーディンを下した。カフェインを相棒として鍛え上げた悪魔を前に、雷霆ケラウノスは電気マッサージ器、神槍グングニルは爪楊枝でしかなかったのだ。イケる。イケるんだ。俺は強い。このままダンジョンをクリアしてしまう前に、マガツカを開放しておこう。時刻は夜をまわり2時すぎ。魔が力を発揮する丑三つ時の出来事であった。 

そこに登場したのは99レベルの悪魔の群れ。初見殺しに仰天する自分と、なすすべなく蹂躙される仲魔たち。「GAME OVER」。ぬるくなったブラックコーヒーを一口ふくみ、わけもなく天を仰いだ。ゆっくりとセーブデータを起動する。パーティ欄をみてもう一度データをロードし直す。……このゲーム、オートセーブ無いんだった。……コーヒーの残りを一気に飲み干し、歯を磨いてその日は寝た。眠りは浅かった。 

データをセーブし忘れる。昔から度々発生してしまうミスではあるが、ゲームにオートセーブが数多く導入された最近は特に多発するようになってしまった。巻き戻るデータを見るたびに、後悔先に立たずという言葉を思い出す。がむしゃらに突き進むことも大事だが、人生、一度立ち止まって自らを省みることも大事である。2021年が終わりに向かうなか、良い教訓となった出来事であった。そう思うようにしている。 

by. Takayuki Sawahata 

 
「見てはいけないものに出会った」 

『Risk of Rain 2』 

開発元:Hopoo Games  
販売元:Gearbox Publishing 
対応機種:PC/PS4/Xbox One/Nintendo Switch 
 

 
まだ見ぬコンテンツ、それはゲーマーの喜びだ。しかし未知の存在、それは人間にとって恐怖である。昨年正式リリースを果たした『Risk of Rain 2』は、今年も継続して大型アップデートを実施中。新サバイバーのバンディットをはじめ、数々の追加要素が実装されている。私や友人にとって本作はリラックスして楽しむゲームであり、難易度を低めに設定してゆるゆると周回するのが気晴らしだった。そして待望のアップデートが配信され、新規要素の物見遊山でステージを巡る、はずだった。 

間抜けな話だが、まず私はバグを疑った。慣れ切ったコースに見たことない存在がいたから。それからアップデートのことを思い出した。追加されたのか。敵か。なに、あれが? そして私は、大人になってからゲームで初めて絶叫した。「気持ち悪っ!!」 

異常な管理人こと、グランドペアレントである。ぬらぬらと金色に光る身体に、虚ろな中空をたたえたリング状の頭部。Hopoo Gamesのデザイン力に改めて敬意を示したい。事前情報もなく奴に出くわしたときの、「見てはいけないものに遭遇した」という恐怖は、ここ十年でも初めて味わう生々しい感覚だった。特別にグロテスクなわけでもなく、しかし絶妙に不快なその姿は、個人的ベストトラウマデザインである。訳も分からず不気味な新ボスに出くわし、あれよあれよで隕石に潰されて死んだ思い出は、今年の記憶でもとりわけ忘れがたい。 

by. Yuki Kurosawa 

 
「釣り竿を握ると吐きそうになる」 

『ファイナルファンタジーXIV』 

開発元・販売元:スクウェア・エニックス 
対応プラットフォーム:PS4/PS5/PC 
 

 
『FF14』には現在、「紅蓮のリベレーター」までに実装されたヌシが204匹、「漆黒のヴィランズ」で実装されたヌシが45匹存在する。前者をすべて釣ると「ebisu」、後者をすべて釣ると「Lord/Lady of Far Waters」、そしてこれらをすべて釣り上げると「Big Fish」という称号を得ることができる。ヌシ釣りに挑む者のほとんどはこのBig Fishを目指すのではなかろうか。かつて私もそうだった。挑み始めて1年あまり、当時の漁師最強称号であった「ebisu」ですら獲得できていないのだが。 

紅龍という、紅玉台場近海のオオヌシがいる。2019年3月の実装から2年半以上が経つが、未だに多くの漁師が苦しめられている曲者である。この紅龍がマジで釣れない。半年ほどすべてのチャンスに通い詰めたが釣れない。一緒に釣りを始めたフレンドは昨年末くらいに釣ってしまった。一人で釣るのが嫌で別のフレンドを誘ってみたら私の横でサクっと釣り上げ、二度と誰かとヌシ釣りなんかしたくないと思った。テレビで芸能人がヌシ釣りに挑戦する番組を見かけ、半日で音を上げている彼らに「半日くらいで甘えんな」とクダを巻いた。 

