PS4/Xbox One/PC向け“100時間規模RPG”『パスファインダー:キングメーカー』の歩き方(探索・戦闘編)。「どんなゲームで、どう進めればいいの?」

PS4/Xbox One/PC向け“100時間規模RPG”『パスファインダー:キングメーカー』の歩き方(探索・戦闘編)。日本語版『パスファインダー:キングメーカー』の発売を記念し、「どんなゲームで、どう進めればいいの?」という問いに答えていく企画の第1弾だ。

薫風穏やかに新緑の到来を感じる5月13日。ついに日本語版『パスファインダー:キングメーカー ディフィニティブエディション』(以下『パスファインダー:キングメーカー』)が発売された(公式サイト)。原作TRPG「パスファインダーRPG」の世界観やゲームシステムをビデオゲームへと落とし込んだことで生まれた「ライブ感」に大きな特徴と魅力がある本作。フィールド探索や戦闘、ビルド構築、王国運営とさまざまな要素が組み合わさった大ボリュームのファンタジーRPGとなっている。そこで弊誌では日本語版の発売を記念して、全3回に渡り、本作の見どころを紹介していく。本稿はその第1回。テーマは「フィールド探索と戦闘」である。

キャラクタークリエイトからチュートリアル段階における内容に関しては、試遊体験会のレポートを参考にしてほしい。

【UPDATE 2021/05/14 18:04】記事タイトルのプラットフォーム表記漏れを訂正。

作品概要

『パスファインダー:キングメーカー』は、既に海外で発売されている『Pathfinder: Kingmaker』の日本語ローカライズ作品であり、DLC6つがすべて最初から同梱されている決定版である。価格はPC版(DMM GAME PLAYER版)が5060円、PlayStation 4版がパッケージ/ダウンロード版ともに8778円。Xbox One版はダウンロード専売で8778円となっている(いずれも税込価格)。本作のローカライズの監修を務めるのは、原作にあたるTRPG「パスファインダーRPG」のコアルールブックの翻訳を手掛けた「チームPRDJ」の代表である石川雄一郎氏。国内販売元であるDMM GAMESの発表によると、翻訳したワード数は150万を超えるという。

基本的なゲーム進行:濃厚なタスクマネジメント


同作の舞台となるのは、何世紀もの間、栄枯盛衰を繰り返してきた歴史を持つ「ストールンランド」。プレイヤーは自分だけの王国を築き上げ、仲間と共にダンジョンを攻略し冒険の旅を続けていく。そんな『パスファインダー:キングメーカー』の物語は、主人公を含む多数の冒険者たちが、とある有力者の邸宅に集うところからスタートする。しかし状況はすぐさま一転。謎の暗殺集団による襲撃――つまりゲームチュートリアル――から一夜明け、血で血を洗う惨劇から生還したのは主人公含め僅か数名であった。彼ら生き残りに向け、催しの主催者であったアルドーリ卿は、何事もなかったかのような平静さを保ちながら、改めて胸を張り堂々と、試練の内容を宣言する。「盗賊団の首魁“牡鹿の王”を討伐してほしい。さすればストールンランドの統治権を授けよう」。

本作の舞台となるストールンランドは、対立する2つの地域に挟まれた、いわば緩衝地帯。アルドーリ卿は自らの治める地域を国家として独立させる計画があり、ストールンランドを第3勢力にすることを通じて(そして、あわよくば自らの陣営に引き込むことで)、パワーバランスの変動を狙っている。このストールンランド統治計画を妨げているのが、牡鹿の王だ。さあ試練の火蓋が切って落とされた。残された時間は3か月。「プレイヤー組」と「ライバル組」の2手に分かれ、牡鹿の王の捜索に向かうのだった。


冒険に向かうに際し、まずプレイヤーが目にするのはストールンランドの地図をイメージしたボードマップだ。マップには円状のマスが所狭しと不規則に散りばめられ、1マス移動すると、ゲーム内時間が進行する。マスの中にはフィールドマップが用意されているものもあり、フィールドマップ内には戦闘可能な敵が登場するほか、村や商店などの施設が存在するものもある。長い距離を移動すれば、その分時間の経過量は増える。経過時間を無視しながら連続で行動していると、パーティには疲労とともにステータスの低下が発生。定期的に休息を挟まなければステータスが大幅に下がり、戦闘や探索に支障が出る(当然ながら休息にも9時間程度の時間を必要とする)。

休息をとるには時間だけでなく糧食が必要で、これはマップの探索を通じて手に入るほか、休息時のメニューから狩猟の担当者を決めることで獲得が可能。ほかにも休息中の襲撃を防ぐカモフラージュ担当や、ステータスバフをパーティに与える料理担当など、パーティメンバーを割り当てなければならない領域があり、休息ひとつとってもプレイヤーが干渉する領域は多い。


