“低品質”として話題の「キングコング」新作ゲームは「1年で開発しろとの無茶振りがあった」との報道。小規模スタジオが陥った悪循環を開発者が吐露

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パブリッシャーのGameMill Entertainment(以下、GameMill)は10月17日、IguanaBeeが手がける「キングコング」題材ゲーム『Skull Island: Rise of Kong』(以下、『Skull Island』)を発売した。同作はリリース直後より、低品質であるとしてユーザーからの批判や注目が寄せられている状況にあった。その背景について、開発元スタッフとされる面々が海外メディアThe Vergeに証言を寄せている。


『Skull Island』は、三人称視点のアクションアドベンチャーゲームだ。映画「キングコング」を題材とし、前日譚「Kong: King of Skull Island」などに登場したSkull Island(髑髏島)が舞台となる。プレイヤーは主人公コングとなり、両親の仇を取り、髑髏島の王として君臨するため、島を冒険することとなる。本作については、発売直後から演出・ゲームプレイ面のクオリティが低いとのユーザー指摘が続出。ゲームプレイ動画がSNS上などで取り沙汰される状況があった(関連記事)。なお、同作の開発を手がけたのはチリを拠点とする開発元のIguanaBee。パブリッシングを担当するGameMillは、米国を拠点としている。

そして今回、The Vergeが取り上げたのは、IguanaBeeに在籍しているとされる、複数の開発者らの証言だ。開発者らは同誌に対して「『Skull Island』が厳しいクオリティとなったのは、パブリッシャーであるGameMillが開発期間としてたったの1年間しかくれなかったためだ」といった主張を伝えている。


The Vergeに語ったとある匿名の開発者によれば、本作の開発が開始されたのは昨年の6月だったという。そして開発終了の期日として定められたのは翌年、すなわち今年の6月2日だったそうだ。また、開発メンバーは最大で20人ほどであり、まったくの1からの開発であったという。そうした証言が事実であれば、『Skull Island』のような規模感のアクションゲームを満足に開発するのが無理難題に近いことは自明だろう。

記事では、ほかの開発プロジェクトでも「開発に必要な情報が提供されない」といったことがあったとの証言も語られている。なお、IguanaBeeはGameMillのパブリッシングのもと『G.I. Joe: Operation Blackout』といったいわゆる“版権モノ”作品開発にも携わっている。また、複数の情報元によれば、IguanaBee開発・GameMill販売による別作品『Little League World Series Baseball 2022』でも同様に開発期間1年との制限が課せられたという。

そして、厳しい納期に立ち向かうなかでは一定期間にわたる過酷な長時間労働、いわゆるクランチも発生していたという。とある開発者はクランチは2月頃に本格化したと語り、「希望を全部失ったので、2月の終わりにはほとんど自動操縦状態で仕事をしていた」としている。


さらにThe Vergeによれば、従業員たちのなかには「GameMillからスタジオが契約を打ち切られるかもしれない」として証言記録を拒んだ者たちも多くいたという。また、業務として収益にはなるとして、仕事をくれるGameMillに対する複雑な感情を語る者もいたそうだ。

ほか、そうした資金の流れをベースとした「悪循環」についても語られたという。IguanaBeeのようなスタジオがオリジナル作品を作ろうと思えば資金が必要となり、資金源となを得られるのはGameMillのようなパブリッシャーによる“版権モノ”の開発だけ。そして、そうしたタイトルがポートフォリオに増えると、さらに“版権モノ”の開発を求めるパブリッシャーから偏って注目を受けることになるという。そのため、同種のIPありきのタイトルを作り続けることになるという流れだろう。

The Vergeが伝えた証言からは、パブリッシャーと小規模スタジオの力関係や、ビジネスを優先させざるを得ず、思うように舵を取れないスタジオのジレンマが感じ取れる。『Skull Island』の広く話題になるような出来栄えも、そうしたひずみが作品に反映された結果なのかもしれない。

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