『スプラトゥーン3』のフウカは“女性である”と米任天堂が明言。ノンバイナリー説議論をめぐって公式回答


ニンテンドー・オブ・アメリカの製品/販売責任者であるNate Bihldorff氏は『スプラトゥーン3』のフウカが女性であることを、The Vergeの問い合わせを通じて明らかにした。一部でノンバイナリー説が沸騰していたフウカであるが、設定としては女性のようだ。

フウカは、『スプラトゥーン3』より登場する新キャラクターだ。バンカラ街のニュース番組「バンカラジオ」のパーソナリティを務める3人組すりみ連合の1人。京言葉を用いて、イカたちの戦いを盛り上げる。青色の前髪(前足)を垂らしており、目は片目のみチラリ。妖艶かつクールな見た目に仕上がっているだろう。一方同キャラの性別をめぐっては、議論が巻き起こっていた。つまり、フウカがノンバイナリーではないかという意見である。


ノンバイナリージェンダー(nonbinary gender)とは、自分の性自認(=体の性ではなく、自分で認識している自分の性)が男性・女性という性別のどちらにもはっきりと当てはまらない、または当てはめたくない、という状態を指す(IDEAS FOR GOODより)。

フウカがノンバイナリーであると指摘する意見をめぐっては、いくつかの根拠が提示されている。まずは公式がフウカに対して明確な人称代名詞を用いていないこと。He(彼)/She(彼女)と表現することを避けているという指摘だ。日本版では一人称として「ワタシ」「ボク」といった表現を使っていないという指摘も論拠として提示されている(なお前夜祭では、フウカは一人称として「ウチ」を用いている )。

また『スプラトゥーン3』においては、黄色と紫色、そして黒色と白色が全体的なテーマカラーとなっており、ノンバイナリーフラッグへのメッセージ性があるのではないかとも指摘されていた。こうした根拠により、カッコカワイイフウカは、任天堂タイトルとしては珍しいノンバイナリーキャラなのではないかとの提唱がされていたわけだ(Nintendo Life)。


しかしながら、米任天堂はThe VergeやGameXplainなど複数メディアに対しフウカが女性であると回答したようだ。アメリカでプレス向けイベントが実施されており、その際に回答されたのだと思われる。なおゲーム本編ではフウカは「She(彼女)」と呼ばれるようである。これにより、ノンバイナリー議論については終止符が打たれたようにも見えた。

ただし、この回答に納得できないユーザーもいるようだ。というのも、Twitter上でフウカの性別についてニンテンドー・オブ・アメリカにDMで問い合わせたユーザーが、「フウカはノンバイナリーである」という旨の回答を得たと主張している。DM回答とメディア回答に矛盾があるのではないかと指摘するユーザーもいるわけだ。

昨今では「公式回答風の画像を捏造しSNSに流す」といったケースも存在するため(関連記事)、公式回答風の画像だけでは信憑性も欠ける時代になりつつある。ひとまずはNate Bihldorff氏が回答した「フウカはノンバイナリーではない(フウカは女性)」というのが公式設定であると考えるのがよさそうだ。

ノンバイナリー説については否定されたものの、『スプラトゥーン3』ではジェンダーの垣根を取り払うアプローチが進められている。キャラメイク時にボーイとガールで分けられていた性別は明確に区別されなくなるなど、包括的な取り組みをしている。フウカは女性だと明言されたものの、どちらかの性別に属していない人でも、ゲーム内の自キャラ作成では自分を表現しやすくなっていることだろう。


『スプラトゥーン3』は9月9日発売予定だ。