『Five Nights at Freddy’s』シリーズ6作目の開発キャンセルを発表。ファンは信じず「狼と羊飼い」状態に

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『Five Nights at Freddy’s』シリーズの開発者であるScott Cawthon氏は7月1日、シリーズ6作目の開発に取り組んでいたことを明かすと同時に、プロジェクトのキャンセルを発表した。本シリーズは、2014年よりPCおよびiOS/Android向けにリリースされてきたポイント&クリックのホラーゲーム。プレイヤーはピザレストランやアトラクション施設の夜間警備員として、監視カメラや扉を使って不気味なアニマトロニクスたちの襲撃を防がなくてはならない。シリーズ4作目では舞台を職場から個人宅に移し、監視カメラではなく主人公である子供が直接部屋を移動する新しいゲームシステムを取り入れている。

6作目のキャンセルについてCawthon氏は以下のように述べている:

[perfectpullquote align=”full” cite=”” link=”” color=”” class=”” size=””]「開発を無理やり続けるような日々を送っているうちに、気づいてしまったのです。自分がこのプロジェクトに取り組みたいとは思っていないことに。ゲームをリリースするごとに、新作に対する期待は高まっていきますし、それが当然あるべき姿なのでしょう。新しい作品は、前作よりも良いゲームであるべきなのですから。ですがそのプレッシャーが重荷になりつつあり、積み重なる期待に応えようと、ゲーム開発以外の、人生の大切な事柄から目を背けているのではないかと、恐れはじめたのです」[/perfectpullquote]

かといってゲーム開発を辞めるわけではなく、「ゲーム開発を楽しめていたあのころに戻りたい」だけとのこと。シリーズのスピンオフ作品『FNaF World』のミニゲーム「Foxy Fighters」を例に挙げ、「あのゲームをつくるのはとても楽しかった。それに、シリーズファンのためだけにつくっているんだって思うと肩が軽くなったよ。次につくりたいのは、そんなゲームなんだ。ピザ屋経営シミュレーションに挑戦するかもしれないし、なんとも言えないけどね」と語っている。

シリーズのスピンオフ作品『FNaF World』

また『Five Nights at Freddy’s』シリーズを放棄するつもりはなく、いずれはVRタイトルを出したいという考えを持っており、ノベル展開についても6月27日に2作目となる「Five Nights at Freddy’s: The Twisted Ones」が発売されたばかりで、3部作の最終章に取り組んでいるようだ。また映画化プロジェクトに関しては、「Paranormal Activity」「The Purge」「Insidious」
といった低予算ホラーで知られるBlumhouse Productionsが関わっていることを示唆するツイートが3月に投稿されている。

さて、問題はCawthon氏が「新作のリリースをキャンセルしました」というジョーク発表を繰り返してきた人物であること。シリーズ3作目のリリース直前には、「ハッキングを受けたためリリースをキャンセルします」と発表していた(参考記事:Kotaku)。5作目となる『Five Nights at Freddy’s: Sister Location』の発売前にも、公式サイト上に「Cancelled Due to leaks(情報がリークされたためキャンセル)」というメッセージを表示。また内容があまりにダークになりすぎたため、みんなが楽しめるよう手を加えるという不可思議な理由でリリースを延期かつエピソード形式で販売する旨をアナウンスしていた。いずれもCawthon氏による虚偽の発表であり、実際に作品がキャンセルされたことはない。

そんなCawthon氏は今回の発表文に「釣りではありませんよ(私がみなさんを騙すような真似をすると思いますか?)」と記載しており、これまでの経緯を知る者からは「企画キャンセルというのは、いつも通りの嘘」だと考えられている。発表ページのコメント欄およびRedditのスレッドでは、今度こそ真実を語っていると信じるユーザと、疑いの目を向けているユーザとで意見が分かれている。Redditユーザ「FloppyTheFish」は、Cawthon氏が次回作について「気楽に遊べるもの」「無料」「プレイしなくても大丈夫 ;)(ウィンク)」と説明していることから、3作目のキャンセル発表後に公開されたジョークゲームのようなものを指していると推理している。

そのほか「いずれVRタイトルを出したい(だってVRで出すなんて素敵じゃないですか)」というCawthon氏の言葉に関しても、インディーホラーゲームのVR版が次々と配信されている傾向を皮肉っていると推測するもある。もはや彼の発言は、イソップ寓話「狼と羊飼い」の羊飼いのように何を言っても信じてもらえない域に達している。とはいえ、発言の真偽を巡ってコミュニティ上で議論が交わされたり、キャンセル発言のたびに海外メディアで取り上げられたりと、ゲームのマーケティングとしては十分に機能していると言えるだろう。Cawthon氏は「進展があり次第、最新情報をお伝えするよ!」とコメントしているため、一喜一憂せず、静観しながら続報を待ちたい。

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