サバイバルホラー『The Callisto Protocol』は「予想よりはるかに売れていない」との報道。約200億円と報じられた開発費も重く

 

サバイバルホラーゲーム『The Callisto Protocol』の売上が低迷し、販売元KRAFTONの予想株価にまで影響しているとの報告があがっている。韓国現地メディアK-ODYSSEYが伝えている。

『The Callisto Protocol』は、サバイバルホラーゲームだ。プレイヤーは木星の衛星Callistoを舞台に、刑務所からの脱出を目指しつつ恐ろしい秘密に迫っていく。本作は韓国のKRAFTONがパブリッシングを担当。開発は米国を拠点とするStriking Distance Studiosが担当している。

同スタジオCEOであるGlen Schofield氏は、過去にサバイバルホラーゲーム『Dead Space』にエグゼクティブ・プロデューサーとして携わった人物だ。そんな同氏が手がける『The Callisto Protocol』は、ホラーゲームファンからの大きな期待を集めつつ、昨年12月2日に発売された(日本国内では全面発売中止)。


そして、そんな本作の売上が低迷していると各証券会社が報告。KRAFTONの目標株価までもが下げられる状況にあると、K-ODYSSEYが伝えた。同誌によれば、大信証券やサムスン証券など韓国の大手証券会社6社が先月から今月始めにかけて、KRAFTONの将来的な株価水準予測を下方修正。その主な理由として、『The Callisto Protocol』のローンチ不振が指摘されているとのこと。

なかでもサムスン証券はレポートのなかで、売上の具体的な数字について分析。「KRAFTON側は500万本の売上を期待していたものの、現在の販売パフォーマンスから分析するに、今年中にその半分以下の水準に届くかどうかだろう」と伝えているという。また、コリア・インベストメント・ホールディングスも同様に、本作の売上高の予測水準を400万本から210万本に修正し、KRAFTONの営業利益予測についても8130億ウォン(約841億円)から6293億ウォン(約651億円)へと下方修正したとのこと。


また、『The Callisto Protocol』は発売後にゲームとしての評価でも苦戦している。レビュー集積サイトMetacriticでは、本作PC版メタスコアが100点満点中68点、ユーザースコアが10点満点中5.3点となり大型タイトルとしては芳しくない。各コンソール版についても似た水準の評価となっている。また、Steamユーザーレビューも本稿執筆時点で1万件以上のレビューが寄せられ、うち好評は約64%に留まる「賛否両論」ステータスとなっている。

レビュー内容としては、作り込まれたグラフィックや演出面概ね好評を受けている。一方で、主に戦闘を中心としたゲームプレイについて“退屈である”との批判の声が散見されるほか、PC版では最適化不足を指摘する意見が多数見られる状況だ。また、『The Callisto Protocol』は傑作とされる『Dead Space』の再来としても大いに期待されていた。その高い期待値と実際のゲームプレイの落差も、低評価の一因となっているのかもしれない。

またK-ODYSSEYは、『The Callisto Protocol』の開発にあたっては約2000億ウォン(約206億円)と3年の期間が費やされているとしている。多大な予算と期待を受けて作られた作品ゆえに、その売上と評価の低迷は目立つのかもしれない。またPC版の米ドルでの価格(59.99ドル)を参考にした概算となるものの、約2000億ウォンの開発費を回収するには本作を約261万本売り上げる必要があり、こちらも課題となるだろう。いずれにせよ、本作の正確な数字については、今後のKRAFTON投資家向け資料での発表を待つことになる。

なお、『The Callisto Protocol』については、開発スタッフが不当にクレジットから除外されたとの報告や、開発元の労働環境に問題があったとの指摘も報道されている(関連記事)。作品自体の評価低迷もさながら、周囲を取り巻く事情も懸念される。また、本作は昨年10月に突如として国内展開を中止。現在、本作の日本国内からの正規入手は絶望的な状況となっている(関連記事)。