ストリーマーのNicro氏が、Twitchにて狂気の放送を実施している。同氏は記事執筆現在、124時間以上にわたり配信で「マリオ」と言い続けているのだ。睡眠や食事の時間などもすべて放送されているなかで、マリオと口ずさみ続けている。拷問なのか、挑戦なのかも判然としないこの狂気の放送は、まだ終わりを迎える気配はない。
Nicro氏はカナダを拠点とするストリーマー。同氏は『スーパーマリオ』シリーズのスピードランなどで知られており、Speedrun.comのリーダーボードにも名を刻んでいる人物だ。同氏は先ごろ、約9か月間にわたってストリーマー活動を休止していた。そして12月1日に突如復帰。戻ってきたNicro氏は、なぜかおもちゃの銃で武装した男たちに脅され、マリオの仮装をしていた。同氏は「これは罰だ」と語り、生活を犠牲にして「マリオ」とひたすら言い続ける配信に挑み始めた。おそらく、これらの脅迫は冗談であり、待たせたファンに対する変わったかたちの「休止のお詫び」なのだろう。しかしその罰は、Nicro氏自身の想像を絶する過酷なものであった。
Nicro氏の目標は、設定された回数「マリオ」と発声すること。ノルマとなるマリオ発声数は視聴者の行動によって増加する。具体的には、チャンネルを応援するbitsひとつごとに1マリオ、1ドルの寄付ごとに100マリオ、1サブスクライブで250マリオがノルマに加算されるのだ。配信開始時点では、Nicro氏も「準備は超できてる」とのたまうほどの余裕があり、マリオ数ノルマも約4万ほどだった。しかし配信開始から7時間経過してノルマは14万を突破。復帰を喜ぶファンたちの手厚い歓迎が、Nicro氏を追い詰めることとなった。「マリオ」と連呼しながら次第に様子がおかしくなっていくNicro氏。やがて床にころがり機能停止し、そのまま就寝してしまう。
翌日以降もひたすらカメラの前で「マリオ」を連呼し続けるNicro氏。時に嗚咽や悲鳴をあげながらも、『スーパーマリオ』シリーズのBGMをバックに、順調にマリオ数ノルマをこなしていった。しかし、ノルマの増加も止まらない。配信6日目となる記事執筆現在、ノルマは57万を超えている(筆者が贈った300マリオを含む)。一方で、Nicro氏が発したマリオ数は37万回ほど。筆者が計測したところ、同氏の最速秒間マリオ数は約4回。残り20万マリオをクリアするには、約14時間にもわたり4マリオ/secを継続しなければならない。しかし、Nicro氏も人間なので息継ぎや排泄はもちろん、睡眠や食事も必要になる。その間にもノルマは加算されていくため、最悪の場合一生「マリオ連呼の刑」となる可能性も出てくる。
過酷なマリオ連呼を経て、現在のNicro氏は端的にいってかなりおかしくなっている。たまに「メリオ」「モリオ」「ニャリオ」と言ってみたり、「マリオが車線変更します、マリオが車線変更します」など支離滅裂なことを口走り続けている。さらに、「うーん」と長時間唸ったかと思えば「おっぱい」と無関係な下ネタを口にする有様だ。その後には「マリオのおっぱい」とも口にしていた。ファンとの会話の言葉も「マリオおやすみマリオ、見てくれてマリオがとう、またあしマリオ」といった具合。かと思えば、突如として流暢かつ支離滅裂なラップを披露したりとファンサービスも繰り広げている。なお、その間マリオ発声は止まっている。
Nicro氏は現在も、自身のTwitchチャンネルにてマリオ連呼を続けている。同氏は最初の頃こそ「頭がおかしくなる」と口にしていたものの、現在は壊れたかのようにマリオを繰り返すのみだ。前述のように適度の運動や水分補給などはしている。しかし、マリオ連呼が精神へ及ぼす影響は未知数。限界を感じる前に撤退してほしいところだ。勝手に自社の看板キャラを連呼され、精神に支障をきたされる任天堂もいい迷惑だろう。マリオ連呼地獄に自らハマったNicro氏。終わりなき無限ループに陥った、彼の運命やいかに。