ファンが非公式続編『MOTHER 4』を発表。浮かび上がる期待と疑念

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人気RPGシリーズ『MOTHER』のファンメイド続編『MOTHER 4』が発表された。本作はファンの手による“非公式続編”であり、二次創作作品だ。対応プラットフォームはPCで、リリース時期は未定。本作の発表に対し、『MOTHER』シリーズファンから期待と懸念の声があがっている。


『MOTHER』は任天堂が手がけた人気RPGシリーズだ。コピーライターの糸井重里氏がプロデュースやシナリオ、ゲームデザインなどを務めた。初作は1989年にリリースされ、以降2006年の『MOTHER3』までシリーズを重ねている。印象深いシナリオや独特の雰囲気は、後世の作品にも影響を与えた。例として『UNDERTALE』開発者のToby Fox氏も、影響を受けた作品として『MOTHER』シリーズを挙げている。また、現在でも二次創作が根強く、続編を望む声も散見される。同作は、長きに渡りファンに愛されている作品。一方で、糸井重里氏は4作目の開発の可能性について「絶対にあり得ない」として、幾度となく否定している(ファミ通.com)。3作目自体が紆余曲折を経て生まれたゲーム。シリーズの4作目はもはや見果てぬ夢なのだ。

そんななか11月29日、ファンの手による非公式続編『MOTHER 4』が発表された。本作は『MOTHER』のアートスタイルやゲームプレイを色濃く引き継いでいる。舞台はアメリカで、4人の少年少女たちが「Rift Shells」と呼ばれる強力なアーティファクトを取り巻く冒険を繰り広げるのだ。『MOTHER』シリーズでお馴染みのHPのドラムカウンター表示システムや、『MOTHER3』で導入されたサウンドバトルシステムなども盛り込まれるとのこと。トレイラーではオリジナルシリーズの雰囲気を、こだわって再現している様子がうかがえる。

実をいえば、『MOTHER 4』の名を冠したファンメイドゲームが登場するのは今回が初めてではない。現在開発中のRPG『Oddity』は、もともと本作と同じく非公式続編『MOTHER 4』として開発されていたのだ。しかし、任天堂による複数ファンゲームの公開停止措置を鑑みて、措置を受ける前にタイトルを変更。オリジナル作品『Oddity』へと転向した経緯がある(関連記事)。

トレイラーのYouTubeコメント欄には、そうした経緯を踏まえて今回の『MOTHER 4』の今後を懸念する声も見られる。上述の『Oddity』について触れるコメントも散見され、任天堂の対応により公開中止に至らないかと心配するユーザーもいる。一方で『MOTHER 4』開発チームは権利関係について楽観的に見ているようだ。本作公式サイトのFAQページでは、任天堂による公開中止措置の懸念について「まったく心配していない」と豪語。任天堂はリメイク作品か物議を醸すようなゲームだけを対象にしており、『MOTHER 4』はそれらにあたらないと主張している。トレイラーの冒頭でも「『MOTHER 4』は非公式プロジェクトであり、任天堂などとは無関係。任天堂やほぼ日をサポートしてほしい」と呼びかけている。こうした対策も、開発チームの楽観視につながっているのかもしれない。

しかし、開発チームの主張がどうあれ懸念は払拭されない。『MOTHER』シリーズの知財権を保有するのは任天堂であり、その名の使用を許すかどうかは同社の采配次第だからだ。続編としてストレートに『MOTHER 4』の名を冠する本作は、危ない橋を渡っている。本作は、無事にリリースを迎えられるのだろうか。

非公式続編『MOTHER 4』はPC向けにリリース予定。配信時期は未定だ。
【UPDATE 2021/11/29 18:40】
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※ The English version of this article is available here

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