本作は随時提示される連続したクエストをクリアしていくことで物語(チャプター)が進行していく。先程「残された時間は3か月」と書いたように、本筋に関係のないサブクエスト含め、達成に時間制限が設けられているものがほとんどだ。マップを探索すると時間が進み、休むと時間が進む。レベル上げや金策のためにサブクエストを達成するにも情け容赦なく時間は過ぎていく。かといって最短距離で突き進もうとすれば、装備やレベル、パーティメンバーの頭数が足らず、メインクエストの達成が困難になってしまう。

また、ストールンランドを探索しているとランダムで敵との戦闘が発生するほか、現在進行しているチャプター限定で突発的なイベントが発生することもある。キャラクターの能力値に応じた選択を迫られる「イラストブックエピソード」をはじめ、その内容はさまざま。そしてストーリーの進行に大きな影響を及ぼす。

たとえばゲーム序盤には「人さらいによる襲撃」が発生する。その名の通り、パーティメンバーから1人を差し出さなければならない、という内容である(人さらいと戦うこともできるが、冒険を開始したばかりのパーティが敵う相手ではない)。ここで素直に差し出した仲間を救出しにいけば、戦力を取り戻すだけでなく、新たな仲間が加わる可能性がある。逆にそのまま放置しておくと、恒久的にメンバーが1人欠落したまま物語を進めなければならなくなってしまう。


何をして、何をしないのか。物事の優先順位をどう決めるのか。ストーリーが進行しストールンランドの統治権を手に入れたあとは、領地の運営がプラスされ、本拠地と目的地の往復の日々がはじまる。タスクマネジメントはさらに複雑なものへ変化していく。限られた時間の中でおこなわれる遊び手のライブパフォーマンスじみた即興の積み重ねこそ、『パスファインダー:キングメーカー』における醍醐味のひとつであり、「生」(なま)の体験を重視するTRPG要素の反映だと言える。

さながら軍師のように戦略を立てる戦闘システム


『パスファインダー:キングメーカー』を構成する要素として欠かせないのが、育て上げたキャラクターの個性を存分に活かす戦闘システムだ。フィールド上の敵にこちらが視認され次第、シームレスに突入する本作の戦闘は、ユニットに対しリアルタイムに指示を出す「リアルタイム制」と、すべてプレイヤーのペースで進行可能な「ターン制」を好きなタイミングで切り替えることが可能。

「リアルタイム制」は戦闘開幕時に敵味方それぞれのユニットが自動的に攻撃に適した距離へ移動し、「標準アクション」を最大6秒に1回繰り返し続ける方式だ。プレイヤーは戦闘中に味方ユニットの立ち位置を誘導できるほか、戦闘コマンドを入力することで、使用回数に制限のある魔法を発動したり、アイテムを使用したりすることができる。「ターン制」は戦闘開始時に判定される「イニシアチブ値」の高い順に行動権を回していく方式。一定時間の間に再現可能なさまざまなアクションを組み込んで戦っていく。

本作の戦闘における重要なポイントはズバリ、キャラクターのポジショニングだ。大抵の場合、主人公以外の味方キャラクターたちは、個性がはっきりしている場合が多く、よって得手不得手が激しい。スキルや魔法を一切使えないが、とにかく打たれ強いユニットがいる一方で、打たれ弱いものの搦手の使い手というユニットもいる。いろいろあってアンデットになったため死霊呪文に強いが、通常の回復手段では体力を回復することができない仲間もいるし、特徴異なる二重人格をリアルタイムに切り替えながら戦う仲間も登場する。敵にも豊かな個性があり、猪突猛進なモンスターもいれば、範囲魔法でまとめて焼き払ってくる魔道士や錬金術師、異世界から敵を呼び寄せるドルイドなどもいる。


たとえば陣形の先頭に硬いユニットを置き前衛をひきつけつつ、攻撃力の高いユニットで後衛を叩く。回復役は硬いユニットの後ろに配置することで的になることを防ぐ。という戦法が成立する。範囲攻撃を使う敵が出たならば、ユニットで対象を包囲することで一網打尽を予防しつつ、集中して攻撃を与えるのが効果的だ。肉弾戦に強い敵には錬金術で調合した薬剤で継続的にダメージを与えるのも良い。さながら軍師のように、敵の特徴に合わせ、随時ユニットの位置を調整し続けることが、勝利を掴み取るための鍵といっていいだろう。

また、本作では倒した敵が再出現しない仕様上、進行に詰まった場合、とにかくレベルを上げてゴリ押すという戦法を採用することができない。よってステータスに直接作用する装備の更新は可能な限り随時おこなっておきたいところだ。店頭で直接購入すると値が張るため、序盤はなるべく敵のドロップ品を利用したほうが良い。戦闘中でもメニュー画面を開き装備変更をおこなうことが可能になっているため、敵が強いと感じたらまずは装備画面を開いてみることをオススメしたい。

