『ストリートファイターV』横行するキレ落ちユーザーに公式が罰則追加を決定、シェア機能での報告募る


Capcom Americaは、海外メディアを中心に議論の的となっていた『ストリートファイターV』のオンラインマッチにおける「Rage Quit」(対戦の途中で回線を切断してゲームを放棄する行為)に関して、公式ブログで現状の認識を報告すると共に、罰則を設ける予定であることを明らかにした。また、前回のアップデートで概ね改善された不安定なマッチメイキングにも言及。一部の地域やユーザーの間ではいまだに不具合が報告されていることを認識した上で、引き続き現状を監視しながら更なる改善に取り組んでいくと説明している。

 

野放しだった切断厨がついにお仕置きされる

「Rage Quit」とは、オンラインゲームの対戦中に相手に勝てないと判断したプレイヤーが、敗北が確定する前に回線を切断して試合を放棄する行為を指す。日本では“キレ落ち”や“萎え落ち”と呼ばれることが多い。広義では、難易度が極端に高く設定されたマゾヒスティックなゲームや、悪意を感じるほど攻略方法が煩わしいクソゲーを途中で投げ出すという意味で、シングルプレイヤータイトルにも使われる。ゲームのみならず、チャットルームで口論になった際に怒って退出する行為も「Rage Quit」に該当する。また、対戦相手にメッセージが送れるオンラインゲームにおいては、自分を打ち負かした相手への嫌味や難癖といった捨て台詞を残して去ることも定義に含まれる。自分が不利になるや否や負け犬根性でゲームを放棄する「Rage Quit」は、少人数のチームで競い合うMOBAのようなジャンルにおいては、他のメンバーに迷惑をかける行為として運営側がペナルティを設けていることが多い。

street-fighter-v-rage-quitters-will-be-punished-soon-001

『ストリートファイターV』のオンライン対戦で「Rage Quit」が横行する背景には、ランクマッチの結果がサーバーに送信される前に回線を切断してしまえば、アカウントの勝敗データに反映されないというシステム上の仕様がある。つまり、負けると分かった時点で試合を放棄して、確実に勝てる対戦だけをこなしていれば、決して黒星が付くことはないというわけだ。カジュアルマッチにおいては些末な問題に過ぎないが、ランクマッチではプレイヤーの実力を示すリーグポイントと連勝記録を保持し続ける抜け穴として乱用される可能性がある。先日には、業界メディアEurogamerが「Rage Quit」を実際にテストし、対戦ログの履歴に勝敗が反映されていないことを実証している。この問題はメディア各社に大々的に取り上げられ、問い合わせを受けた運営元カプコンも事態改善に乗り出すとの声明を出していた。

先月26日、Capcom Americaは公式ブログを更新。ローンチ後のアップデート状況を報告する最新の投稿で、常習的に回線切断を繰り返すプレイヤーに対する見解を明らかにした。「Rage Quit」に脚光を浴びせたコミュニティメンバーに賛辞を呈すると共に、「現在のところ正確な期日はお伝えできませんが、問題への恒久的な解決策に着手しているところです。つまるところ、システムを乱用するプレイヤーに対しては、来週から罰則を科すことで対処していきます」と、ペナルティの対象とする方針を明確にしている。また、違反者の常習性にあわせて罰則をシビアなものにする予定とのことだが、線引にはコミュニティからのフィードバックが必要だと付け加えている。「更なる詳細に関しては来週追求しますが、週末を通してキレ落ちに出くわした際には、全ての記録を保存するようお願いします。ベストな方法としては、対戦終了後にPlayStation 4のシェア機能を使うことですが、Twitchのアーカイブ機能や自前の録画など、映像証拠であれば何でも構いません」。

このほか、ローンチ直後から不満が噴出していた不安定なオンライン接続やマッチメイキングに関しても言及。前回のアップデートで大半のユーザーのゲーム環境は改善されたものの、欧州や中東をはじめ、一部の地域とユーザーの間ではいまだに不具合が報告されている現状を認識した上で、該当エリアにおける長いマッチング時間を解消する修正を施していると報告した。引き続き、現状を監視すると共に、更なる改善に取り組んでいくとしている。2月17日にPC版がSteamで発売された際には、レビュー欄に「7990円の早期アクセス」という皮肉が飛び交うほど不満や不具合が相次いでいた本作だが、ユーザーフィードバックに基づいた修正が着々と進められているようだ。しかし、Steamのストアページは今なお赤い不評がおすすめレビューを圧倒しており、先行きは予断を許さない。