サバイバルホラー『Dead Space 2』、“リメイク版開発計画が中止になった”報道広まるもEAが素早く否定。でも発端のジャーナリストは主張曲げず

 
『Dead Space 2』

ある海外ジャーナリストが独自の情報筋に基づく見解として、SFサバイバルホラー『Dead Space 2』に関して「リメイク版開発計画があったものの中止になった」と発言。海外メディアで報じられたものの、すぐさま同作販売元Electronic Artsが報道を否定する事態となった。

『Dead Space 2』

『Dead Space』は、2008年にリリースされたSFサバイバルホラーゲームだ。同名のリメイク版が2023年1月に発売。国内ではPC(Steam/Epic Gamesストア/EA app)向けに配信開始された。リメイク版は日本語表示にも対応している。本作の主人公は、エンジニアのアイザック・クラーク。通信機器の修理のために宇宙船USGイシムラへと向かった彼は、異形の怪物ネクロモーフによる惨劇を目の当たりにする。本作には一般的な武器はあまり登場せず、プラズマカッターやリッパー(丸ノコ)などのツールキットを駆使した戦闘が特徴のひとつ。アップグレードも可能なそうした武器にて、おぞましいネクロモーフに立ち向かうのだ。

リメイク版は『Battlefield』シリーズなどでも使用されているゲームエンジンFrostbite Engineを用いて、EAのMotive Studioにより開発された。グラフィックや音響が生まれ変わり、ネクロモーフの損壊描写もパワーアップ。プレイヤーの緊張具合を分析するという「インテンシティ・ディレクター」なる演出システムや、スラスターによる無重力遊泳といった要素も追加されている(関連記事)。

Steamユーザーレビューでは本稿執筆時点で約3万3000件が寄せられ、うち91%が好評とする「非常に好評」ステータスを獲得。オリジナル版から受け継がれたゲームプレイやストーリー・設定のほか、新システムによって強化された恐怖感などが評価を受けている。

『Dead Space』リメイク版

なおオリジナル版に向けては、続編として2010年に『Dead Space 2』が、2013年に『Dead Space 3』が発売されていた。このうち『Dead Space 2』について“リメイク版開発が進められていたものの中止となった”との説が、先日より海外メディアにて報道されていた。発端となったのは、ゲームジャーナリストのJeff Grubb氏の発言だ。同氏は、真偽がやや怪しい話も含めて、ゲーム業界にまつわるさまざまな事情や暴露話を語ってきた人物だ。

Grubb氏は4月11日にポッドキャスト番組「Game Mess Mornings」において、同じくゲームジャーナリストのLex Luddy 氏と共にMotive Studioの最近の動向について言及。先日、同スタジオはDICE/Ripple Effect/Criterion Gamesが開発中の『Battlefield』シリーズ最新作の開発に参加することが明らかになった(関連記事)。これに関連する情報としてGrubb氏はGameSpotの報道を引用しつつ、スタジオのゼネラルマネージャーPatrick Klaus氏が公式サイトに声明を投稿したことを紹介。並行して、「アイアンマン」を題材とするアクションゲームについても開発が順調に進められていることが報告された点を伝えた。


そしてGrubb氏とLuddy氏は、Motive Studioではふたつのプロジェクトが同時進行していることもあり『Dead Space 2』のリメイクは開発されていないだろうと推察。さらにGrubb氏はMotive Studioが「『Dead Space 2』のリメイクに取り組んでいた(They were working on Dead Space 2)」と述べつつ、第1作(リメイク版)の売上が振るわなかったため、棚上げにされたとの説を伝えた。

Grubb氏の発言については複数の海外メディアが報じたものの、EA側がすぐさま否定する事態となった。EAの広報担当者は米IGNに向けて「通常であれば噂話には反応しない」という方針を前置きしたうえで、報じられているGrubb氏の発言は「まったく妥当性がない(no validity)」と明言した。つまり、そもそもMotive Studioは『Dead Space 2』のリメイクを開発しておらず、中止したわけではないのだろう。

『Dead Space』リメイク版

なおBloombergのJason Schreier氏が関係者証言として伝えるところによると、Motive Studioでは“『Dead Space 2』のリメイクではない”シリーズ新作の開発プロジェクトが立ち消えになっていたとのこと。同スタジオでは『Dead Space』リメイク版の開発終了後、小規模なチームが数か月かけてシリーズ新作のアイデアを練っていたという。しかし結果としてゴーサインが出ることはなく、頓挫したそうだ。2023年夏以降、同チーム内の『Dead Space』リメイク版に携わった開発者の大半は別のプロジェクトに移籍。残ったスタッフらは代わりとなる別のアイデアを模索しているとのことだ。

ちなみにGrubb氏は先述したEAの広報担当者の声明に反論し「『Dead Space 2』のリメイク版は間違いなく計画されていて、コードネームも存在した(Dead Space 2 was definitely being planned. It had a code name)」と主張している。ただこれについてはSchreier氏が反論。Motive Studioで『Dead Space』リメイク版の開発チームはどのプロジェクトでも同じコードネームを用いていたといい、Grubb氏は混乱したのだろうとの見解を述べている。


Grubb氏は以前にもゲーム業界に関するさまざまな事情を内部情報として伝え、販売元・開発元から訂正される例もしばしば見られた。今回同氏が伝えた「『Dead Space』リメイク版の売上不調で『Dead Space 2』のリメイクが中止された」という主張も、EA側や別のジャーナリストから素早く否定された格好だ。

先述のとおり『Dead Space』のリメイク版は好評を博しており、立ち消えとなったとされつつもシリーズ新作の構想が練られていたことが報じられている。Motive Studioでは少なくともしばらくは『Battlefield』シリーズ最新作と「アイアンマン」の新作アクションゲームに注力されるとみられるものの、『Dead Space』シリーズの新展開が将来用意される可能性もあるのだろう。

Dead Space』リメイク版は、国内ではPC(Steam/Epic Gamesストア/EA app)向けに発売中だ。