パズルゲーム『Concrete Jungle』 都市開発シミュのエッセンス

 

最前線のインディーゲームを毎週紹介するIndie of the Week。今週はパズルゲーム『Concrete Jungle』を紹介する。一見すると『シムシティ』のような都市開発シミュレーションなのだが、その正体は都市開発シミュのエッセンスを抽出したデッキビルディングゲームだ。取っつきやすいが奥が深い作品である。ミニチュアのような都市ビジュアルも見ていて楽しい。

 


都市シミュの「隣接効果」に着目したパズルゲーム

 

『Concrete Jungle』では、縦6マス横7マスの建設予定地がプレイフィールドとなる。用意されたデッキから建物カードを取り、1枚ずつフィールド上に配置してゆくことでゲームは進行する。プレイヤーの目標は、周囲の土地に影響をあたえる建物をうまく組みあわせ、左端の縦レーンに設定されたポイントを超えることだ。設定ポイントをクリアするとレーンが横にずれ、あたらしい建設予定地が出現する。その前に全マスが建物で埋まりカードを置くことができなくなると、ゲームオーバーになる。

数字の上に家などの「住居カード」を置くとポイント化される。 このシステムを利用してコンボを狙うことも可能だ
数字の上に家などの「住居カード」を置くとポイント化される。
このシステムを利用してコンボを狙うことも可能だ

このルールを読んでピンときた読者もいるだろう。同作は2011年にブラウザなどで登場したゲーム『MegaCity』のデザインをもとにした最新作だ。本作も『MegaCity』を製作したイギリス人デベロッパーCole Jefferies氏が担当している。なのでこのゲームを理解するには、ブラウザ版の『MegaCity』をプレイするのが手っとり早い。

『MegaCity』にも同じことが言えるが、『Concrete Jungle』で最も美しいのは、都市開発シミュのエッセンスを単純化し、シティビルディングゲームに落としこんでいる点だ。都市開発シミュで最大の問題となるのは「隣接」である。建物を配置するとき、市長は隣りあう建物のシナジー効果や悪影響を考慮しなければならない。『Concrete Jungle』では、その複雑な図式をプラス1やマイナス1の単純な数値で表現し、なおかつおもしろいパズルゲームとしても成立させようとしている。

『MegaCity』から進化した『Concrete Jungle』では、150種類以上の建物が登場する。6人のキャラクターによるストーリーモードや、AIとの対戦モードも用意される予定だ。またローカルに限定されるが、最大4人での対戦およびCo-opマルチプレイヤーも実装される。個人的にお気にいりなのは3D化された美麗なビジュアルで、ミニチュアのような建物と動きまわる車は見ているだけでも楽しい。

この手のパズルゲームを見ると、購入金額だけではすまないと身構えてしまう。しかし、『Concrete Jungle』はFree-to-Playやマイクロトランザクションのない売りきりのタイトルだ。現在はKickstarterにて開発資金を募っており、すでに初期目標額の3000ポンドは突破した。→発売時期は、PCでは2015年。MacやLinux、スマートフォンへも移植予定となっている。