新型コロナウイルスで叶わなかった卒業式が『マインクラフト』でおこなわれる。顔も知らない友人たちとの校歌斉唱

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オンラインで出会った小・中学生たちが『マインクラフト(以下、マイクラ)』内で「卒業式」を開き、話題となっている。国内で新型コロナウイルスの感染拡大が進む中、例年3月に開かれる卒業式を中止する小学校・中学校が相次ぐ。長年在籍した学校と別れを告げる節目のイベントがなくなったとして、悲嘆に暮れる子どもたちは少なくない。そんな中、『マイクラ』プレイヤーのR-creative(Miakun)氏は、なんとインターネット上の仲間を集め自主卒業式を企画。自らのワールド内に巨大な体育館を建築し、校歌斉唱や卒業証書授与を行ったというのだ。なぜインターネット上にて卒業式が実施されることになったのか?関係者に詳しい話を訊いた。

『マイクラ』卒業式が注目を集めたきっかけは3月14日、長野県白馬村の旅館経営者・柏原周平氏のツイート。ご子息がPCで遊んでおり、たまたま何をしているのか尋ねたところ「みんなで卒業式をやることにした」との回答が返ってきたという。画面には小・中学生だという10数人程度のプレイヤーたちが式をとり行う様子が映し出されている。続くツイートの動画で「面白いでしょ?」と笑い転げながら楽しむご子息の姿が印象的だ。つまるところ、この柏原氏の息子さんが『マインクラフト』にて卒業式をしていたのだ。同じ学校出身ではないであろう学生たちと、式を謳歌していたわけだ。

柏原氏は自身もクラウドファンディングで「旅館併設の業務用バーチャロン専用ゲームセンター」を企画するほどのゲーム好き(現在は募集終了、再挑戦予定とのこと)。動画に見られる『鉄騎』のコントローラーも同氏の所有物だ。ご子息には「ゲームは毎日真面目に取り組め」と教え自由に遊ばせてきた。しかし、かつて3歳だった彼に『マイクラ』をねだられた当初は何が面白いのか理解できず、「散らからない積み木」程度に考えて与えたという。今や「使い慣れた文房具の一つ」のように同作を使いこなす息子の姿に感嘆し「ちょっと我々とゲームの捉え方、付き合い方が違うのかもしれません。」とコメントした。その結果として、卒業式に参加するなど、幅広いコミュニケーションに『マインクラフト』を使いこなせる少年となったのだろう。

ちなみに、卒業式そのものを企画したのは『マイクラ』歴5年のクリエイターR-creative氏。バウハウスを思わせるモダン建築から巨大なガンダム風オブジェまで、クリエイティブモードで多彩な作品を生み出している。同氏に話を聞いたところ、今回集まったのはオンライン上で知り合ったローティーンの友人たち。去年の秋ごろから仲良くなり、お互いに意見を出し合いながら『マイクラ』を楽しんできたそうだ。

R-creative氏はすでに自身のワールドで「高校」を制作しており、2棟の校舎やアトリウムを備えた巨大な学園を作り上げた経験があった。この建築を何かに活かせないか考えていたところ今回の卒業式中止騒動があり、企画を発案したという。式の開催にあたっては専用の体育館を改めて建築。施工は自身が担当しつつ、晴れ舞台にふさわしい紅白の装飾や整列された椅子は仲間たちで協力して準備したそうだ。新たに完成した体育館は「近未来を意識した」といい、大きな採光窓がモダンな印象。壇上のバックに大きく書かれた“Summer”の文字は、自身のワールドのテーマである「夏」を押し出したものだという。

式次第は入場・校長挨拶・来賓挨拶・卒業証書授与・合唱のち、記念撮影という流れでとり行われた。「校長」役はR-creative氏が担当し、「来賓」役はフレンドのひとりが務めた。挨拶のせりふは台本なしのアドリブでこなしたとのこと。動画では粛々と進行しているように見えるが、実際は「みんなが静かになるまで3分かかりました」と“校長先生”は語る。またよく見ると式中に突然ダッシュし始める者、終始わなわなと震え続ける者などフリーダムな姿が見受けられる。柏原氏のご子息が爆笑していたように、セレモニーでありながら混沌とした楽しげな1日になったようだ。

話題を集めるもととなった柏原氏は一連の光景を目の当たりに、「ゲーム」そのものの移ろいを感じ取っている。ご子息が「学校帰りに何時に(ゲーム内に)集合とか約束をしたりしているところ」を見るにつけ、「昔の広場や公園のような場所」「遊び場としてのゲーム。使い方や付き合い方が我々の思いつかない発想で遊んでいるようです。」と印象を伝えている。コンテンツを楽しむゲームから仲間のたまり場としてのゲームへ、時代の変化を感じているようだ。R-creative氏に今後の展望を尋ねると、某バラエティ番組の鬼ごっこパロディ企画を計画中とのこと。卒業式が閉会しても彼らのプレイグラウンドに終わりはない。今後も『マイクラ』というフィールドでその創造力に磨きをかけていくだろう。

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