『Dead Cells』の開発完了方針を受け、元開発主要メンバーが古巣を痛烈批判。「新作に注目を集めるためコミュニティを切り捨てた」との主張

 

デベロッパーのMotion TwinとEvil Empireは2月9日、ローグヴァニア・アクションゲーム『Dead Cells』について、次回大型アップデートの配信をもって、追加コンテンツの開発を終了すると発表した。本件に関して、Motion Twinの設立メンバーで現在は独立して活動しているゲームデザイナーSébastien Benard氏が、古巣の判断を批判するコメントを出している。

『Dead Cells』は、ローグライクとメトロイドヴァニアを掛け合わせた“ローグヴァニア”を名乗る2Dアクションゲームだ。2017年5月にSteamにて早期アクセス配信が開始され、2018年8月に正式リリース。同時にコンソール版も配信開始され、その後モバイル向けにも移植された。本作は非常に高い評価を獲得し、2023年6月時点で売り上げ1000万本を突破している。


『Dead Cells』は正式リリース後も追加コンテンツの開発が続けられ、これまでに34回の無料アップデートと、4種類の有料DLCの配信を通じてそのゲームプレイが拡充されてきた。そうしたなかで、次回大型アップデート「The End is Near」の配信をもって、追加コンテンツの開発を終了することが明らかにされた。Motion Twinによる発表では、同じことの繰り返しにより『Dead Cells』の魅力を損なうことを避けるためであると説明。また、追加コンテンツ開発を担当してきたEvil Empireは今後新たな冒険に乗り出すとして、新作開発に移行することも示唆された(関連記事)。

この発表受けて、Motion Twinの設立メンバーであり、現在はDeepnight Gamesの設立者・シニアゲームデザイナーとして活動しているSébastien Benard氏が、自身の古巣を痛烈に批判。『Dead Cells』およびEvil Empireに対する、「考え得る限り最悪のクソみたいな判断(the worst imaginable asshole move)であり、発表内容はマーケティング上の戯言(total marketing bullshit)」だとコメントして注目を集めた(Reddit)。同氏は、『Dead Cells』の開発においてそのゲームデザインからゲームエンジンまであらゆる部分に携わった人物で、2020年3月に独立している。


そしてBenard氏は2月13日になって、先の発言の真意を説明した。まず背景として、同氏は『Dead Cells』を手がける以前のMotion Twinについて振り返っている。かつての同スタジオはWebゲームをいくつも手がけるスタジオだったが、『Dead Cells』の成功を受けて、以前の作品のコミュニティを放棄する判断を下したという。

『Dead Cells』については、昨年6月に今後の展望が発表され、2025年までアップデートが続けられると説明された(関連記事)。最後となることが決定した次回大型アップデート「The End is Near」の配信時期は未発表ながら、Benard氏は2025年までのアップデート計画がキャンセルされたと指摘。そして、Motion Twinはまたコミュニティを突然切り捨てたと批判している。

また今回の判断は、世間の注目をMotion Twinの新作『Windblown』に集めるためであることは明らかだとも述べている。近年の『Dead Cells』のコンテンツ開発を通じてEvil Empireは株を上げ、一方のMotion TwinではBenard氏を含め『Dead Cells』を手がけたオリジナルメンバーがほぼ去っており、焦りを感じたのだろうとのこと。


Sébastien Benard氏は、自身がMotion Twinの中心メンバーのひとりであった時の苦い経験と、かつてのコミュニティ切り捨てに意を介さなかったスタッフが今も同スタジオに残っている事実をもとに、今回厳しいコメントをしたようだ。ただ、同氏が独立してもう4年が経っており、断言的に述べている部分もあるものの、『Dead Cells』開発完了の判断の理由として述べられたのはあくまで同氏の推測に過ぎない。今のところ、Motion TwinもEvil Empireも同氏のコメントに対して反応しておらず、特に問題化することなく終息するのかもしれない。

『Dead Cells』は、PC(Steam/Epic Gamesストア/GOG.com)/Nintendo Switch/PS4/Xbox One、およびiOS/Android向けに配信中だ。