『TETRIS almost』発表、Steamにて2月9日発売へ。リラックスして遊べる“『テトリス』改良版”を謳うも、ネーミングは権利関係怪しげ

 

デベロッパーのgalesoozkaは1月25日、『TETRIS almost』のSteamストアページを公開し、2月9日に発売すると発表した。対応プラットフォームはPC(Steam)。本作は『テトリス(Tetris)』のルールを改良したものと謳われているが、同作の権利を保有するテトリスホールディング(Tetris Holding)の権利表示がされておらず、権利関係に不透明なところが存在している。

『TETRIS almost』はパズルゲームである。本家『テトリス』のルールを改良したものと謳われており、プレイヤーはおなじみの形のブロックを盤面の好きな位置に配置することができる。横と縦のどちらでも、一列揃えばブロックが消滅しスコアが手に入る。ブロックは配置するまで動かないため、プレイヤーは落ちてくるブロックのプレッシャーに悩まされることなく、リラックスしたゲームプレイが楽しめるという。

ゲームモードは制限のないクラシックモードのほかに、デザインされたパズルステージが用意される。パズルステージでは、プレイヤーは一定の時間内に、課されたタスクをこなしていくことになるという。スキルと戦略が求められる、やりがいのあるゲームプレイになるとのことだ。


『テトリス』の改良版を謳い、タイトルにも『TETRIS』の文字を含んでいる本作だが、権利関係に不透明な点が存在している。『テトリス』は登録商標であり、テトリスホールディングが権利を保有している。使用にあたっては、同社の許諾が必要である。同社より許諾を得て制作・販売されている作品は、Rマークや著作権表示が付されていることが多い。たとえばSteamで販売されている『Tetris® Effect: Connected』は、タイトルにRマークがあり、ストアページ下段にはテトリスホールディングの著作権表示が書かれている。

一方、本稿執筆時点において、『TETRIS almost』ストアページに権利表示は見受けられない。現在対応中の可能性もあるが、仮に無許可での制作・販売とのことであれば、テトリスホールディングより何らかの申し立てを受ける可能性もあるだろう。昨年には、“砂テトリス”として人気を博した『Setris』がテトリスホールディングより商標権侵害の訴えを受けて一時公開を停止。ゲームタイトルを『Sandtrix』と改め、BGMのロシア民謡を削除して再公開されるといった出来事もあった(関連記事)。


テトリスホールディングが拠点を置く米国や日本などの国においては、アイデアは著作権保護の対象にならず、ゲームシステムの模倣などは著作権違反とはならないとされる。上述の『Setris』の訴えの際にも、『テトリス(Tetris)』に1字違いのタイトルと、同社が音商標を取得しているBGMによる、本家『テトリス』との混同の可能性が問題視されており、ゲームシステムの模倣については論点となっていない。本作『TETRIS almost』についても、仮にテトリスホールディングの許諾を得ていないとしても、タイトルを本家『テトリス』と紛らわしくないものに変更すれば、権利関係がクリアな作品として販売できる可能性はあるだろう。本作の今後の動向が注目される。

『TETRIS almost』はPC(Steam)向けに2月9日に配信予定だ。