自分が下手なだけなのであれば、練習するなり身の程をわきまえるなりできる。しかし、『FF14』の釣りには小手先のテクニックがほとんど存在せず、正真正銘、運命とのタイマン勝負である。ヌシ釣り初挑戦だろうが、年単位で挑んでいようが、釣れるときは釣れるし釣れないときは釣れない。正直もうやめたい。しかし、紅龍以外のヌシはほとんど釣り上げており、Big Fishは間近なのだ。諦めるには他のヌシを釣りすぎてしまった。半端に手を出すくらいなら初めからやらないほうがいい。そんな教訓を得た1年であった。 

by. Aki Nogishi 

 
「屋上戦車とエレベーター出待ちの凶悪コンボ」 

『Battlefield 2042』 

開発元:DICE 
販売元:Electronic Arts 
対応プラットフォーム:PC/PS4/PS5/Xbox One/Xbox Series X|S 
 

 
『Battlefield 2042』のブレークスルーモードには、考慮不足……もとい、難攻不落の拠点がいくつか存在した。アップデートにて削除された、建物の屋上に位置する拠点群だ。「カレイドスコープ」マップのC2は、そんな理不尽拠点のうちのひとつである。同モードを遊んだことのあるプレイヤーであれば、ご理解いただけると思うが、攻撃側のチームによる制圧がほぼ不可能なトラウマ地点となっていた。 

初めてこのマップで戦ったときの戸惑いや、テキストチャットのざわつき具合は、今でも覚えている。高層ビルの屋上に位置するため、侵攻方法が限られ、敵の防衛網を突破しにくい。本作では屋上にでも戦車を呼び出せるし、C2に関しては防衛側が屋上から再出撃できるため、攻撃側が1~2分隊で少しかき乱したくらいでは、膠着した状況を打破できない。たしかに、ドローン爆弾や輸送機からの集団降下など、突破するための糸口はある。だが、チームメイトとの連携が前提となっており、ゲーム内でのコミュニケーション手段が限られる本作では、それも叶わない。うまく意思疎通できないもどかしさが際立つ拠点であった。 

互いに通じ合えず、統率が取れないがゆえ、各自ばらばらに散り、あれよあれよという間に命が潰えていく。まるでバベルの塔のような光景。ほかのマップにも攻略難度の高い屋上拠点はあったものの、「カレイドスコープ」のC2に挑む際の虚無感は群を抜いていた。そんなC2を見事攻略している様子を動画配信で目撃したときには、軽い感動すら覚えた。不可能ではないのだと、これは乗り越えることのできるトラウマなのだと。今では同拠点が、少し名残惜しくもある。……そうは言いつつも、理不尽が過ぎたので削除されて内心ほっとしている。 

by. Ryuki Ishii 

 
「初手サイコパス」 

『Twelve Minutes』 

開発元・販売元:Luis Antonio/Annapurna Interactive 
対応プラットフォーム:PC/Xbox One/Series X|S 
 

 
限られた12分間の中で、真実を解き明かすアドベンチャーゲーム『Twelve Minutes』。幾度もタイムループを体験しながら、さまざまな行動を起こしながら、一連の事件の真実を探っていく。本作では主人公の妻を守ることも、ある種の副次的な目標になるわけだが、あろうことか、初回プレイに自分で妻を殺害し、隣でプレイを見ていたパートナーにドン引きされた者がいた。私である。 

本作では、12分間という時間の中で、さまざまな選択をとることができる。物をとったり、それを人に使用したり。初回プレイならば、まずは様子を見ながら妻の指示を仰ぐことが多いだろう。しかし私は、台所に存在するナイフをとり、それを妻の首に突き立て殺害した。いや、殺害“できてしまった”。自由度の高さを試すが如く、軽はずみに包丁を妻に使ってみた結果、警告があったにもかかわらずふざけた結果、大惨事が起こった。横たわる妻、血で染まっていく床、謝り泣きじゃくる主人公。そして、隣でドン引きするパートナー。地獄である。 

パートナーとはなんでも話すし、気まずい瞬間はあまりない。信頼関係も厚い。何よりも優しい。しかしながら、この時だけは絶句され、「えぇ……」「それはないんじゃないの」「怖い」と、怯えられ、咎められた。興味本位のふざけ心でゲーム内の妻を殺めた結果、ゲームにもパートナーにも怒られ、急に恥ずかしくなってしまった。その後のことはもうほとんど覚えていない。筆者が悪いのではなく、『Twelve Minutes』の自由度が高いのである。今はそう思い込むことで、あの時の記憶を脳裏に封印している。 

by. Ayuo Kawase 


その他のAUTOMATON年末企画はこちら
12月27日〜12月31日にかけて1本ずつ掲載予定。

※ The English version of this article is available here

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