『Apex Legends』開発元が「ハラスメントはやめて」と声明。一部ユーザーは開発元のせいと主張するも、正当化する理由にはならない

 

Apex Legends』開発元のRespawn Entertainmentは9月23日、増加するユーザーからのハラスメントに対して声明を発表した。声明に対して、ユーザーから賛否の入り混じる意見が寄せられたようだ。


『Apex Legends』はRespawn Entertainmentが手がけるオンラインFPS。シーズンを区切りながらライブサービスが続けられており、90日程度の期間で新たなシーズンが配信されてきた。各シーズン中にもイベントなどの際にアップデートが実施。期間限定モードの開催やゲームバランスの調整などがおこなわれる。SNSでの開発スタッフとユーザーとの交流も盛んで、バランス調整の方針や不具合報告などを巡って意見を交わしている様子も時おり見られる。

しかしながら開発スタッフに対しては、一部ユーザーからの心ない言葉も寄せられているようだ。そうした現状について、Respawn Entertainment公式Twitterアカウントは声明を発表。ハラスメントの増加に対する意見を述べている。

同声明では、最近になって開発チームのメンバーに対するハラスメントが増加したと言及。コミュニティからの意見は歓迎しているものの、建設的なフィードバックとチームへの嫌がらせの境界は明確にしてほしいと述べられている。そして、脅迫や嫌がらせに対しては毅然とした対応をとるとしており、チームの健康と安全を確保するために適切な措置を講じる構えを伝えている。

一方で声明では、建設的なフィードバックはチームにとって非常に好ましいものであると再度強調されている。開発元は、チームとユーザーが互いに敬意を払い、協力しあう関係を望んでいるようだ。そしてユーザーコミュニティとの協力のもとで、ゲームの競争性を維持していきたいという方針が述べられている。

先日にはプロチームFURIA所属の選手HisWattson氏が、チート対策などの不十分さから開発元への攻撃的な姿勢をあらわにし、物議を醸した(関連記事)。同氏の態度には、ほかのプロ選手を含め多くのユーザーからの批判が寄せられていた。今回の声明に対しても、開発側に寄り添った意見が寄せられている。たとえば、元プロ選手のNiceWiggことJack Martin氏も反応。開発者にも生活があることを忘れてはいけないとの旨を伝えている。

一方で、ハラスメント増加に対する今回の公式声明には、批判的なユーザーも見受けられる。彼らはマッチメイキングやオーディオの問題、クロスプログレッションの未実装など、さまざまなゲームにおける不満点を指摘。そしてコミュニティの意見やフィードバックが、ゲームに本当に反映されているのか疑問を感じている様子だ。そうしたユーザーの一部は、嫌がらせや脅迫行為自体については非難しているものの、それでも開発元の運営姿勢に懐疑的なようだ。ようするに、「開発元にも批判を受ける原因がある」との主張だろう。

しかしいずれにせよ、ゲームの内容や不正者に対する不満を、開発元への攻撃に転じることは控えるべきだろう。開発者へのハラスメントが悪化した場合、開発元はユーザーとの交流を閉ざしてしまう可能性も考えられる。今回のRespawn Entertainmentのツイートには、『Destiny 2』の開発元であるBungieも共感を示した。あわせて、一部ユーザーからの中傷やハラスメントに立ち向かうため、健全なコミュニティを構築していく必要性を述べている。Bungieは先日、ユーザーからの脅迫などが原因でコミュニティとの交流を減らしていることを明かしていた(関連記事)。

そして同様に、『Apex Legends』開発チームとユーザーとの交流も、最近減少傾向にあったようだ。先日Redditでおこなわれた開発者によるAMA(Ask Me Anything)にて、とあるユーザーが指摘している。開発者の反応があったことを示すRedditタグ「Dev Reply Inside!」が付与されたスレッドを見ると、シーズン11期間のスレッドは50件ほど。一方で、シーズン12期間では28件、シーズン13では12件と、昨今では大きく減少していることがわかる。Bungieと同様、ハラスメントの増加を受けてRespawn EntertainmentがReddit上での交流を控えていた可能性もある。開発元への不満があったとしても、暴言を吐くのを正当化する理由にはならない。不満へのフィードバックと暴言は切り分けられるべきだ。

なお今回の声明に先んじて開発者は、先述のAMAを実施。『タイタンフォール2』における対タイタン武器ソフトボールの将来の実装が示唆されるなど、開発者からの興味深いコメントが飛び出していた。またユーザーの意見から、今後の実装コンテンツを検討する様子も見られた。長期間続くライブサービスタイトルにおいては特に、ユーザーと開発者の交流に一定の意義はあるだろう。そうした交流の継続には、ユーザーからの協力が不可欠といえる。ゲーム内容や運営状態に不満があったとしても、開発元および開発者への嫌がらせや中傷はあるまじき行為だ。フィードバックはあくまでも適切におこない、今後もこうした交流とゲームの改善が続いていくことを祈ろう。