ゲームイベントE3、消滅。1995年から続いた歴史に幕を降ろす

 

米国ゲーム業界団体ESA(Entertainment Software Association)は12月12日、主催ゲームイベント「E3」の開催終了を正式に発表した。

E3の公式サイトおよびSNSアカウントを通じては、「20年以上にわたりE3を開催してきたなかでは、毎回規模を拡大させてきたが、別れを述べる時が来た。思い出をありがとう」とコメント。そして「GGWP(Good Game Well Played)」とゲームイベントらしい言葉で締めくくっている。


E3(Electronic Entertainment Expo)は、家電見本市CESにて開催されていたイベントを前身とし、アメリカのロサンゼルス・コンベンションセンターにて1995年から開催されてきた世界最大規模のゲームイベントだ。当初は業界関係者向けの見本市であったが、のちに一般消費者にも開放されるかたちにイベントの性格が変化。例年5〜6月に開催され、これにあわせて大手パブリッシャーもプレスカンファレンスを実施。新作発表などが大々的におこなわれる時期として業界の風物詩となっていた。

大きな転機となったのは、2020年の新型コロナウイルス感染拡大だ。主催のESAは同年のE3開催を中止し、2021年にはE3の歴史で初めてオンラインイベントとして開催。ただ、2022年および2023年はふたたび全面中止となった。

今年のE3は、PAXなど一般消費者向けの大型イベントを手がける企業ReedPopに運営が託され、心機一転オンライン・オフライン双方での開催を目指して準備が進められていたが中止に。当時ESAは、コロナ禍以降ゲーム開発のスケジュールを見直す企業が出てきたほか、イベントへの大規模な投資を見直したり、オフラインとオンラインのイベントのバランスを各企業が模索し始めたことを開催中止の理由に挙げていた(関連記事)。実際、E3への不参加を表明する企業が相次ぎ、開催が危ぶまれる状況となっていた。


E3の開催終了についてESAのCEO Stanley Pierre-Louis氏は海外メディアTheWashington Postに対し、ゲーム業界全体やプレイヤー、クリエイターはE3に対し多くの情熱をもっていると理解しており、ESAとしてもその情熱を共有するとコメント。そして、そのように愛されたイベントに別れを告げることは辛いが、業界がファンやパートナーと繋がる新たな機会を得るためであるとして、開催終了は正しい選択であったと述べた。

E3が開催されなかったこの数年には、Summer Game Festの開催や各メーカーのオンラインイベントの実施をはじめとして、新作発表などにおける環境は大きく変化した。一方で、東京ゲームショウやgamescomといった大型イベントは、コロナ禍以前の来場者数に迫るほどまで回復しつつある。そうしたなかでゲームイベントの象徴的な存在であったE3は、ついにその幕を降ろすこととなった。