戦闘自体を回避できないのか、という疑問に対しては一応、パーティの視認性を下げる「隠密」というコマンドが存在する。これはその名の通り「隠密」のステータス値が高いほど効果が高まり、入力すると敵から探知される確率が低下するというものだ。つまり個々人によるキャラクタービルドの方向性によってコマンドの有用性が大きく異なるため、実質「戦闘を回避することは難しい」ものだと捉えてもらって構わない。本作は戦闘に敗北すると瀕死状態となり、安全地帯に戻らなくては回復できない。即死呪文を受けるなど、場合によっては最悪そのまま死亡し、蘇生叶わず実質上のキャラロストに至る場合もある。よって、いわゆる「詰み」の状態に陥ってしまうプレイヤーもなかにはいることだろう。その時は潔くゲームの難易度を下げたほうが良い。

本作はあらかじめ計6段階の難易度設定のプリセットが用意されており、最低難易度「ストーリー」にすれば、まず戦闘で負けること自体が難しくなる=ゲームオーバーになるリスクが大幅に減少する。難易度はいつでも変更することができるため、序盤は低難易度で、慣れてきたなという頃合いで「ノーマル」に引き上げるという遊び方をすることも可能だ。


正直なところ、本作の戦闘は類似するシステムを採用している他作品と比較しても高難易度と呼ばれる部類に入る。システムを理解していない段階でのユニット育成が難しいというのはもちろんのこと、何よりも戦闘の内容に干渉する要素がとにかく多いというのが理由として挙げられる。それは本作がTRPG要素としてダイスロールのシステムを通じたランダム性を取り入れていることをはじめ、距離と位置の概念が用意されていたり、ステータスに記載される特殊能力の数が盛りに盛られていることに由来している。だがその一方で、複雑になっている分、そのすべてを理解し、リアルタイムでフル活用できたと自覚できたときの喜びと興奮は、TRPG中にキャラクターの特性と仲間との直接的なコミュニケーションを通じて課題を達成できたときの面白さに似たものがあるだろう。まさに「TRPGをビデオゲームのRPGに盛り込む」というコンセプトに即した内容である。

特徴的な専門用語たち

最後に、本作中のシステムを説明する用語のなかでも頻繁に登場し、なおかつ内容がパッと見でイメージしづらいものをピックアップし箇条書きにしておく。皆様の攻略の一助になれば幸いである。

「★d▲」
「★回▲面ダイスを振る」という意味であり、本作では乱数の振れ幅を表現している。dはダイスを指す。もとはTRPGにて使われる用語である。例「1d20」…1回、20面ダイスを振る。よって1~20の乱数が予想される。

「セーヴィングスロー」
本作では有害な呪文に対しての回避判定そのものを意味する言葉。もとはウォーゲームやTRPGにて使われる用語である。成功判定が出ると、ユニットのステータスを鑑み、「無害」から「不可」まで5種類ある段階のうち一つが提示されるしくみになっている。

「アーマークラス(AC)」
本作では「敵が有効な攻撃を通じて、対象にダメージを与えられるか」を示す数値のこと。攻撃ロールの数値が対象のACの数値に満たない場合、攻撃を命中させること自体ができない。もともとウォーゲーム由来のシステムであり、「ダンジョンズ&ドラゴンズ」が採用したことでTRPGに広まった経緯を持つ。コンピューターゲームでいう「防御力」や「回避力」を示している。

「フィート」
ヤード・ポンド法における長さの単位である。本作では主に距離やキャラクターの速度を表現する際に使用される。

「信仰魔法」と「秘術魔法」
前者は主に回復を、後者は主に派手な破壊などを得意とする魔法カテゴリ。特定のクラスでしか使用することができない。各魔法はさらに、幻術や召喚など8つの系統/カテゴリに分類される。

「スペル・レジスタンス」と「反魔法」
前者は「呪文に対する抵抗力」を意味し、いわゆる「呪文版・アーマークラス」という位置づけである。回避判定を意味するセーヴィングスローとは別の概念。後者は「一定範囲内における呪文の効力を抑制する力」。たとえば、敵の召喚魔法で招来されたクリーチャーを消滅させることができる。

日本語版『パスファインダー:キングメーカー』は、PC(DMM GAME PLAYER版)/PlayStation 4/Xbox One向けに販売中だ(公式サイト)。

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Takayuki Sawahata
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娯楽としてだけではなく文化としてのゲームを知り、広めていきたい。ジャンル問わず死にゲー、マゾゲー大好き。

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