『The Witness』開発者が海賊版に苦悩。「次回作が作れなくなる」と吐露、販売形式の変更で正規ユーザーに影響

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各メディアで好評を得て順風満帆な滑り出しを見せる『The Witness』。1月26日にリリースされた本作は『Braid』などで有名なJonathan Blow氏が手がけており、前作の2Dの世界とはうってかわって美しく描かれた3D空間のなかでパズルを解いていくこととなる。しかしそんなJonathan Blow氏はある影に悩まされているようだ。

 

不正入手と闘うBlow氏

Blow氏は1月28日に自身のTwitterにて悲痛な告白を投稿した。

“『The Witness』がファイル共有ソフトであるトレントのサイトで人気みたいだ。このようなことが起こると次回作を作っていくことが困難になる。『The Witness』をたくさんの人が遊んでくれているみたいだが、僕はこれからもゲームを作っていきたいんだ。”

また、Blow氏はストリーミングサイトで300万人以上の視聴者を抱える人気放送者が海賊版を放映していることを発見したようで「不正入手した海賊版を放映してくれてどうもありがとう」とツイートしている

Blow氏の海賊版との闘いは今作から始まったものではない。その闘いは前作『Braid』が発売された2009年から続くものだ。氏は『Braid』のリリース時に意図的に内容をカットしたバージョンのものを投下しており、インディーの開発者としてはいちはやく海賊版の対策を行っていた。しかし今作ではあまりの開発の忙しさから、対策を行うことよりもゲームの完成度を高めることを優先していたようだ。次回作には「Denuvo」の導入を考慮している様子だが未定だという。

しかし、Blow氏が恐れているのは海賊版のみならず、正規入手以外のすべての入手方法なのかもしれない。その思いが特に現れているのが、Humble Storeでの販売形態だ。Humble Storeでは原則的に購入者に対してSteamキーとDRMフリーのソフトの両方を提供している。しかし『The Witness』ではSteamキーとDRMフリーのソフトの“どちらか”を選ばなければいけない仕様となっており、海外フォーラムRedditでも「Humble Storeの仕様が変わってしまったのか」と騒動になった。氏のユーザーの権利にまで干渉が及ぶ販売方法には、否定的な声もあげられている。

Blow氏は販売方法のみならず、さまざまな点で哲学を持っている。『The Witness』に詰まってしまいインターネットでヒントを求める人々に対しても、自分の体験を損ねるだけなのでフォーラムに行くようなマネはしないでくれと呼びかけている。また『Braid』のXbox Live Arcade配信の際Microsoftからたくさんの要求を受け、たびたび衝突していたことを告白している。しかし、Blow氏はただこだわりが強く頑固な人物というわけではなく、支持を受ける理由を持つ魅力的なクリエーターでもあるのだ。

 

ユーザーへの感謝を忘れない男

Braid
Braid

Blow氏はTwitterでのファンとのふれあいをないがしろにせず、たびたびフィードバックを行うマメさを持つ人物だ。リリースから頻繁に『The Witness』の成功を感謝するつぶやきを投稿している。その内容の一部では、『The Witness』は1週間で『Braid』の1年を超える売上を記録し、次回作に必要十分な開発費を確保したことなども報告している。また一部ユーザーから、ゲーム中に気分が悪くなってしまうと報告されているが、この問題についても迅速な解決を目指していることも表明している。2月4日にはサンフランシスコにてMeet-upといういわゆるオフ会を開く予定であり、コミュニティとの交流を行っているようだ。そのほかにも日々さまざまな問いかけや報告にたいしてマメなフィードバックを行っている。もちろん、Blow氏はユニークな世界観を持つパズルゲームを提供し続けており、そういったクリエーターとしての才能が、支持を集める一番の理由であることは言うまでもないだろう。

これらの一連の氏の対応をみると、こだわりが強いが決して気難しいというわけではなく、職人気質の熱い男なのではないかとも考えられる。前述したパズルに詰まったユーザーに対しては「君たちは賢いんだ!きっと解ける!大丈夫だ。どうしてもわからなければ、一度眠るといい。そして散歩して、良い映画を見た後に、違うパズルに挑戦してみよう!」と粋なメッセージを送っている。

今回の騒動に、一部ではDRMフリーというユーザーの権利まで剥奪されたことにより、Blow氏のこだわりに疑問を持つユーザーも存在している。しかし、頑固な一面があるものの、Blow氏はユーザーを大切にしており、ユーザーにより良い作品を届けたいがためにさまざまな部分にこだわりを見せているのかもしれない。『Braid』とともにXbox Live Arcadeの黄金時代を築いた『FEZ』の開発者Phil Fish氏はユーザーと衝突を重ね業界から去ってしまったが、Blow氏には息の長い活動を続けてほしいと願うばかりだ。

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