あるホラーゲーム開発元、低評価・売上不振と「嫌がらせ」によりスタジオを閉鎖したと報告。閉鎖後も相手を名指しで批判

 

デベロッパーのJukai Studioは12月23日、同スタジオの閉鎖を発表した。声明では、ネット上での嫌がらせおよび、同スタジオが手がけたホラーゲーム『Stray Souls』の売上不振が原因とコメント。1月6日には、嫌がらせについてさらなる詳細を綴る声明文が出されている。


Jukai Studioは、開発者のArtur Łączkowski氏が立ち上げたデベロッパーだ。Artur氏はかつて『Layers of Fear』などで知られる開発元Bloober Teamに在籍。『The Medium -霊-』といったホラーゲームの開発に参加後、2022年3月に退職しJukai Studioとして独立した。同スタジオ初開発作品『Stray Souls』は、Versus Evil(昨年末に閉鎖済)を販売元として2023年10月にリリースされた。

そしてJukai Studioは、『Stray Souls』発売からわずか約2か月となる12月23日、同スタジオの閉鎖を発表した。上述のVersus Evil閉鎖の発表も同日におこなわれており、追従するかたちでの発表となるが、その関連性は特に語られていない。

Jukai Studioは同声明のなかで、閉鎖の理由は複数あると語っている。主要な理由のひとつは「『Stray Souls』の失敗」であるとのこと。同作の評価および売上低迷に伴い、会社の維持が完全に困難になってしまったそうだ。そしてもうひとつの理由が「サイバーいじめ(Cyberbullying)」の被害にあったことだという。

https://twitter.com/JukaiStudio/status/1738327876032774630

『Stray Souls』PC版の評価は、メディアレビューを集積したMetacriticのメタスコアでは100点満点中29点。Steamユーザーレビューでは本稿執筆現在、164件中で好評率が28%に留まる「やや不評」ステータスとなっている状態だ。Steam同時接続プレイヤー数も、リリース直後にはピーク時170人を記録したものの、リリース翌月からはピーク時でも1桁台が続いている(SteamDB)。本作はPS/Xbox向けにも展開されているものの、以上のようなPC版の苦境を見ると、売上低迷も頷けるだろう。

https://twitter.com/JukaiStudio/status/1743367924075708621

そしてJukai Studioは1月6日、上述の「サイバーいじめ」についてX上にて新たな声明文を出している。同声明文では、「何が『Stray Souls』と同スタジオを破壊したのか伝えたい」として、コンテンツクリエイターのBob(bobvids)氏を名指し。同氏とその周辺のコミュニティメンバーによる、Jukai Studioのスタッフへの嫌がらせがあったとしている。また、嫌がらせの証拠とされるメッセージのスクリーンショットなども送付されている。Jukai Studioは弁護士との相談の上で同氏の名前を明かしたといい、法的措置をおこなう意向を示している。

同スタジオに名指しされたBob氏は、ホラーゲーム実況や作品分析・紹介といった動画コンテンツを手がけ、YouTubeやTwitchなどで人気を集める人物だ。同氏は2023年6月、Jukai Studioを立ち上げた前述のArtur氏のX(当時Twitter)上での振る舞いについて指摘。特定人種や性的マイノリティに対する差別的な投稿に「いいね」をしているとした。また、そうした振る舞いはBob氏が指摘する数日前までおこなわれており、Artur氏による証拠隠滅もおこなわれたと主張されている。

Bob氏による同投稿はシェア数260件以上を集めるなど注目され、Jukai StudioおよびArtur氏に批判が寄せられる背景があった。Jukai Studioが今回の声明文で言及した嫌がらせ行為とは、Bob氏による上述の指摘投稿および、同調したユーザーらによる不買呼びかけなどの行為のことだろう。Jukai Studioの1月6日のポストには、ファンによる同情の反応もある一方で「ゲームの不出来の責任をなすりつけている」といった意見も寄せられている。

今のところ筆者の観測範囲内では、Bob氏側のJukai Studioへの反論などの声明は出ていない。ただ、Jukai Studio側の声明文については把握しているようで、「『Stray Souls』開発元から訴えると脅されているので『Lethal Company』を遊ぼう」と題したゲームプレイ配信をTwitchにて実施。あまり意に介していない様子を見せている。