1C Game Studiosは4月12日、基本プレイ無料マルチプレイTPS『Caliber』をSteam向けに配信開始した。長らく海外向けテストを続けていた本作は、プレイヤー人口面で好調な滑り出しを見せた。一方で、Steamユーザーからの評価は賛否両論となっている。
『Caliber』は、マルチプレイタクティカルTPSだ。本作でプレイヤーは、世界各国の実在特殊部隊に所属する、60種類以上のオペレーターキャラを操作。それぞれのユニークな武装とアビリティを駆使し、チームで連携して戦いを制する。本作ではプレイヤー4人が、交戦距離や役割が違う4クラスのオペレーターを担当。それぞれの得意分野を役割分担しつつ戦いに望む。
本作では、PvPのほかPvE/PvPvEゲームモードをサポート。敵チームとの直接対決以外にも、NPCを相手にした協力プレイモードなどが用意されている。また、操作性としては照準やキャラ移動操作に、独特の「間」やクセがある実装となっている。そのため、エイミングや反射神経よりも、オペレーターの特性と交戦距離を活かした戦術的立ち回りを重視。ゆったりめのペースでマッチが進行していくゲームプレイとなっている。
『Caliber』は2019年にオープンベータテストを開始。ヨーロッパやアメリカ向けにテスト対応地域を拡大しつつ根強い人気を誇っていた。しかし、昨年3月には開発・運営元が、本拠地とするロシア以外でのサービスを休止するに至っている(MMOBomb)。そんな本作がこのたび、Steamに向けて登場した。実質上本作グローバル版の復活という背景もあってか、プレイヤー人口はなかなか好調。Steam版配信開始から連日、ピーク時で5000人ほどのユーザーが本作を遊んでいるようだ。
しかし、本作のSteamユーザーレビューでは評価が分かれている。本稿執筆時点では1600件以上のレビューが寄せられ、うち好評は68%に留まる「賛否両論」ステータスだ。問題点としては「操作性がぎこちなく感じる」との声がある。無料でオペレーターをアンロックするには長時間のプレイが必要であり、オペレーター間の性能バランスへの不満も見られる。
筆者が実際に本作をプレイした感想としても、照準操作がワンテンポ遅れるなど操作性はかなり独特。オペレーター数も60種以上と多数にのぼるため、アンロックに相応の手間がかかるのは事実となる。一方で、昨今ではニッチなタクティカルTPSとしてのゲームプレイを提供してもいるだろう。『SOCOM U.S. Navy SEALs』シリーズといった、過去人気を博した独特のTPS作品になぞらえる意見も見られる。
そして、本作を手がけている1C Game Studiosは、前述の通りロシアを本拠とするメーカーだ。ロシアはウクライナ侵攻に関連して諸国から経済制裁を受けているほか、一般からの心象も厳しいだろう。ただし、戦争に絡めて本作を批判するレビューはほとんど見受けられない。言外にロシアに対する感情が影響している可能性もあるものの、筆者のハンズオンの印象などもあわせて、好き嫌いがわかれそうな作品なのは確かだ。
『Caliber』Steam版は、基本プレイ無料で配信中だ。