任天堂からの要請で海外eスポーツイベントでの『スマブラX』改造ゲームが取り下げに。「Project+」は容認されず

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米国オハイオ州で開催予定のeスポーツ大会「Riptide」は8月28日、任天堂との協議の上で『大乱闘スマッシュブラザーズX(以下、スマブラX)』Modである「Project+」トーナメント中止を発表した。同イベント開催まで2週間に迫ったなかでの突然の発表に、海外一部コミュニティに波紋が広がっている。

Riptideはオハイオ州Kalahari Resortsで、現地時間9月10日から12日にかけて開催されるオフラインeスポーツ大会だ。『スプラトゥーン2』や2D対戦アクション『Rivals of Aether』のほか、『大乱闘スマッシュブラザーズDX』および『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』といった『スマブラ』シリーズ作品を採用している。

今回、Riptideが発表したのは『スマブラX』を改造するMod「Project+」関連トーナメントなどの取りやめだ。大会自体は予定通り開催される。Riptideは公式Twitterアカウントにて、今回の発表については「任天堂側からコンタクトがあり、協議の上で結果的に中止に至った」としている。ほかの『スマブラ』シリーズタイトルが依然としてラインナップに入っている点から推察するに、『スマブラX』改造版である「Project+」が大規模イベントで採用されることを、任天堂側が問題視した可能性は高い。
 

 
『スマブラX』は任天堂の著作物であるため、改造Modを利用しての大会運営に異議を唱えることは道理に適っている。しかし、海外の一部『スマブラ』コミュニティは今回の出来事を受けて反発を強めているのだ。この背景には、『スマブラ』シリーズ過去作を取り巻く海外コミュニティの文化と歴史がある。

まず、海外の『スマブラ』対戦シーンにおいては、Modによる改造は比較的ポピュラーな文化だ。『スマブラX』については、シビアな競技向けに多数の調整を加え『大乱闘スマッシュブラザーズDX』風に改造が施されたMod「Project M」が人気を博し、大会などで利用されるに至った。同Modの後継的Modが今回の「Project+」だ。こうしたModは長年コミュニティの手によってバージョンアップが繰り返され、いわば「競技用『大乱闘スマッシュブラザーズX』」として普及してきたのである。

また、ほかの例としてはオンライン対戦に対応していない『大乱闘スマッシュブラザーズDX』をオンラインに対応させる非公認外部ツール「Slippi」が開発されていた。そして以前には、「Slippi」を利用したオンライン大会が、任天堂側の要請により中止に追いやられる出来事があった(関連記事)。「Slippi」はエミュレーターを用いてオンライン対戦を利用する仕組みであったため、海賊版利用などの懸念もあり、任天堂が対応に動いたかたちだ。
 

 
前述のSlippi開発者のFIZZI#36氏は、今回の出来事を受けて「任天堂はModコミュニティとの融和ではなく、ファンを突き放す道を選んでいる」として任天堂を批判。『大乱闘スマッシュブラザーズDX』トッププレイヤーであるHungrybox氏が「(任天堂の対応は)狂っている」と厳しく糾弾したほか、JoSniffy氏なども任天堂の動きに異を唱える姿勢を見せている。 また、今回の「Project+」はエミュレーターとの連携に限らず、ゲームディスクを用いたWii実機でのプレイにも対応しており、オフライン大会ということもあり海賊版利用にあたらない可能性が高い点、渡航や宿泊先の手配などを済ませている参加者が存在しうるなか、突然の中止となった点についても一部ユーザーは問題視している。
 

 
とはいえ、『スマブラ』シリーズ権利者である任天堂側が、Modを利用した大会に懸念を示すのは当然の ことだ。どこまでコミュニティが大きくなったとしても、「Project+」は改造ゲーム。任天堂は自社IPの権利保護に毅然とした立場をとる企業であり、同社がeスポーツに関わりをもとうとするならば、こうした問題は放置できない。国内ユーザーとしては、グレーゾーンにおけるModを利用した大会の開催に違和感を感じる人も少なくないだろう。一方海外においては、長くMod利用が浸透してきた歴史があり、規制されることに対し反発を感じる文化土壌があるようだ。なお、Riptideは今回の「Project+」採用中止にあたって、返金対応について申込者へ直接連絡するとしている。

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