Unity、大きな批判受けた新料金システムの規定を変更。無料のPersonalプランへの導入を取りやめ、支払いは自己申告制に

 

Unity Technologiesは9月23日、ゲーム開発プラットフォーム「Unity」への導入を予定している新料金システム「Unity Runtime Fee」について、当初公表していた適用規定の変更を発表した。

Unity Runtime Feeは、Unity利用者が開発したゲームが、エンドユーザーによってダウンロード・インストールされた回数を基準として適用。ゲームの過去12か月の収益が最小しきい値を超えており、かつ累計インストール数が最小しきい値を超えている場合、さらにインストールされるたびに規定の料金の支払いが求められる仕組みだ。

実際に支払いが発生する利用者は全体の一部にとどまる見込み。ただ、インストールされただけで料金が発生する仕組みや、エンドユーザーによる正規インストールをどのようにして正確に把握するのか不透明な点、また以前のバージョンを以前の利用規約のまま利用できた従来の仕組みが、Unity Runtime Fee発表前に密かに封じられていたことなどにより、利用者からは大きな反発の声が上がることとなった(関連記事)。

今回の発表にてUnity Technologiesの社長Marc Whitten氏は、まず最初に利用者に謝罪した。Unity Runtime Feeの導入は、利用者のサポートとUnityへの投資を継続するための施策であったが、発表する前に利用者と対話し、フィードバックを取り入れる努力をもっとすべきだったと振り返っている。


Unity Runtime Feeの変更点としては、まず無料で利用できるUnity Personalプランへの導入が完全に撤回された(新規提供が終了しているUnity Plusプランも導入なし)。また同時に、同プランの利用条件である過去12か月の収益・調達資金の上限が、10万ドルから20万ドルに引き上げられた。同プランではさらに、スプラッシュスクリーンに「Made with Unity」を表示する要件が、2024年にリリース予定のUnityのLTS(Long Term Support)バージョンより取り下げられる。

Unity ProおよびUnity Enterpriseプランについては、2024年にリリース予定のLTSバージョンより、Unity Runtime Feeが導入されるとのこと。ただし支払い基準に達した利用者は、インストール数に応じたUnity Runtime Feeを支払うか、収益の2.5%を支払うかのどちらかを選択できるという。さらに、そのインストール数も収益金額も、利用者自身で報告して支払うかたちとされた。以前は、Unity側が独自のデータセットを活用してインストール数をカウントするとされていたが、こちらも方針転換された格好だ。

あわせて、先述した以前のバージョンを以前の利用規約のまま利用できる仕組みについても、今後継続すると明言。GitHubには、先日削除された利用規約履歴がふたたび掲載されている。またUnity Runtime Feeについても、LTSバージョンにアップグレードせず以前のバージョンを使い続ける限り、すでに発売されている作品に遡って適用されたり、現在開発中のプロジェクトに適用されることがないことが明確にされた。

今回発表されたUnity Runtime Feeの規定変更について、その内容に関しては、ゲーム開発者からは概ね好意的な意見が寄せられている。ただ、一度崩れた信用を完全に取り戻すことは容易ではないようで、将来的にまた受け入れづらい規定変更がなされるのではないかと疑心暗鬼になっている人も多い様子である。Unity Runtime Feeの発表以降、一部では別のゲームエンジンへの乗り換えを模索する動きがみられたが、そうした流れに歯止めがかかるのかどうかを含め、Unityの動向には引き続き注目が集まる。

Unity Runtime Feeは、2024年にリリース予定のUnityのLTS(Long Term Support)バージョンより、Unity ProおよびUnity Enterpriseプラン向けに導入予定。詳細については公式FAQを参照してほしい。