『007 First Light』『エコーズ・オブ・アインクラッド』など注目の未発売ゲームのネタバレ映像が流出したとの報告。流出元は“お騒がせ新レーティング機関”か

『007 First Light』や『エコーズ・オブ・アインクラッド』といった複数の未発売タイトルで、ゲーム内情報がインターネット上に流出してしまっているという。

007 First Light』や『エコーズ・オブ・アインクラッド』といった複数の未発売タイトルで、プレイ動画を含むゲーム内情報がインターネット上に流出してしまっているという。流出は先週末には発生していたとみられる。VGCなど複数のメディアが報じている。

流出の被害が大きいとされているのは、IO Interactiveが手がける『007 First Light』およびバンダイナムコエンターテインメントによる『エコーズ・オブ・アインクラッド』。『007 First Light』は映画「007」シリーズを題材とする3人称視点のアクションゲームで、今年5月27日に発売が予定されている(Steam版は5月28日)。また『エコーズ・オブ・アインクラッド』は川原礫氏によるライトノベル「ソードアート・オンライン」を原作としたゲームの最新作で、7月9日を発売予定日としている(Steam版は7月10日)。どちらもまだ未発売タイトルだが、ストーリーのネタバレを含むゲーム映像がネット上に流出してしまっているという。

007 First Light

なかでも『007 First Light』は被害が大きく、1時間を超えるプレイ映像が出回っているそうだ。さらにその中にはゲームのエンディングと思われるシーンも含まれているという。また『エコーズ・オブ・アインクラッド』についても、物語の重要なカットシーンが流出してしまっている模様。そのほか、まだ未発売あるいは未発表の複数のタイトルでも、一部情報が流出しているといった報告がある。ただ現状では、プレイ映像の流出が確認されているのは上記2タイトルのみとされる。

こうした大規模な情報流出の原因には、インドネシアのゲームレーティング機関「Indonesian Game Rating System IGRS」 が関わっているとされている。IGRSは2016年に同国の通信デジタル省によって創設された、ビデオゲーム向けのレーティング制度だ。もともとは任意のガイドラインという扱いだったが、2024年に規則が変更。インドネシア向けに販売されるすべてのゲームに対して、IGRSでの審査が義務付けられるようになった。2年間の猶予期間を挟み、2026年1月から新規則の適用が開始されている。

007 First Light

Steamの資料によれば、インドネシアの規制当局は、国内向けに提供されるゲームに対し年齢レーティングの表記を必須としており、これを満たさないタイトルは同国で発売できなくなる可能性があるという。こうした背景もあって、多くのパブリッシャーがIGRSへの対応を進めていたようだ。

ところが、そのレーティング審査のためにIGRSに提供された情報が適切に保護されておらず、外部からアクセス可能な状態だったという。そのため未発売のゲーム映像を含む、一部の情報がネット上に流出してしまったとのこと。開発中のゲーム内情報のみならず、開発者のメールアドレスも数千件公開されてしまっているといい、流出の被害は広範囲に及んでいる模様。ゲームのネタバレも広まっているとされており、関係者から注意喚起もおこなわれている。

なお、今回の騒動を受けて、Riot Gamesでレーティングマネージャーを務めるNic McConnell氏がBlueSky上でIGRSにおける審査の仕組みに言及している。同氏によると、ゲーム開発者はまず簡単なアンケート形式の設問に回答することで、最初のレーティングが得られる。あわせて暴力や性描写などに関連する画像と映像をIGRSに提出し、最終的な審査結果を待つ形式になっているのだという。

McConnell氏はこの画像と映像の審査について、おそらくIGRSは動画を一件ずつ手作業で確認している可能性が高いと推測。こうした場当たり的な運用体制のもとでは、リンク情報が外部に漏れても驚きはないと伝えている。また同氏がIGRSのメンバーにアポイントメントを申し込んでから、実際に会えるまで何か月もかかった経験から、「同機関は小規模なチームであり、十分なリソースがないまま大きな仕事を任されているのではないか」と分析。リソース不足による混乱の可能性を示唆している。

『エコーズ・オブ・アインクラッド』

新しい規則の運用が開始されたIGRSについては、ほかにも混乱が報告されている。Steamを運営するValveはIGRSレーティングについて、「4月2日から5日にかけて、技術的なバグとコミュニケーションの問題により、Steam上で不正確かつ不完全なレーティングが一時的に表示されていた」と報告。こうした状況に対してIGRS公式は、「Steamで表示されていたレーティング結果は、IGRSの公式なプロセスを経た正式なものではなかった」と説明。現在はSteam上でのIGRSレーティングは取り下げられているが、SNSでは「日本では成人指定されているゲームが、インドネシアでは3歳以上推奨のレーティングになっている」といった報告もあがるなど、一部で話題になっていた。

Steamにおけるインドネシア語ユーザーは全体の0.14%に留まっているものの(Steam Survey)、インドネシアの人口は約2億8000万人にも及ぶ。英語でプレイしているプレイヤーも少なくないと思われ、ゲーム会社からしても無視できない市場であるのは確かだろう。しかし規則変更にともなう審査の義務化により、IGRSが膨大な数のゲーム作品をすべて審査することになって、態勢に綻びが生じてしまっているのかもしれない。

『エコーズ・オブ・アインクラッド』

国家主導のレーティング機関からの情報流出については、ゲーム会社側で対処する方法は限られているだろう。IGRSは本稿執筆時点で公式声明を発表していないが、仮に流出元が同機関であるならば、早急なセキュリティ改善が求められるところだ。いずれにせよ、今回流出が確認されたタイトルのネタバレを含む未公開情報は、すでにネット上に一部広まってしまっている模様。特に該当作の購入を検討している方は、SNSなどを閲覧する際は十分注意されたい。

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Kousetsu Taguchi
Kousetsu Taguchi

レトロゲームショップに入ると真っ先にセガサターンのコーナーを確認するタイプです。

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