ソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下、SIE)社長兼CEOの小寺剛氏は、公式サイトにてPlayStation 4における、他コンソールゲーム機とのクロスプラットフォームプレイ(以下、クロスプレイ)に対応していくことを発表した。第一弾として、『フォートナイト』にてクロスプレイをテストするオープンベータを、本日9月26日より実施することもあわせて発表している。『フォートナイト』においては、クロスプレイだけでなく、クロスプログレッション、クロス購入にも対応する。
クロスプレイとは、異なるプラットフォームのプレイヤーがオンラインを介して一緒にプレイできるサービスだ。ハードウェアの垣根を超えて、マルチプレイを楽しめる機能である。マイクロソフトや任天堂はXbox OneやNintendo Switchにおいてクロスプレイを推進していたが、SIEは巨大なシェアを誇るPlayStation 4において、PCやモバイルなどは許可すれど、他のコンソールゲーム機とのクロスプレイを許可していなかった。それゆえに、クロスプレイ作品の多くは、PS4とPCのクロスプレイ、もしくはXbox One/Nintendo SwitchとPCのクロスプレイが存在するなど、やや歪な構造になっていた。
さらに『フォートナイト』においては、ゲームの進行状況やユーザーデータを保存するEpic Gamesアカウントにおいても、PS4のアカウントだけはほかのコンソールのアカウントと同時にリンクさせることができない。さらに一度PS4のアカウントをリンクさせると、解除したとしてもそのEpic Gamesアカウントでは、ほかのコンソールのアカウントとリンクできないという厳しい制限が設けられていた。こうしたSIEのやり方には、強い批判が集まっていたわけだ。
このSIEの姿勢についてはユーザーだけでなく、デベロッパーからも不満の声があがっていた。今回『フォートナイト』でクロスプレイを実現させたEpic Games社長のTim Sweeney氏もかつて、SIEの姿勢に理解を示しつつも、「ブロックするよりも、協力しあうほうが価値がある」とコメント。Bethesda Game StudiosのTodd Howard氏は、『Fallout 76』のクロスプレイについて「実現させたいという意欲はあるが、現時点では不可能だ。ソニーは私たちが望むほどには、協力的に動いてくれない」と嘆いていた。
SIE側もそれを理解していたようで、ワールドワイド・スタジオのチェアマンを務めるShawn Layden氏は6月に「そうした声には耳を傾けており、さまざまな可能性について検討しているが、これはひとつのタイトルだけでなく多くのタイトルに影響を与える話だ」と述べ、「コミュニティに理解し受け入れてもらえることができ、同時に我々のビジネスに反することのない解決策を見出すことができると確信している」となんらかの対応をすることを示唆していた。そして今回、小寺氏によりクロスプレイの対応が正式に告知された形となる。
小寺氏は「ライセンシー様より提供されている一部ゲームタイトルのクロスプレイについて、大変多くのユーザーの皆さまよりご意見を頂いておりますが、SIEとしての方針を固めることができましたので、この場を借りてご報告いたします。」と反響の多さが、対応に至る理由であったことを報告。さらには「これはSIEにとって大幅な方針の転換であり、またこれに伴って技術的な確認も必要なことから、組織一丸となって慎重に計画を進めている段階です。」と語っており、組織としての大規模な方針転換があったことを強調している。
小寺氏は今回の『フォートナイト』におけるクロスプレイのベータテストを「第一段階」と語っているほか、「同ベータを通して、様々な側面でのユーザー体験への作用を考慮しながら、PlayStationにおけるクロスプレイが最高の体験となるべく検証を行います。」と述べているように、『フォートナイト』での検証が進めば、他タイトルのクロスプレイも解禁されていくだろう。