料理体験ゲーム『クッキングママ』シリーズの“低品質”無断発売の海外作に裁判所の裁定下る。泥沼争いに決着

オフィス・クリエイトは11月17日、「『Cooking Mama: Cookstar』に関する最終仲裁裁定のお知らせ」を公式サイトに掲載した。『クッキングママ』シリーズ海外作品における争いに、最終仲裁裁定が下ったとのこと。

オフィス・クリエイトは11月17日、「『Cooking Mama: Cookstar』に関する最終仲裁裁定のお知らせ」を公式サイトに掲載した。同社は2020年4月に、料理体験ゲーム『クッキングママ』シリーズ作品『Cooking Mama: Cookstar』の販売活動における、アメリカのパブリッシャーPlanet Entertainmentの契約違反行為を指摘。その後法的措置を講じ、最終仲裁裁定が下ったとのこと。

オフィス・クリエイトは、料理体験ゲーム『クッキングママ』シリーズを展開しているメーカーだ。今回問題となった『Cooking Mama: Cookstar』に関しては、同社は権利元としてPlanet Entertainmentとライセンス契約を締結し、Planet Entertainment側で開発。そしてNintendo Switch版が2020年3月に、PS4版が2021年3月に海外で発売された。

ただ、本作の開発過程においてオフィス・クリエイトは、ゲームの品質がほかのシリーズ作には遠く及ばず「到底お客様にご満足頂けるものではない」と判断し、ゲーム内容の修正を再三指示。しかしPlanet Entertainmentは、それに従うことのないまま本作を発売したという。さらにオフィス・クリエイトは、PS4版の開発・販売についてはライセンス契約において許諾していないことも指摘していた。

これに対しPlanet Entertainmentは、本作のゲームデザイン内容はオフィス・クリエイトの承認を得ていたとし、またPS4版を販売する権利も保有していると反論。結果的にPlanet Entertainmentは、オフィス・クリエイトからライセンス契約を即時解除されることとなるが、その後も本作の欧米でのパッケージ版販売を継続した(関連記事)。

オフィス・クリエイト側からすると、『Cooking Mama: Cookstar』は権利元である同社に無断で販売が継続されている状況にあった。そこで同社は国際商業会議所(ICC)国際仲裁裁判所において、Planet Entertainmentおよび同社CEOのSteve Grossman氏個人を相手取り、無許可での本作の製造・販売等の禁止等を求めて仲裁手続きを申し立てた。そして今年10月3日に、仲裁裁判所が最終裁定を下したそうだ。

最終裁定では、『Cooking Mama: Cookstar』のNintendo Switch版とPS4版のいずれにおいても、Planet EntertainmentおよびGrossman氏は製造・販売する権利を有していないとし、無許可の本作はオフィス・クリエイトの知的財産権を侵害していることを認定。そして知的財産権侵害・不正競争行為などを理由として、オフィス・クリエイトとの関連性を誤認させる一切の行為を禁止するとともに、オフィス・クリエイトに対する損害賠償の支払いを命じたとのこと。

こうした裁定を受けてか、本作の公式サイトやSNSアカウントは削除され、またPlanet Entertainment公式サイトからも本作は消えた。ただ、流通を担当したRavenscourtの公式サイトには現在も掲載されており、本作のパッケージ版はまだ購入可能な状況。オフィス・クリエイトは、重要な資産である『クッキングママ』シリーズを保護するため、『Cooking Mama: Cookstar』を市場から排除すべくあらゆる法的措置を講じているところだそうだ。

なお余談であるが、Planet Entertainmentは騒動後、別の料理体験ゲーム『Yum Yum Cookstar』をリリースしている。審査員が登場するなど一部独自要素が導入されているが、基本的なゲームプレイは『Cooking Mama: Cookstar』のものを継承している様子。トレイラーのナレーションでは、本作は「あなたのママのキッチンとはまったく違う」と述べている。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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